新着情報

2024/04/19   経済安保的な意味合...
2024/04/19   苦境の内モンゴル合...
2024/04/19   再び米中対立深まる...
2024/04/19   豪州鉄鋼協会(AS...
2024/04/19   古河機械金属 医療...
2024/04/19   古河電工産業電線 ...
2024/04/19   共英製鋼:24/3...
2024/04/19   住友金属鉱山 20...
2024/04/19   触媒資源化協会 2...
2024/04/19   錫価格が急騰 18...
2024/04/19   米英追加ロシア制裁...
2024/04/19   工作機械工業会3月...
2024/04/19   MARKET TA...
2024/04/19   2024年2月 ア...
2024/04/19   阪和興業(香港)藤...
2024/04/18   日本製鉄:4月17...
2024/04/18   SDGsで注目され...
2024/04/18   中国製の鉄鋼とアル...
2024/04/18   SUSscrap ...
2024/04/18   ロシア「英米制裁、...

ユミコアとVW社北米でも長期バッテリー戦略を強める

 ユミコア社はVolkswagen(VW)社グループのPowerCo社との北米戦略で、非独占的、長期戦略的関係を模索している。PowerCo 社はVW社が自社EV車のバッテリー製造企業PowerCo社として今年7月に立上げた。

 

 PowerCo社が最初に立ち上げるドイツザルツギッターのバッテリー工場が2025年に生産を開始する予定である。

 

 一方ユミコア社は欧州でのバッテリー材料生産を欧州、北米とアジアの3極で世界規模のバッテリー材料生産する戦略展開を既に表明している。北米ではカナダオンタリオ州で2023年前駆体と正極材などバッテリー材料工場の建設を開始する計画である。またユミコア社は9月欧州ではPowerCo社との間で合弁会社も立ち上げている。

 

 

 ユミコア社のオンタリオ州のバッテリー材料工場は、2023年建設を開始しPowerCo 社にドイツザルツギッター工場のバッテリー生産開始時期と同じ2025年の生産開始を発表しており、ユミコア社はVW社のバッテリー生産企業PowerCo社との間で、北米で長期戦略的な供給契約関係を模索している事を12月1日公表した。

 

Umicore と PowerCo は、北米で EV バッテリー材料を供給するための戦略的長期契約を目指す

 

 ユミコアとVW社のバッテリー事業部門である PowerCo社は、バッテリー材料の協力関係を拡大することを目指して、北米にある PowerCo社の将来の電気自動車 (EV) ギガファクトリーに供給するための長期的な戦略的契約を検討している。

 

 この意図的で非独占的な契約により、PowerCo社は、ユミコア社がカナダのオンタリオ州に建設を計画しているバッテリー材料工場の重要な顧客となる。この将来の工場は、前駆体とカソード材料の生産を組み合わせ、天然資源から電気モビリティまで、カナダのバッテリー バリュー チェーンを完成させる。

 

 ユミコア社は、北米でいくつかの潜在的な顧客と生産契約を交渉している。これらは、ユミコア社の最終的な投資決定の基礎となり、新たな価値創造へのコミットメントを意味する。ユミコア社は、これらの契約を継続しながら、2023 年にオンタリオ州のギガプラントの建設を開始し、2025 年末に生産を開始する予定である。2030年までに、約 100 万台の EV に電力を供給することができるバッテリー材料の年間生産能力に達する見通しである。ユミコアのオンタリオバッテリー材料工場は 2027 年から PowerCo社にバッテリー材料を供給する予定で、2030年までに年間 40ギガワット時 (GWh)相当のバッテリー製造へバッテリー材料の供給を増加させ、約55万台の EV車用バッテリー生産に相当する。

 

 大西洋を越えてパートナーシップを拡大することで、ユミコア社とPowerCo社の共通の戦略的関係がさらに深まり、信頼性が高く持続可能な北米のでクリーン モビリティが可能になり加速する。これにより、PowerCo社はこれらの重要な材料に安全にアクセスできるようになり、北米でのバッテリー セル生産の立ち上げが可能になるであろう。

 

 PowerCo社SE最高購買責任者Jörg Teichmann氏は次のように述べている。

「この提携により、PowerCo社は北米でセルを生産するために地元で調達したバッテリー材料にアクセスできるようになる。当社は、ユミコア社の実証済みのパートナーシップと高品質の製品から利益を得ることができる。」

 

 ユミコア社の次世代バッテリー材料の長期供給は、北米向けの地域的かつ完全に統合されたバッテリーサプライチェーンを開発するという両社の戦略に適合する。ヨーロッパでは、ユミコア社と PowerCo社は9 月に合弁会社を設立し、 2000 年代の終わりまでに年間約 220 万台の電気自動車用のバッテリー材料を生産することに合意した。

 ユミコアとPowerCoは売上見込額200億ユーロ、ヨーロッパでの最大2万人の雇用を計画しているという。また、グリーン電力を使用したグリーン ユニファイド セル(統一規格セル)を生産し、原材料サイクルの一環として90%以上のリサイクル率実現に取り組むと述べている。

 

 ユミコア社のバッテリー材料の生産には大きな投資とEV車用バッテリーに関する研究開発が進む中でバッテリー材料も当然ながら進化する。ユミコア社は先行投資を行う上で安定した顧客関係を自動車メーカと締結しないと事業リスクの分散化が非常に難しい事業と思える。

 

 世界の自動車生産ではトヨタと覇権を争うフォルクワーゲン社との世界の3極でそれぞれ安定したEV用バッテリーを継続して供給する困難はこれから2025年頃を境に大きな試練が予想される。それはバッテリー材料の不足問題である。その意味でフォルクワーゲンとユミコア社がタッグを組みバッテリーリサイクルフローも同時に完成させる必要性からその前提条件の一つが満たされつつあるかも知れない。

 

 

(IRUNIVERSE Katagiri)

 

関連記事

関連記事をもっと見る