9月の銅の概況及び10月の見通し 橋本アルミ(株) 橋本健一郎
予想レンジ
LMEセツル 7000-8000ドル ↓
建値 102万-120万円 ↓
為替 140~145円 (1か月間TTM) 円安
■国際概況
前半8月のユーロ圏消費者物価指数が前年同月比で9.1%の上昇を記録し、データーがある1997年以来、最も大きな上げ幅を記録するなか、欧州中央銀行(ECB)による大幅利上げ観測とこれに伴う景気後退(リセッション)懸念が高まったことが弱材料となるなどのマイナス材料もあったが米失業率上昇によりFRB利上げペースが鈍化するのではないかとの期待、世界最大の銅鉱山チリBHPエスコンディダでの労働者スト懸念したことを好感しUP
9月15日時点で8230ドル(セツル)と月初価格より509ドルUPの締め。
後半はFOMC利上げ後の修正から買い戻しやトラス英首相の大幅減税訂正会見などのプラス材料あったが米連邦公開市場委員会(FOMC)で大幅利上げ観測が警戒され連邦準備理事会(FRB)は考えられていた以上にタカ派との見方だったことを嫌気しDOWN。
9月末日 現在、後半スタート価格からー145ドルDOWNの7660.5ドル。
10月スタート建値は115万円。
■前月の経済指標
◆月間のドル/円レート (TTS)
140.53 → 145.81(円)
出典 MIRU
【国内指標】
◆自動車生産台数
生産動態統計によると8月の自動車生産台数は前年比+22.3%の55万1799台
輸出は前年同月比+15.3%の27万182台
◆自動車販売台数
日本自動車販売協会連合会によると8月の自動車販売台数(軽除く)は前年比+17.8%の24万2042台
自動車生産台数
出典 生産動態統計
自動車販売台数推移
出典 日本自動車販売協会連合会
【住宅着工戸数】
8月の新設住宅着工は,持家は減少したが,貸家及び分譲住宅が増加したため,全体で前年同月比4.6%の増加となった。また,季節調整済年率換算値では前月比9.4%の増加となった。
○新設住宅着工戸数は 77,712 戸。
・前年同月比 4.6%増, 4か月ぶりの増加。
○新設住宅着工床面積は 6,178千㎡。
・前年同月比 0.5%増, 4か月ぶりの増加。
○季節調整済年率換算値では 903千戸。
・前月比 9.4%増, 先月の減少から再びの増加
出典 国土交通省統計
◆貿易関連指標
財務省の貿易統計によると、2022年8月の日本からの銅スクラップ輸出量は2万763トンだった。2か月続けて3万トンを下回った。また前年同月比2.2%減少した。前月は、13ヶ月ぶりに前年同月実績を上回ったが、今回2か月ぶりにマイナスに戻った。
銅スクラップの主要な輸出先は、全て昨年より輸出量を減らしている。ただ、その中では、最大輸出先の中国向けの輸出量の減少率が1桁パーセントに留まっている。中国向け以外は、ほぼ全て2桁パーセントのマイナスである。
【輸出】
電気銅 +24.9%の5万8910t
スクラップ -2.2%の2万763t
輸出推移
【輸入】
電気銅 +19%の714t
スクラップ +34.4%の1万1694t
輸入推移
出典 財務省 貿易統計
■前月の国内指標
【伸銅品生産】
8月の伸銅品生産動向速報値を公表した。8月伸銅品生産量は5万3,710トン、前年同月比2.2%減少し、8か月連続のマイナスとなった。僅かな差で前年実績に届かないが、マイナス幅が小さく、ほぼ昨年並みの生産量で推移している。
出典 日本伸銅協会
【日本電線工業会発の出荷速報(推定)】
前年比+3.3%の4万7200t
うち 国内+3.3% 輸出が +0.8%
出典 日本電線工業会
■国内概況まとめ
【自動車生産】
生産動態統計によると8月の自動車生産台数は前年比+22.3%の55万1799台
輸出は前年同月比+15.3%の27万182台
【自動車販売】
日本自動車販売協会連合会によると8月の自動車販売台数(軽除く)は前年比+17.8%の24万2042台
内 乗用車 +24.7%
貨物 -14.9%
バス -3.2%
【住宅着工戸数】
8月の新設住宅着工は,持家は減少したが,貸家及び分譲住宅が増加したため,全体で前年同月比4.6%の増加となった。また,季節調整済年率換算値では前月比9.4%の増加となった。
○新設住宅着工戸数は 77,712 戸。
・前年同月比 4.6%増, 4か月ぶりの増加。
○新設住宅着工床面積は 6,178千㎡。
・前年同月比 0.5%増, 4か月ぶりの増加。
○季節調整済年率換算値では 903千戸。
・前月比 9.4%増, 先月の減少から再びの増加
【伸銅品生産】
8月の伸銅品生産動向速報値を公表した。8月伸銅品生産量は5万3,710トン、前年同月比2.2%減少し、8か月連続のマイナスとなった。僅かな差で前年実績に届かないが、マイナス幅が小さく、ほぼ昨年並みの生産量で推移している。
半導体向けの需要が堅調に推移している。
自動車向けに積み上げてきた部品の在庫が掃けてきたとの情報が入ってきており、今後、自動車の挽回生産が進行するものと期待される。
6月に上海のロックダウンの影響が解消したが8月の時点でも、まだ中国からの部品納入滞りに伴う影響が残っている。
銅条
同比3ヶ月続けてプラス。8月で比較しても、過去6位の生産量となった。引き続き車載ディスクリートなど半導体向けの需要が好調である。また、自動車向けの部品在庫の消化が進んできている模様で、今後、実需ベースでの増加が期待される。ただ、一部の会員企業からは、在庫分の消化が先行し、緩やかな調整に入る可能性の指摘も出ている。
黄銅棒
同比8ヶ月連続マイナスで、住宅設備機器関連は新築向けが低調だが、リフォーム向け需要が支えている。ガス機器は、部品不足の問題が解消し、回復してきている。
【電線】
前年比+3.3%の4万7200t
うち 国内+3.3% 輸出が +0.8%
●銅
【輸出】
電気銅 +24.9%の5万8910t
スクラップ -2.2%の2万763t
【輸入】
電気銅 +19%の714t
スクラップ +34.4%の1万1694t
【見通し】
【自動車】
8月の自動車生産が+22.3%。8月国内販売台数が前年比+17.8%
9カ月ぶり生産、販売共に大幅増加!
中国のゼロコロナ政策の影響は残るものの自動車向けに積み上げてきた部品の在庫が掃けてきたとの情報が入ってきており、今後、自動車の挽回生産が進行するものと期待される
【伸銅品生産】
8月伸銅品生産量は5万3,710トン、前年同月比2.2%減少し、僅かな差で前年実績に届かないが、マイナス幅が小さく、ほぼ昨年並みの生産量で推移している。
今後、自動車の挽回生産が進行するものと期待される。
【電線】
前年比+3.3%の4万7200t
うち 国内+3.3% 輸出が +0.8%
輸出の伸びが鈍化するも自動車住宅の回復からプラスに転ずるか可能性も
【銅輸出入】
財務省の貿易統計によると、2022年8月の日本からの銅スクラップ輸出量は2万763トンだった。2か月続けて3万トンを下回った。また前年同月比2.2%減少した。前月は、13ヶ月ぶりに前年同月実績を上回ったが、今回2か月ぶりにマイナスに戻った。
銅スクラップの主要な輸出先は、全て昨年より輸出量を減らしている。ただ、その中では、最大輸出先の中国向けの輸出量の減少率が1桁パーセントに留まっている。中国向け以外は、ほぼ全て2桁パーセントのマイナスである。
【スクラップ景況予想】
流通【一次問屋】在庫は今月銅建値が114万から一時121万と上昇とその後115万と高値安定。
7月以来の121万の時点で少ない在庫も放出され様在庫薄。
需要面に関して中国のゼロコロナ政策の影響は残るものの自動車向けに積み上げてきた部品の在庫が掃けてきたとの情報から全体としては旺盛。
自動車関連向け製品の在庫積み上げが穿けてきたとのこと
【LME・為替予想】
今月は以下の項目に左右される
① 米欧の金融政策
② 中国のコロナ対策(ロックダウン)の動向
① に関しては
米国に関して引き締め一辺倒のFRB 9月の米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数が50.9と市場予想(52.0)を下回り、2020年5月以来の水準に低下した。好不況の境目とされる50割れが視野に入り、景気減速でインフレ率が低下するとの見方もあるがパウエル長官の意志は固くやはり次回も0.75%の利上げを行うのではないか。
ECB(欧州)に関しては 欧州金融大手クレディ・スイス・グループの財務不安観測から利上げペースと鈍化させるのではないか。
② に関して
国慶節の連休明けの10月10日以降で大規模なロックダウンへの警戒感はあるが現状は未知数。
これらを踏まえた10月の銅価格は 7000-8000ドル(セツル)との予想。
ドル円値は140円~145円(TTM)台を予測。
銅建値に関しては102万-120万円程度と予測している
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