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タツモ(6266) 22/12Q3決算メモ  パワー半導体、ウエハ向け受注好調持続

22/12Q3で検収遅れあるも18.8%増収42.8%営利に変更無く、23/12期も収益拡大期待

株価1824円(11/16) 時価総額270億円 発行済株14813千株

PER(DO予:9.8X)PBR(1.57X) 配当(21/12DO予)22円  配当利回り:1.2%

 

要約 

 

 

22/12Q3は1.5%減収、営利横ばいと装置等の納入遅延等で検収遅れ響き会社計画未達に

 

 塗布技術を生かした半導体装置、液晶製造装置を軸に事業展開、最近はパワー半導体向けに収益を伸ばす。11/14に22/12Q3決算、説明資料が開示され売上高40.73億円(1.5%減)、営利0.92億円(横ばい)、経常利益2.75億円(2.6倍)、税引利益1.81億円(2.6倍)、受注105.33億円(52.5%増)、受注残高375.08億円(74.9%増)となった。受注好調な中で、装置の納入遅延等から検収遅れの案件があり、Q3は社内計画比未達となり、受注好調継続の中で受注残高が膨れ上がった。

 

 セグメント別で主力のプロセス機器が売上高47.79億円(36.9%増)、営利1.62億円(32.8%減)、受注は53.77億円(6.7%減)に。売上面では半導体装置11.44億円(33.3%増)、搬送装置16.28億円(36.9%増)と好調も、洗浄機、コーターなどは大幅減に。また通期対比の進捗率では搬送機器が83.4%となっているが、その他は53~64%に止まり、装置の納入遅延等から検収遅れが生じている。利益面では高採算の半導体装置の未達、洗浄機、コーターの進捗率低迷、検収遅れでコスト先行、MIX悪化もあり大幅減益に。受注面では半導体装置、搬送機器が増加も、洗浄機が減少、コーターは75.2%減と大幅減で全体の足を引っ張った。但しBBレシオでは半導体装置2.1、搬送機器1.28、洗浄機1.59、コーター3.1と、依然として受注に生産が追いつかず、検収遅れもあり売上計上も計画を下回り受注残高が積み上がる形に。表面処理は売上高5.66億円(39.5%減)、営利0.33億円(1.96億円改善し黒字転換)、受注49.19億円(6.7倍)と、検収遅れで大幅減収も、利益は前期の不採算事業がなくなり黒字転換、受注大幅増はメッキ処理装置以外のパネル向けEFEM(高機能搬送ユニット)受注が寄与。金型・樹脂成形では売上高2.61億円(33.4%減)、営業損失0.79億円(1.01億円悪化し赤字転落)、受注2.41億円(41.1%減)と低迷した。

 

 全体を通じ、受注は半導体装置を中心に好調を持続、生産が29.68億円(6.0%減)に止まり、売上が社内計画を下回り、円安寄与も営業利益は横ばいに止まり、営業外で為替差益1.82億円(1.67億円増)が加わり、経常利益では大幅増益に。

 

22/12期​18.8%増収42.8%営利に変更無く豊富な受注残消化で会社予想達成可能

 

 会社側は上期での増額修正予想を変更せず、売上高261.33億円(18.8%増)、営業利益29.88億円(42.8%増)、経常利益33.96億円(53.1%増)、税引利益24.12億円(37.9%増)予想を据え置いた。この結果、Q4は売上高91.75億円(同期比12.9%増)、営利16.07億円(同28.3%増)、経常利益13.96億円(8.1%増)、税引利益9.85億円(12.8%減)予想となる。

 

 現在、半導体設備投資ではメモリ中心に設備投資減額が相次ぎ、ロジックでもTSMCも減額を表明している。但し同社受注はパワー半導体向けの好調等もあり好調を維持している。売上面ではQ3で検収遅れがあったものの、ロックダウン解除で検収遅れ分はQ4に売上計上されると判断、部材調達なども多少緩和の方向と見られ、豊富な受注残から、会社計画並みの売上、営業利益が見込まれる。また経常利益においては為替差益が持ち越されると判断、会社計画を上回る利益が見込まれ、連続最高益更新が期待される。

 

23/12期パワー半導体に加え300mmウエハグリーンフィールド投資寄与し収益拡大期待

 

 会社側は中計「Vision 2023」策定、24/12期に売上高338.52億円、経常利益46.41億円を目指す。現状、メモリでは設備増強の遅延が懸念されるものの、3DNANDでは多層化でウエハ薄化ニーズが高まっているほか、貼り合せ貼り合せで積層する方式ではさらに貼り合せ、剥離装置需要が高まろう。またパワー半導体においては高効率化のためにオン抵抗を小さくする場合に薄膜化が必要で、ウエハ表面保護工程が必要となり、多くの塗布貼合装置や支持体薄利装置が使われる。さらにEV加速で車載パワーデバイスはシリコンIGBTからSiCへ転換が加速する方向にあり、しかも高出力対応、車内設置の高さ制約などもあり、SiCでもコンパクト化、薄型化が必要とのコンセンサスから、同社の薄化対応の貼合/薄利装置が多用される方向にある。なお、シリコンウエハでは2022年第4四半期からグリーンフィールド投資が本格的に動きだす見通しで、同分野向けでも需要が増すとみられる。

 

 全体としてプロセス機器が半導体製造装置、搬送機器の拡大に加え、コーターもナノインプラント、パネルレベルパッケージ向け等のFPD以外への拡大から受注回復が見込まれ、増収増益が維持されよう。

 

 中期的にも先端半導体設備投資において半導体の2.5D化、3D化の進展、パワー半導体を含めウエハ薄化需要の高まりで、同社の得意とする貼合剥離装置やコーター需要が高まり、収益拡大が続こう。

 

 

 

(H.Mirai)

 

 

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