日立造船と日立ハイテク、ごみ焼却発電施設でAI制御長期運転成功
施設の発電効率を向上させ、省エネルギー化やカーボンニュートラルに貢献
日立造船株式会社(代表取締役社長兼CEO三野 禎男/以下、日立造船)と株式会社日立ハイテクソリューションズ(代表取締役 取締役社長:三浦 英俊/以下、日立ハイテクソリューションズ)は、ごみ焼却施設において、AI(人工知能)によるボイラ過熱蒸気の過去の状態変動パターン学習により、リアルタイム*1で過熱蒸気の最適温度帯を予測し、制御動作を先行的に行うことで、蒸気温度の低下による発電ロスを最小限に抑えて90日間の長期運転*2に成功した。
このAI制御システム(以下、同システム)は、株式会社日立製作所(以下、日立)が開発した強化学習技術を採用しており、実プラントでの試行錯誤的な繰り返し運転を必要とせず、過去のプロセス運転データのみを用いてプラント制御の学習モデルを構築することが可能。
同実証の成功を受けて、日立ハイテクソリューションズは本システムをRL-Prophet(アールエルプロフェット)として製品化した。今後、日立ハイテクソリューションズは、同システムをごみ焼却施設のさまざまなプロセスのほか、一般産業などへの展開も構想しており、システムの活用を通して省エネルギー化やカーボンニュートラルなどGX(グリーントランスフォーメーション)*3への貢献、また熟練者の減少や労働力不足といった社会課題にも応えていく。
■AI制御システムの特長
同システムは、変動の大きいプラント制御に適した日立の強化学習技術を採用し、AIによって最適な制御則をリアルタイムで導き出すシステム。DCS*4の一般的な制御技術であるPID*5制御のような後追い型の制御とは異なり、実プラントでの試行錯誤的な繰り返し運転は不要となる。同システムは、過去のプロセス運転データのみを用いてプラント制御の学習モデルを構築し、現時点での最適制御則を導き出しながら運転を行う。さらに、運転中にこれまで経験したことがない新たな挙動が発生した場合、”未学習”として判定した上で、運転に有効な挙動であれば、新たなAIモデルとして登録し、より優れた制御へと成長させることが可能となる。
PID制御とAI制御システムの制御手法の比較
*1 リアルタイム:最短1秒周期
*2 はだのクリーンセンター協力のもと、日立ハイテクソリューションズがシステムの開発と実装、日立造船がプラント制御への適用を行い、最終的に約3 か月(休炉を除く連続期間90 日)の長期運転を達成。
*3 GX(グリーントランスフォーメーション):温室効果ガスの排出につながる化石燃料などの使用を、再生可能エネルギーなどに転換することで、社会経済を変革させる取り組み。
*4 DCS: Distributed Control System プラント制御における一般的な制御システムの総称
*5 PID:Proportional-Integral-Differential Controller プラント制御における代表的な制御手法
■ AIプラント制御システムに関するウェブサイト
(IR universe rr)
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