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オキサイド(6521)23/2Q3WEB決算説明会メモ M&A実行で24/2期飛躍へ

23/2期部材不具合で23.4%増収13.5%営利減に大幅減額もM&A実行で24/2期飛躍へ

 

株価円(1/19)7470円   時価総額370億円   発行済株4964千株 

PER(DO予:95X)PBR(7.3X) 配当(23/2予)0円  配当利回り:-

 

要約

・23/2Q3は30.4%増収ながら部材調達で不具合が生じ、21/2Q2以来の営業損失に

・10月増額修正予想を半導体事業の減額から23.4%増収13.5%営利減に大幅減額

・Q3決算発表と同時にイスラエルのライコル社買収発表、新分野加え24/2期収益上伸へ

・高品質光学単結晶からレーザ製品への展開、新分野での売上拡大で成長持続期待

 

23/2Q3は30.4%増収ながら部材調達で不具合が生じ、21/2Q2以来の営業損失に

 

 単結晶及びレーザ光源・装置などを手掛ける研究開発型企業。23/2Q3決算が1/13に開示され1/16にWEB説明会が実施された。23/2Q3は売上高14.59億円(30.4%増)、総利益4.61億円(14.1%増)、営業損失0.46億円(2.03億円悪化し赤字転落)に。営業損失の要因は半導体事業で調達部品の不具合で半導体向けが大幅未達となったことにある。   

 

 製品の市場別では、光計測・新領域事業が売上高1.53億円 (30.5%増)と。半導体事業は売上高7.07億円(29.0%増)となったが、11億円程度を見込んでいたものに対し、4億円未達成に。これは海外から調達している最先端用部材の合格率が計画を大幅に下回り(不良品率50%想定が10%程度まで低下した模様)、顧客への出荷が困難となったため。部材不具合は供給先と原因究明中で、合格率は現在50%に回復した模様も、原因究明には至っていない等のこと。但し、半導体向けレーザ装置の受注額は順調に拡大、受注残も36.18億円まで積み上がっている。この4億円の未達成がQ3の営業赤字の主要因となっている。ヘルスケア事業売上高は4.98億円(31.4%増)と伸びが急回復した。

 

 利益面では半導体事業4億円未達が大きく影響し、経費が計画通り発生し、営業赤字に。

 

10月増額修正予想を半導体事業の減額から23.4%増収13.5%営利減に大幅減額

 

 Q3での半導体事業の部材不具合問題から、10月に増額修正した予想を大幅減額、売上高58.70億円(期初計画、10/14増額修正比4.69億円減額、23.4%増)、総利益25.46億円(期初計画比2.36億円増額、10/14計画比3.36億円減額、35.6%増)、販管費16.46億円(同4.24億円増額、同0.46億円増額、63.8%増)、営業利益億円(同1.90億円減額、同3.84億円減額、13.5%減)、経常利益5.5億円(同1.45億円減額、同3.80億円減額、8.2%減)、税引利益3.87億円(同1.0億円減額、同2.63億円減額、21.9%減)予想とした。

 

 セグメント別では光計測・新領域が7.39億円(同1.63億円減額、同変更無し、27.6%増)と、期ずれ影響が23/2期に及ぶため。半導体事業は31.81億円(同2.94億円減額、同5.09億円減額、29.0%増)とQ4に多少挽回も来期に売上がずれ込む見通しでQ3の影響を引きずる。ヘルスケアは19.50億円(同0.11億円減額、同0.40億円増額、13.9%増)予想。

 

 利益面で営業利益が10/14修正比3.84億円減額となる予想は売上の減額に伴う利益減3.3億円、半導体部材調達のロス影響1.0億円に対し、研究開発費0.33億円などの減額という内容。

 

 現状、半導体事業については先端半導体生産に伴う受注は衰えておらず、受注残高が積み上がる結果となっており、ユーザーに対する供給責任もあり、部材調達を増加させても対応することでQ4までは原価高が続く。その他事業はヘルスケアにおいて10月予想比若干増額となっている。エーザイが1/7に米FDAから早期アルツハイマー型認知症の治療薬「レガネマブ」の迅速承認を取得、今後、PET装置はアミロイドβ蓄積を高精度で検査、画像化できるため、症状が現われる前に検知できる。すでに頭部専用PET装置の導入が一部で市販が始まっており、同社の高精度のシンチレータ単結晶への引合いが増え出した状況で、今後の採用も進む見通し。全体としては半導体の減額以外はほぼ期初計画通りのため、23/2期減額修正予想並みの収益が見込まれる。

 

Q3決算発表と同時にイスラエルのライコル社買収発表、新分野加え24/2期収益上伸へ

 

 Q3決算発表と同時に、イスラエルのライコル社買収(買収額34億円)の開示があった。ライコル社は1995年創業の結晶メーカー。同社がCZ法やFZ法など多くの単結晶育成方法を有しているのに対しライコル社はフラックス法に特化し、非線形光学単結晶や電気光学デバイスの研究・開発・製造に注力している。最先端のフラックス法結晶成長装置、加工装置、品質検査装置、クリーンルーム、コーティング装置を有し、LBO、BBO,KTP、RTP,PPKTP等の単結晶は高品質で高信頼性の製品となっており世界に供給している。現在、ウクライナ問題等の地政学リスクを回避する世界的な趨勢の中でも業績を拡大、西側諸国ではロシアや中国からの調達を停止する動きが出ており、その結果、ライコル社の製品への切替需要も急伸しているとのこと。

 

 同社は子会社化で事業の分野拡張と成長加速を目指す。具体的に同社の「光計測・新領域」事業では、「半導体」、「ヘルスケア」の2主力事業に次ぐ、新たな柱として「宇宙・防衛」、「美容」、「エネルギー」事業分野へ参入できる。またライコル社が得意とするフラックス法結晶成長技術と同社が保有する単結晶成長技術を融和させ、半導体分野等で新材料の製品開発を加速させることができるとのこと。また両社は異なる結晶を製造販売しており製品ラインナップが充実し、ワンストップでの製品提供が可能となる。特に「量子」分野では、ライコル社が既に世界各地域で多くの顧客を獲得しており、これに同社「光計測・新領域」事業における結晶とデバイス化技術を加えることで量子分野のほぼ全ての種類のメモリ結晶と波長変換結晶を提供できるようになる。

 

 

3新工場建設で能力増強進め24/2期は23/2期期ずれ分とライコル社連結で収益上伸期待

 

 同社は各事業の需要拡大に対応、横浜事業所移転・増床、山梨に第4、第5、第6工場新設を推進、半導体事業の部材問題の中でも設備増強は緩めず、むしろ半導体事業の拡充を加速させている。中心は半導体事業のレーザ機器で、従来の月産5~6台に対し、450㎡の増床で月産10台の生産が可能に。これらの能力増強効果は24/2期に現れ、24/2期について半導体分野では今回の部材問題で納入ができていない4億円分も加え、適正受注残高まで生産が追いつき、収益の上伸が見込まれる。また光計測・新領域も期ずれ分の売上計増が見込まれ、既存事業での収益大幅回復、最高益更新が見込める。これに加えてライコル社連結で収益上伸が見込まれる。ライコス社収益は22/12期に売上高16億円(前期比46%増)が見込まれているとのことで、利益の開示はないものの、営業利益率10%として1.6億円、23/12期も収益上伸が見込まれるとして、同社連結にも大きなプラスとなろう。

 

高品質光学単結晶からレーザ製品への展開、新分野での売上拡大で成長持続期待

 

 同社の強みは光の波長変換技術と波長変換に必要な高品質な単結晶の製造技術にある。特に紫外からテラヘルツなど難易度の高い領域をメインに、結晶欠陥を極小化し、結晶品質を他社比1000~1万倍に高め、少量生産で高付加価値、新材料で市場創造し高付加価値化を図ってきた。今後、フェムト秒レーザ分野などでも新製品開発を進め、利用分野拡大を目指す。またパワー半導体、通信分野での拡大を視野に、M&Aや事業提携なども積極的に行う方針で、今回はM&Aで防衛、化粧品などの分野を獲得した。

 

 今後の注目はパワー半導体分野で UJ-Crystalと共同で一般的な昇華法によるSiC単結晶育成方法に対し溶液法を用いて結晶育成する。溶液法は同社が得意とする単結晶育成技術の中で、高周波誘導加熱CZ法と技術的親和性が高く、高純度を必要とする領域での量産化を目指す。ターゲットは8インチ大口径だが、6インチ対応を早期量産化、特にP型SiCの量産化を急ぎ、25/2期にも収益寄与を目指す。

 

 また通信分野ではLQUOM 株式会社へ出資、長距離量子通信機器の実用化に向けた研究開発を目的とする資本業務提携を締結、キーデバイスである高品質波長変換素子、および量子中継器で利用される高品質光学単結晶、高機能波長変換導波路素子の供給、デバイスまで広げて供給を行う計画。こちらはビヨンド5Gを睨み、中長期的に大きなインパクトを見込む。今回、ライコル社取得により量子もつれ光を発生するKTP結晶とPPKTP素子を利用し可能となる波長変換デバイスも利用できる事となり、大きな期待がかかる。

 

 ヘルスケア分野ではアルツハイマー検査用に頭部用PET検査需要の急拡大か見込まれる。アルツハイマー型認知症患者数は2019年時点で5500万人、癌の患者数1400万人を上回っており、同社のシンチレータ単結晶が頭部用PET装置の本格普及とともに飛躍的に拡大する可能性がある。

 

 25/2期以降、新分野での売上拡大も加わり、中期的にも成長持続が期待される。

 

 

 

 

(H.Mirai)

 

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