10月の銅の概況及び11月の見通し 橋本アルミ(株) 橋本健一郎
予想レンジ
LMEセツル 7000-8000ドル →
建値 105万-124万円 ↑
為替 145~150円 (1か月間TTM) 円安
■国際概況
前半FRBのタカ派姿勢緩和観測を否定するカシュカリ・ミネアポリス連銀総裁の講演や
対中半導体規制などなどのマイナス材料もあったがISM製造業景気指数の弱気な内容を受けてFRBのタカ派姿勢が緩和するとの思惑や8月の米求人件数(JOLT求人)の予想以上の減少を好感しUP
10月15日時点で7688ドル(セツル)と月初価格より39ドルUPの締め。
後半はトラス英相が辞任を表明したことを受けてポンド高傾向となったことに加え、米中古住宅販売戸数が減少したことでドル安傾向が強まったことが買い支援要因になった。
などのプラス材料あったが欧州中央銀行(ECB)の大幅利上げによる景気後退懸念に加え、米個人消費支出(PCE)が予想を上回ったことを嫌気しDOWN。
9月末日 現在、後半スタート価格からー52ドルDOWNの7663.5ドル。
11月スタート建値は117万円。
■前月の経済指標
◆月間のドル/円レート (TTS)
145.81 → 149.26(円)
出典 MIRU
【国内指標】
◆自動車生産台数
生産動態統計によると9月の自動車生産台数は前年比+79.3%の71万3626台
輸出は前年同月比+87.6%の34万4807台
◆自動車販売台数
日本自動車販売協会連合会によると10月の自動車販売台数(軽除く)は前年比+19.7%の21万1542台
自動車生産台数
自動車販売台数推移
【住宅着工戸数】
9月の新設住宅着工は,持家は減少したが,貸家及び分譲住宅が増加したため,全体で前年同月比1.0%の増加となった。また,季節調整済年率換算値では前月比5.1%の減少となった。
○新設住宅着工戸数は 73,920 戸。
・前年同月比 1.0%増, 2か月連続の増加。
○新設住宅着工床面積は 5,844千㎡。
・前年同月比 2.8%減, 先月の増加から再びの減少。
○季節調整済年率換算値では 857千戸。
・前月比 5.1%減, 先月の増加から再びの減少。
◆貿易関連指標
財務省の貿易統計によると、日本からの銅スクラップ輸出は、引き続きブレーキが掛かり、2019年を下回る少ない輸出量で推移している。ただ、最大輸出先の中国向けだけは、ここに来て少し増加に転じている。一方、輸出平均単価は下落基調に転じた。ただ、急な下落ではなく、依然高値圏にある。
9月の日本からの銅スクラップ輸出量は2万5,570トンだった。3か月続けて3万トンを下回り、前年同月比6.9%減少した。2か月続けてのマイナスとなった。2か月前に一度プラスに転じたが、その前12か月もマイナスだった。
【輸出】
電気銅 +35%の6万6601t
スクラップ -6.9%の2万5570t
【輸入】
電気銅 -53.2%の257t
スクラップ +19%の1万1241t
■前月の国内指標
【伸銅品生産】
9月伸銅品生産量は6万1,770トン、2か月ぶりに6万トン回復した。ただ、前年同月比6.0%減少し、9か月連続のマイナスとなった。この9か月間の仲では最もマイナス幅拡大した
【日本電線工業会発の出荷速報(推定)】
前年比+10.7%の5万7000t
うち 国内+7.2% 輸出が +86.3%
■国内概況まとめ
【自動車生産】
生産動態統計によると9月の自動車生産台数は前年比+79.3%の71万3626台
輸出は前年同月比+87.6%の34万4807台
【自動車販売】
日本自動車販売協会連合会によると10月の自動車販売台数(軽除く)は前年比+19.7%の21万1542台
内 乗用車 +23.6%
貨物 -2.9%
バス -8.4%
【住宅着工戸数】
9月の新設住宅着工は,持家は減少したが,貸家及び分譲住宅が増加したため,全体で前年同月比1.0%の増加となった。また,季節調整済年率換算値では前月比5.1%の減少となった。
○新設住宅着工戸数は 73,920 戸。
・前年同月比 1.0%増, 2か月連続の増加。
○新設住宅着工床面積は 5,844千㎡。
・前年同月比 2.8%減, 先月の増加から再びの減少。
○季節調整済年率換算値では 857千戸。
・前月比 5.1%減, 先月の増加から再びの減少。
【伸銅品生産】
9月伸銅品生産量は6万1,770トン、2か月ぶりに6万トン回復した。ただ、前年同月比6.0%減少し、9か月連続のマイナスとなった。この9か月間の仲では最もマイナス幅拡大した
半導体向け需要の堅調さが継続している。ただ、中国ロックダウン後の回復遅れと、中国国内のスマートフォン販売不振がマイナス要因として足を引っ張っている。
エアコン自体の需要はあるのだが、引き続き部品が滞りから組立生産が遅れている。こうした回復の遅れに対して、需要期が過ぎても挽回生産の期待を続けている。
現在の伸銅品の生産減は、中国のスマートフォン需要減など一部需要の落ち込みが見られるが、あくまでも部品不足に伴う生産遅れが問題のもとである。
銅条
同比4ヶ月連続プラス。車載やファクトリ向けのディスクリート半導体の需要が好調である。しかし、デジタル家電の勢いが昨年ほどなく、またスマートフォンの中国販売不振の影響を受けている。
黄銅棒
同比9ヶ月連続マイナス。リフォーム向け需要に支えられている
【電線】
前年比+10.7%の5万7000t
うち 国内+7.2% 輸出が +86.3%
・銅
【輸出】
電気銅 +35%の6万6601t
スクラップ -6.9%の2万5570t
【輸入】
電気銅 -53.2%の257t
スクラップ +19%の1万1241t
[見通し】
【自動車】
9月の自動車生産が+79.3%。10月国内販売台数が前年比+19.7%
2カ月連続生産、販売共に大幅増加!
ようやく大幅に回復してきた 今後このペースで挽回生産に続くか注視
【伸銅品生産】
9月伸銅品生産量は6万1,770トン、2か月ぶりに6万トン回復した。ただ、前年同月比6.0%減少し、9か月連続のマイナスとなった。この9か月間の仲では最もマイナス幅拡大した
現在の伸銅品の生産減は、中国のスマートフォン需要減など一部需要の落ち込みが見られるが、あくまでも部品不足に伴う生産遅れが問題のもとである。
【電線】
前年比+10.7%の5万7000t
うち 国内+7.2% 輸出が +86.3%
自動車、住宅の回復からプラスに転ずるこのペースが続くか今後に注視。
【銅輸出入】
財務省の貿易統計によると、9月の日本からの銅スクラップ輸出量は2万5,570トンだった。3か月続けて3万トンを下回り、前年同月比6.9%減少した。2か月続けてのマイナスとなった。2か月前に一度プラスに転じたが、その前12か月もマイナスだった。
銅スクラップ輸出は、引き続きブレーキが掛かり、2019年を下回る少ない輸出量で推移している。ただ、最大輸出先の中国向けだけは、ここに来て少し増加に転じている。一方、輸出平均単価は下落基調に転じた。ただ、急な下落ではなく、依然高値圏にある。
【スクラップ景況予想】
流通【一次問屋】在庫は今月銅建値が115万から一時120万と上昇とその後175万と高値安定。
米FRB利上げによる下落警戒感で少ない在庫も放出され様在庫薄。
需要面に関して自動車生産の大幅回復に伴い重要は急増するものと思われる。
【LME・為替予想】
今月は以下の項目に左右される
1、米欧の金融政策
2、中国のゼロコロナ対策(ロックダウンなど)の動向
1、に関しては
米国に関してパウエル議長が米連邦公開市場委員会(FOMC)後の会見で政策金利の終着点(ターミナルレート)がFRBの従来予想より高くなる可能性を示唆し、早期の利上げ停止も否定したことから次回も0.75%の利上げを行うのではないか。
ECB(欧州)に関しては 英イングランド銀行(中央銀行)も0.75%の利上げを決め、利上げ幅を前回(0.5%)から引き上げたことからECBもこれに続くのではないか。
2、に関して
(中国共産党大会2022)でゼロコロナ継続を示唆されたことからしばらく継続の様子。
これらを踏まえた10月の銅価格は 7000-8000ドル(セツル)との予想。
ドル円値は145円~150円(TTM)台を予測。
銅建値に関しては105万-124万円程度と予測している
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