富士紡HD(3104) シリコンウエハ、先端半導体向け超精密研磨材好調続く
23/3期1.6%増収5.5%営業増益予想も超精密加工用研磨材の好調で上方修正期待。
株価(10/3)3330円 時価総額390億円 発行済株11720千株
PER(23/3DO予8.0X) PBR(0.93X)配当(23/3DO予)115円 配当利回り:3.5%
要約
・23/3Q1は超精密加工用研磨材好調でその他事業の伸び悩みを補い10.6%増収6.6%営利増
・23/3期1.6%増収5.5%営業増益予想も超精密加工用研磨材の好調で上方修正期待
・「増強21-25」ビジョンで26/3期に売上高600億円(旧基準)、営利100億円目指す
23/3Q1は超精密加工用研磨材好調でその他事業の伸び悩みを補い10.6%増収6.6%営利増
繊維事業を礎に、時代の変化に対応し事業ポートフォリオの転換を図り、現在、研磨材を中心に、化学工業品、生活衣料、化成品の4事業を展開している。
23/3Q1は売上高96.35億円(10.6%増)、営業利益16.61億円(6.6%増)、経常利益17.18億円(6.3%増)、税引利益11.74億円(4.5%増)と増収増益を堅持した。収益認識基準変更があり、実質的に5四半期連続で前年同期比増収、総利益、営利、経常増益を記録した。
セグメント売上では、研磨材が売上高41.65億円(15.0%増)、営利10.85億円(9.8%増)に。全体の60%強を占めるシリコンウエハ・CMP向け超精密加工用研磨材が受注拡大、HDD用途もデータ センター向け大容量HDD向けに回復したが、LCDガラス向けが受注減に。化学工業品は売上高30.71億円(12.3%増)も営利3.14億円(12.2%減)に。機能性材料や医薬中間体、農薬中間体の受託製造が国内需要の回復、化学工業製品の中国から国内への生産回帰などで増収を確保も、利益は原材料高が影響し減益に。生活衣料は売上高17.91億円(0.3%増)、営利1.97億円(5.4%減)に。売上面では個人消費の回復も、原燃高、円安を受けて利益は減益に。その他事業は売上高6.06億円(7.3%増)、営利0.64億円(0.61億円増)と、デジカメ部品、医療用部品がコロナ影響からの回復、自動車向けも堅調で、貿易部門は収益性の高い商品に絞り込み、全体として利益大幅回復に。
23/3期1.6%増収5.5%営業増益予想も超精密加工用研磨材の好調で上方修正期待
23/3期予想に変更はなく、売上高365億円(1.6%増)、営利62億円(5.5%増)、経常利益64億円(5.9%増)、税引利益45億円(1.0%増)を維持した。
セグメント別では研磨材が売上高153億円(1.1%増)、営利38億円(3.2%増)。現状、Q1が受注好調で売上が15%増収となっており、差し引きQ2~Q4で3.3%減は、ロジック先端半導体、ウエハ加工向けが中心となっている状況から、昨今のメモリー需要減の影響は軽微とみられ、年度で163億円(8%増)程度は期待され、営利率がQ1並みを確保すると判断、営利43億円程度に上振れが期待される。
化学品事業は売上高118億円(3.4%増)、営利14.2億円(3.9%増)予想。現状、売上は上振れ期待も、利益面では原材料高が厳しく、Q1並みの10%営利減が懸念される。生活衣料は売上高70億円(0.2%増)、営利8億円(5.4%増)予想。こちらはネット通販の拡大などで売上は計画を上回るとみられるが、利益は仕入コスト高などで会社予想程度に止まろう。
なおその他事業は売上高24億円(0.7%増)、営利1.8億円(2.6倍)予想となっている。22/3期の自動車向け低迷の影響からの回復を見込んでいたが、加えて9/30にGFIホールディングスを買収、その子会社であるIPM(プラスチック用精密金型設計、製作会社)を孫会社として取得することとなった。直前期21/12期の売上高が11.62億円、営業利益2.24億円、経常利益1.67億円という技術力を有する優良会社であり、この分がその他事業収益に加わるとみられ、その他事業は収益の上乗せが期待される。
全体を通じ、研磨材事業でウエハ、先端ロジック向けの超精密加工用研磨材の拡大、その他事業でも買収効果などがあり、通期収益の上振れが期待される。
「増強21-25」ビジョンで26/3期に売上高600億円(旧基準)、営利100億円目指す
同社は2021年に新中期経営計画「増強21-25」を策定、旧会計基準で24/3期売上高480億円、営利70億円、26/3期に売上高600億円、営利100億円を数値目標として掲げた。24/3期は研磨材事業は引き続き先端ロジック向け、ウエハ向け超精密加工用研磨材の拡大が見込まれる他、化学工業品事業はファインケミカル領域の拡大のため、柳井工場での生産能力増強設備が稼働、M&Aで受託能力増強もあり、償却負担増を補い、増収微増益が見込まれ、生活衣料は「B.V.D.オンラインストア」「アングルオンラインショップ」などEコマース拡大で収益を確保、その他事業はM&A効果が寄与しよう。このため、旧来の収益認識基準による化成品売上で換算した場合、24/3期売上はほぼ新中計通り、営業利益で多少上振れ達成が見込まれる。なおそれ以降も、高付加価値製品群の寄与が継続、26/3期中計目標についても達成が期待される。
(H.Mirai)
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