ZACROS 使用済み剥離PETフィルムのリサイクル技術を開発
~独自の研磨洗浄技術で、高品質再生と温室効果ガス38%削減~
ZACROS株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:下田 拓)は、7月8日、電子機器の製造工程などで使用されたポリエチレンテレフタレート製剥離フィルム(※1)から表面の機能層を除去する独自技術を開発したと発表した。同フィルムは従来多くが焼却処理されていたが、この技術により、これらのフィルムを高品質なリサイクル材に再生することが可能となる。焼却処理と比較した場合、温室効果ガス排出量を38%削減(※2)する。
■開発の背景
剥離PETフィルムは、最適な剥離強度で製品からフィルムを剥離できるようシリコーンなどの機能層が塗付されている。同フィルムをリサイクルする場合には、この機能層の存在がリサイクル材の品質を大幅に低下させる問題があり、従来はリサイクルされずに焼却処理されることが一般的だった。
一方、世界的には環境問題への意識の高まりからプラスチックの資源循環に関する取り組みが加速しており、同社はこうした社会的要請に応えるため、剥離PETフィルムの高品質リサイクル技術の開発に取り組みんだ。
■剥離PETフィルムのリサイクル技術について
剥離PETフィルムを高品質にリサイクルするため、当社は懸案の機能層を除去する独自のフィルム研磨洗浄技術を開発しました。さらに、素材の性能劣化を抑える特殊なペレタイズ方式を用いている。
図:剥離PETフィルムのリサイクル工程
同技術は以下のような特徴を備えている。
* 独自の研磨洗浄技術(特許出願中): 剥離PETフィルム表面を研磨し機能層を除去
* 非溶融ペレタイズ(※3)方式: 研磨済みフィルムを溶かさずにペレタイズし、素材の性能劣化を最小限に抑制
* 環境負荷の最小化: 有機溶剤不使用かつ溶融エネルギー不要のプロセス。焼却処理を行う場合と比較し温室効果ガス排出量を38%削減
■今後の展開
同社では、剥離PETフィルムの回収からリサイクル材の活用まで、様々な企業等と連携しながら資源循環のスキームづくりを進めている。また、当該工程で得られた再生ペレットから再度フィルムを製膜し、自社製品への採用を検討していく。なお、同社は同技術について2026年度の社会実装を目指している。
※1 剥離フィルム:基材となるプラスチックフィルムに剥離剤を塗布したもので、粘着製品の粘着面の保護などに使用される。
※2 温室効果ガス排出量の算定は、一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO)における算定ロジックの確認に基づいて、自社にて実施。
※3 ペレタイズ:プラスチック材料を小さな粒状(ペレット)に加工する工程。一般的な方法では、材料を高温で溶かして粒状に形を整えるが、この熱処理によってプラスチックの品質が低下することがある。
(IR universe rr)
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