アルミ合金&スクラップ市場近況2023#1 LME安&円高でスクラップ大幅ダウン
年明けのアルミスクラップ市場はLMEアルミ相場の下落に為替の円高も重なり上物、スソものともに下落となりそうだ。特に上物は明確な新地金相場の急落で少なくともキロ当たり10円の下げとなる見込みだが、場合によっては20~30円という大胆な下げもありえる。
LMEアルミ相場(USD/t)とNSP相場(¥/kg)の推移 最近3か月
為替相場の推移(円ドルTTS) 最近3か月
中国産ADC12相場の推移(USD/t C&Fjapan) 最近3か月
ZORBA相場の推移(USD/t C&FChina)最近3か月
LMEアルミ相場は12月初頭の2,485ドルから1月5日では2,270ドルと210ドルの下げ、この間に為替も円高が進んだことで国内アルミ新地金の指標であるNSPもキロ当たり405円から足元は360円と40円以上の下落となっている。為替は11月下旬の143円(TTS)から足元は134円と9円の円高。この円高影響は国内アルミ合金およびスクラップ市場には大きな影響を与えている。前述したように、アルミ合金メーカーのなかでは上物はキロ当たり20~30円、UBCは25円、スソ物でも20円の下げをアナウンスしているところもあり、久々の大寒波級の下げ幅となりそうだ。
中国産ADC12のオファーも下落しており、現在はトン当たり2370~2390ドル(C&Fjapan)。為替134円で計算した日本着値は333~336円、となる。国内自動車メーカー向けADCで350円→360円の上昇を目指していた国内合金メーカーにとってはやや困難な新年マーケット環境といえよう。ただ、シュレッダー非鉄ミックスメタルのゾルバは中国輸入価格でトン1850~1900ドルと昨年末時点と変わっていない。これは米国の記録的な大寒波によりスクラップヤードの稼働が落ち、供給が止まっていることでアジア市場でひっ迫していることが要因。アルミ合金メーカー担当氏によると、例年、この時期ゾルバはひっ迫する傾向にあるが今年は特に、という。
国内のアルミスクラップ市況は前述したように明確な指標相場の下落で特に新地金相場で振れやすい上物に関しては20円~30円といった大幅な下げが見込まれる。スソものも10円~20円の下落となりそうだ。市中実勢はすでに下げを織り込んだマーケットで動いている。
UBCも実勢210円(Aプレス、スクラップディーラー買値実勢)からもう一段の下落が予想されるところ。合金メーカーは高すぎるUBCの高値をカットして25円の下げを打ち出している。韓国のノベリス向けもさほど需要が強くないこともあり、200円際まで下がる可能性を当のUBC輸出業者は指摘している。昨年12月時の自治体入札では230円台の落札が多かったことが今になると重荷、となるかもしれない。相場は水ものゆえ仕方ないだろうが。
またアルミ合金業界にとって痛いのはやはり頼みの自動車生産が落ち込んだままであること。1-3月は全く期待できないどころか減産続き。4-6月でノーマルに戻れば良いほうでは?とみる向きもあり。米国は記録的な大寒波で混乱が続いているが、アルミ合金&スクラップ市場も大寒波に見舞われている。
アルミ2S&UBC相場の推移(¥/kg)最近3か月
ビス付きサッシ相場の推移(¥/kg)最近3か月
(IRUNIVERSE YT)
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