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京三製作所(6742) 23/3上期WEB決算他 半導体製造装置電源受注最高額も部材難響く 

23/3期部材調達難で2.0%増収32.6%営利減に減額も受注80億円増額、24/3期急回復へ

 

株価円(12/28)402円   時価総額253億円    発行済株62844千株

PER(DO23/3期予19.4X) PBR(0.58X) 配当(23/3予)18円  配当利回り:4.5%

 

要約

 

23/3上期7.2%増収、全社費用控除前営利84.3%減と増収も部材不足で操業度低下痛手

 

 22/3上期決算は11/11に発表されたが説明会は12/7、動画配信は12/16に漸く行われた。22/3上期は売上高269.16億円(10/14減額修正予想に対し9.16億円増額、7.2%増)ながら、全社費用控除前営業利益は2.66億円(84.3%減)、営業損失20.85億円(同4.15億円増額、同期比13.02億円悪化し赤字拡大)と低迷した。なお期初計画に対しては売上高で29.16億円増額、営業損失では3.85億円拡大して着地した。一方、受注は495.83億円(64.1%増)と大幅増、受注残高は1239億円(36.9%増)と部材調達遅れなどもあり過去最高額に膨れ上がっている。

 

 部門別では信号システム事業が売上高186.15円(8.6%増)ながら営業損失9.76億円(14.50億円悪化し赤字転落)となった。半導体不足などの供給不足を受けて計画を下回る生産に止まった結果、操業度が低下、加えて連結子会社の退職給付付債務の計算方法変更で原価が5.3億円嵩んだことなどが影響した。一方、受注高は423.36億円(93.7%増)と、内外ともに好調に推移、一部下期予定の国内大型案件の前倒し発注、また関西万博を控えホームドア設置促進などもあり大幅増に。なお受注残高は生産の遅れ、受注好調などで1158.45億円(33.3%増)まで膨れ上がり、過去最高額を2四半期連続で更新した。

 

 パワーエレクトロニクス事業は売上高83.03億円(4.2%増)、営業利益12.42億円(1.5%増)も、受注高72.46億円(13.3%減)、受注残高80.85億円(7.7%増)に。売上面では半導体供給不足があるも、半導体向けがエッチング装置用DC、RF電源が拡大し51.43億円(2.2%増)、FPD向けも受注残消化で21.02億円(11.7%増)と堅調に推移した。   受注は半導体向けが60.81億円(同期比25.3%増、前下期比1.9%増)と2半期連続で過去最高額を更新、一方、東京エレクトロン中心でFPD向け8.38億円(同65.4%減、同77.2%減)、鉄道・通信他も反動減から3.27億円(同69.6%減、同36.6%減)と大幅失速で全体では2桁減と低迷した。なお半導体調達難などで生産が追い付いていない状況で、受注残高は積み増した格好に。利益面では各方面平均的な伸びで緩やかな増益に。

 

 全体として、半導体や電子部品調達難で生産が計画を下回り、会計計上基準変更などもあり大幅減益に。

 

23/3期は部品調達難で2.0%増収、営利32.6%減に減額も受注は80億円増額予想

 

 23/3期予想を10/14に減額修正しており、上期は減額修正予想に対し増額着地も、通期予想は変更せず、売上高744億円(期初計画比6億円減額、2.0%増)、全社費用控除前営業利益75億円(同13億円減額、4.7%減)、営業利益20億円(同18億円減額、32.6%減)、経常利益24億円(同19億円減額、29.9%減)、税引利益13億円(同17億円減額、89.0%減)、受注高790億円(同80億円増額、4.7%増)予想とした。税引利益大幅減は放火火災に対する受取保険金127.74億円計上の反動減によるもの。

 

 部門別では信号システム事業が売上高569億円(期初計画比4億円増額、1.5%増)、営利50億円(同6.5億円減額、7.1%減)、受注高645億円(同115億円増額、14.2%増)予想。売上面では部品調達難が影響し受注大幅増でも計画並み、利益は子会社会計計上基準変更影響5.3億円があり、実質横ばい水準。受注においては国内でJR向けが計画前倒しもあり186億円(期初計画比34億円増額、33.5%増)予想、海外向けも約4割を占めるインド、次いでシンガポール向けなど好調で152.92億円(同54.92億円増額、76.8%増)予想と上伸予想に。

 

 パワーエレクトロニクス事業は売上高175億円(期初計画比10億円減額、3.7%増)、営利24億円(同7.5億円減額、0.7%増)、受注額145億円(35億円減額、23.5%減)を見込む。売上面では半導体製造装置向けが118.46億円(同9.04億円減額、19.8%増)予想、受注113.28億円(同16.72億円減額、4.7%増)と、下期に東京エレクトロン向けDC電源の受注減額などが影響、売上面では依然として部材調達難が継続、収益でも下期影響が顕在化する見通し。FPD向けは売上高38億円(同0.27億円増額、6.0%減)こそ計画並みも受注は28.03億円(同8.47億円減額、54.0%減)、鉄道・通信向け等も売上高18.81億円(同0.69億円減、36.6%減)も、受注は3.69億円(同9.81億円減額、81.8%減)と案件先延ばしに。

 

 全体として半導体調達不足などの影響が残り、パワーエレクトロニクス事業ではFPDの不振、半導体製造装置向けも東京エレクトロンの減額影響を受けて下期収益が落ち込む見通しで、会社計画並みの収益に止まる見通し。

 

24/3期は半導体製造装置向けの拡大継続、22/3期の期ずれ売上計上等で営利最高益期待

 

 同社は5/30に新社長の元で中期経営計画2025を策定、25/3期に数値目標として受注高850億円、売上高850億円、営業利益60億円を掲げた。但しスタートし、23/3期が減額修正(実は22/3期営業利益が棚卸資産に係る未実現利益の会計処理に誤りがあり、22/3期営業利益を36.66億円から29.69億円に6.97億円減額している)、さらにはQ1で子会社での会計基準変更で5.3億円減額修正、23/3期予想がスタート台からずいぶんと乖離した形となっている。但し両方の案件は何れも一過性の影響に止まる。このため、24/3期への影響は限定的と判断される。

 

 現状、24/3期は信号システムが過去最高の受注残を抱え、海外向けではインドを中心に更なる受注拡大が見込まれる。実際、K5BMC型電子連動装置は世界で3,000駅以上の納入実績があり、インド、バングラデシュ、ネパールでも採用。インドではインド国鉄の500駅以上に納入し、完工500駅を含む1,000駅以上を受注している。インドは12.6万kmの総延長鉄道網を持ち、駅数は約8000から9000あると言われる。鉄道設備の老朽化や整備不良による事故も多発、運行設備の近代化が、高速鉄道網の整備も急務で今後も拡大が見込める。なお生産面で部材調達難の緩和から、売上の大幅増が見込まれ、利益面では会計基準変更の一時減5.3億円がなくなり、生産拡大による稼働効果も寄与、収益の大幅増が見込まれる。

 

 一方、パワーエレクトロニクス事業は半導体製造装置向けが受注残高もあり、部材調達難の緩和で多少増加、FPD、鉄道その他では底這いが続く見通し。稼働率向上、半導体製造装置向けの構成比拡大から利益拡大が見込まれる。全体として信号部門の収益本格拡大で全体収益も増収増益に転じ、会社計画の24/3期売上達成は可能と判断されるが、利益はパワーエレクトロニクス部門の伸び悩みで中計見通しには達しないとみられる。一方、25/3期についてはパワーエレクトロニクス事業の本格拡大、特に半導体製造装置向けでは3D化で主力装置のエッチング装置向けがマルチチャンバー化でエッチング装置台数以上の伸びが期待され、加えて東京エレクトロン宮城でDC電源に加えて高周波(RF)電源の拡大、米国向けにDF電源の本格拡大が期待される。加えて信号部門の順調な収益拡大から、25/3期中計目標についても利益は減額達成も、売上達成は十分期待出来る。

 

 

 

(H.Mirai)

 

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