丸紅 EV用リチウムイオン廃電池のリサイクル事業へ参画
~米国Cirba社の株式取得~
丸紅株式会社(以下、「丸紅」)は、北米最大の廃電池リサイクル業者であるCirba Solutions, LLC(サーバ ソリューションズ)(以下、「Cirba社」)の株式を第三者割当増資引受けにより、50百万米ドルで取得した。
Cirba社は、EV等に利用されるリチウムイオン電池(以下、「LiB」)をはじめ多種多様な廃電池のリサイクル事業を30年以上営んでおり、廃電池の回収から電池用希少金属再資源化まで、一貫した循環型サービスを提供している。親会社であり環境サービス事業を営むThe Heritage Group(ザ ヘリテージ グループ)(以下、「THG」)と連携し、車載用、及びスマートフォン等に利用される民生用電池の回収を強化させている。
EVの急速な普及に伴い、LiBの廃電池(以下、「廃LiB」)発生量の急増が見込まれている事に加え、電池用希少金属の採掘に伴う環境負荷の問題から、廃LiBの適切なリサイクル処理と再利用が不可欠となる。また、脱炭素社会の実現に向け、自動車業界等のLiB生産における再生材料のニーズは益々増加していく。
丸紅は、1985年から電池材料分野の原料トレーディングに携わってきた。脱炭素社会に向けた新たな取り組みとして、Cirba社と共同して廃LiBからニッケルやコバルト、リチウム等の希少金属を精製し、再生材料としてサプライチェーンに戻す循環型ビジネスを開発してきた。
Cirba社は既に米国政府から助成金の承認を受けており、今回の増資と併せてEV電池のClosed Loop Recycling(*)構築に向けた設備拡張を加速させる。丸紅は戦略的パートナーとして出資に応じ、廃LiBのリサイクル事業へ参画する。
丸紅は、中期経営戦略GC2024において、「グリーンのトップランナー」になることを目指している。金属分野においては、脱炭素社会に必要不可欠な銅及びアルミニウムで世界トップクラスのグリーン事業及びグリーン化を推進している。今回の出資により、THG及びCirba社との連携を強化し、LiBに必要な希少金属の再生材料を安定供給する事で、環境負荷低減による脱炭素社会の実現に貢献していく。
(*)Closed Loop Recycling:生産時に発生した廃棄物、スクラップや、回収した使用済み製品を再び同種製品に活用する手法で、素材の持つ本来の性質を損なうことが無い形で同じ素材の原料として無限に循環利用されるリサイクル。
<会社概要>
会社名/Cirba Solutions, LLC
所在地(本社)/米国・インディアナ州
代表者(CEO)/David Klanecky
設立/1991年
事業内容/廃電池のリサイクル(回収、選別、診断、交換、破砕・分離処理)、廃電池由来の再生材の販売
HP/https://www.cirbasolutions.com/
Copper Markへパートナー登録
丸紅株式会社(以下、「丸紅」)は、2023年1月24日に、Copper Mark(*1)の活動及び目的・ビジョンに賛同するパートナーへの登録を完了した。
Copper Markは、2019年に国際銅協会(International Copper Association, ICA)(*2)によって設立された、銅産業の「責任ある生産」ならびに国連が提唱するSDGsへの貢献を示す枠組み。パートナーへの登録は、Copper Markの活動及び目的・ビジョンに賛同する企業であることを示す。
丸紅は、出資するチリ共和国・センチネラ銅鉱山、アントコヤ銅鉱山、ロスペランブレス銅鉱山の3鉱山すべてでCopper Markの認証を取得している。今回のパートナー登録を通じ、投資事業とトレード事業の両面から、銅産業の「責任ある生産」及びその認証を受けた製品の普及に関する取組みを進めるとともに、持続可能で強靭なサプライチェーンの構築を目指す。
(*1) Copper Mark:
国連のSDGsに沿った銅産業の「責任ある生産」と取引を確保するための認証制度。認証取得にあたり、環境、人権、コミュニティなどの32の基準に基づいて評価され、適合する必要がある。
(*2) 国際銅協会(International Copper Association):
銅の新用途開発を含めた市場開拓、需要促進を目的とし、国連が提唱するSDGsに積極的に貢献し、世界各国の銅鉱山、製錬会社及び銅加工会社が会員となっている世界的組織(本部:米国ワシントンD.C.)。
(IR universe rr)
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