DICと出光興産、バイオマスポリスチレンの製造に向けた検討開始に合意
-CO2排出量削減に向け新たなサプライチェーンを構築、プラスチック原料のバイオマス化を加速ー
DIC株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役 社長執行役員:猪野 薫)と出光興産株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:木藤 俊一)は、新たなバイオマスプラスチックのサプライチェーンを構築し、バイオマスポリスチレン(以下「バイオマスPS」)の製造に向けた検討開始に合意した。バイオマスPSの製造は、DIC四日市工場において2023年後半までに開始予定。
近年、CO2排出量の増加に伴う気候変動は、世界的な課題として大きく取り上げられている。また、日本国内でも「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」の施行や、2030年代からの「カーボンプライシング」導入への調整が開始されるなど、資源循環やカーボンニュートラル実現に向けた取り組みが加速している。両社はともに気候変動対策を加速し、持続可能な循環型の資源利用を推進することを経営課題と認識、今回、環境負荷の低いバイオマスPSの製造に向けた検討を開始した。
バイオマスナフサは、再生可能資源である植物を由来とする原材料などから製造されることから、石油由来のナフサと比べてCO2排出量を抑制することが可能。出光興産が製造するバイオマスナフサ由来のスチレンモノマー*1(以下「バイオマスSM」)は、持続可能な製品であることを証明する国際認証「ISCC PLUS認証」*2を取得しており、同認証に基づくマスバランス方式*3を採用した製品を供給する。DICは、2023年後半までに「ISCC PLUS認証」を取得予定であり、バイオマスSMを原料としたポリスチレン*4を製造する予定だ。
バイオマスプラスチックのサプライチェーンは、従来の販売スキームと比較して、原料であるバイオマスナフサ生産からバイオマスPSの製造までのサプライチェーン全体でより強いパートナーシップが求められる。
DICと出光興産は今回新たに構築するサプライチェーンを通して、プラスチック産業のCO2排出量の削減目標に貢献する基本方針に合意している。同連携により、今後も顧客やサプライヤーとの連携を強化し、サプライチェーン全体でカーボンニュートラルと循環型社会の実現を目指す。
*1 スチレンモノマー:芳香族炭化水素の一種で、ベンゼンの水素原子の一つがビニル基に置換した構造を持つ。天然物質として自然界に存在し、一般的には原油やナフサなどから得られたエチレンとベンゼンを化学反応させて製造される。ポリスチレンやABS(アクリルニトリルブタジエンスチレン樹脂)の原料。
*2 ISCC(International Sustainability and Carbon Certification)認証:持続可能性および炭素に関する国際認証。ISCC PLUS は全世界で販売されるバイオマスベースや再生由来原料および製品について、サプライチェーン上で管理・担保する認証。
*3 マスバランス方式:原料から製品への加工・流通工程において、ある特性を持った原料(例:バイオマス由来原料)がそうでない原料(例:石油由来原料)と混合される場合に、その特性を持った原料の投入量に応じて、製品の一部に対してその特性の割り当てを行う手法。
*4 ポリスチレン: スチレンモノマーから作られる熱可塑性ポリマーで、ポリエチレン(高密度と低密度の2種類)・ポリプロピレン・ポリ塩化ビニルと並び、5大汎用樹脂のひとつに挙げられている。ポリスチレンは大きく分けると、透明性が高く硬いという特徴の汎用ポリスチレン(GPPS)と、ゴム成分を加えて衝撃性を改良した乳白色の耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)の2種類がある。
(IR universe rr)
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