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資源自立経済確立へ提言――自民PT 成長戦略への明確な位置付け求める

 サーキュラーエコノミー(=CE:循環型経済)の実現へ、自民党がアクションを起こした。11日、自民党経済産業部会資源自律経済プロジェクトチームが政府に、「世界最先端の資源自律経済の実現に向けた成長戦略への提言」をした。そのキーワードはチーム名由来の「資源自立経済の確立」。21世紀後半も日本経済が成長軌道に踏みとどまるための処方箋として、CEの制度設計でギアチェンジを求めた。

 

 CEは製品、素材、資源の価値を可能な限り長く保全・維持し、生産と消費における資源の効率的な利用を促進することで、資源利用に伴う環境への影響を低減し、廃棄物の発生や有害物質の環境中への放出を最小限にする、そんな経済システムと定義されている。EU(欧州連合)がCEへの移行で先行している。

 

 提言では「従来の大量生産・大量消費・大量廃棄を前提とするリニアエコノミーでは、資源・環境の両面で過負荷が生じるだけでなく、潜在成長率の低下にも直結する」と指摘。その上で、「新型コロナウイルス感染症の感染拡大やロシアによるウクライナ侵攻は、特定国・地域への資源依存リスクを顕在化させた」ともし、わが国が経済の自律化・強靭化と国際競争力を獲得するためにCEへの移行による資源自律経済の確立が喫緊の課題である強調している。

 

 11日は自民党経済産業部会の岩田和親会長や資源自律経済プロジェクトチームの関芳弘座長らが松野博一官房長官、西村康稔経産相、西村明宏環境相に提言書を手渡し、成長戦略に「資源自立経済の確立」を明確に位置付けるよう求めた。小泉進次郎・元環境相はプロジェクトチームの常任顧問を務めており、松野官房長官・西村経産相への提言に同行した。

 

 7項目の提言内容は以下の通りである。

 

1<経済安全保障への具体的な貢献>

希少金属や貴金属のみならず、いわゆるベースメタルについても将来的な枯渇リスクが指摘される金属が存在しており、また、鉱物資源の多くが、特定の国・地域に偏在している傾向が高く、資源ナショナリズムの台頭や環境・人権対応要求の高まりから調達のリスク・コストが増大している。

このため、有望な国産資源開発の促進の重要性は論を俟(ま)たないが、鉱物資源の供給途絶リスクや供給途絶時の経済へのインパクトの大小を踏まえ、特にクリティカリティの高いマテリアルについて、循環の実態を把握の上、循環資源の更なる活用を進めるための措置として、資源の国外流出を始めとする循環を阻害している要因の特定、定量的な目標の検討、効率的回収の強化、高度なリサイクル技術の開発・投資支援等を実施すること。

 

2<気候変動対策への具体的な貢献>

ものづくり立国である日本の排出の3分の1は素材産業から排出されており、排出削減目標(年度に温室効果ガスを2030年度比で46%削減)の達成のためには、多くの素材産業いわゆる「Hard to abate」産業からの排出の抑制が目標達成の成否に直結する。

また、日本の国土の3分の2が森林であり、従来の木材としての利用に加えて、バイオマスプラスチックやセルロースナノファイバー(CNF)といった木質系新素材の活用を始めとする、「フォレスト・サーキュラーエコノミー(森林・木材循環経済)」を通じて、国内林業・木材産業の持続可能性を高め、グリーン成長に貢献するポテンシャルがある。

このため、ペットボトルにおけるボトルtoボトルの水平リサイクルの好事例を筆頭に、産業で利用するエネルギーの脱炭素化と並行して、天然資源由来のマテリアルの利用量の削減や再生材、再生可能資源(木材・木質資源を含むバイオ由来資源)等の循環資源の活用等を推進する環境整備を行うこと。具体的には、①GX目標の達成に貢献する2030年、2050年を見据えた個別製品・素材ごと、地域ごとの具体的な指標や野心的な定量目標の設定を含むビジョン・ロードマップの策定、②資源有効利用促進法の対象品目の追加による、循環配慮設計の拡充・実効化、循環価値の可視化のための表示制度の適正化、資源回収のための規制緩和を始め、廃棄物から資源への転換を進め、「3R法制」の抜本的拡充・強化を含む、製造業等の動脈と廃棄物処理業等の静脈が有機的に連携する「動静脈連携」の加速に向けた制度枠組みのあり方を中心に産官学で検討すること。

併せて、GX先行投資支援策(資源循環分野において今後年間で約2兆円~の投資)を最大限活用して、野心的な定量目標の達成に果敢に挑戦する取組をサポートし、大胆な産業構造の転換を促進すること。

 

3<情報流通プラットフォームの早期構築>

資源循環の成功の鍵は「見える化」と「行動変容」が握っており、バリューチェーン全体で情報を共有して循環実態の可視化とトレーサビリティの確保を進めなければ、国民・企業の実際の行動変容には繋がらない。

そのため、国内外の先行事例をユースケースに位置付け、社会全体で成功体験を共有しながら、共通データフォーマットやプラットフォーム間の相互連携インターフェイス等の要件を早期に具体化すること。そして、ライフサイクルアセスメントによるカーボンフットプリントやマテリアルフットプリントの算定・表示や製品・素材の品質保証を含め、デジタル技術を活用したデータの流通を促す情報流通プラットフォームの構築を一気呵成(いっきかせい)に進めること。その際、例えば、カーボンフットプリントの算定には排出係数が大きく影響を与えること等から、カーボンフットプリントやマテリアルフットプリント等の環境指標の算定根拠や貢献については、国内のみならず、国際整合的なものとすること。

 

4<製品・サービスの循環配慮設計の徹底>

製品が環境に与える影響の最大80%は設計段階で決定されるとも言われるほど、製品設計の段階での取組が製品のライフサイクル全体での重要な位置を占める。

そのため、従来の3Rに基づく「環境配慮設計(Eco-design)」を、サーキュラーエコノミーを前提とした「循環配慮設計(Circular-design)」に発展させ、循環配慮設計の標準化を推進するための製品別の基準を整備するとともに、特に優れた製品設計については「トップランナー設計」として評価する仕組みを検討すること。

その際、再生材や再生可能資源等の循環資源の活用が重要になるが、新品材よりも高コストな循環資源については民間のみでの需給のマッチングは困難であることから、官民連携による循環資源の標準化活動を積極的に推進するとともに、その実効性を担保するため、動脈産業における循環資源の導入目標、静脈産業における供給目標の設定・公表を慫慂(しょうよう)すること。

 

5<製品の長期利用を促進する「Re-コマース」産業の育成>
E-コマースは、インターネット上で取引が完結するため、場所や時間の制限がないという利便性を有し、E-コマースの進展に伴って経済活動は大きく拡大した。

今後、日本が強みを有する技術力に裏打ちされた「ものづくり」に加えて、製品の長期利用を通じて資源利用の最小化と製品価値の最大化を両立する「サービス化」を促進する観点からは、シェアリング、サブスクリプション、リペア・メンテナンス、二次流通等をコマースと掛け合わせた「コマース」産業を育成することが重要である。

「Re-コマース」産業の裾野を広げ、円滑な取引を促進するための「Re-コマース」市場を健全に発展させるために、製品データの標準化や製品データ提供のインセンティブ、QRコードや電子透かし技術を活用した製品データの共有の仕組みの構築、二次流通製品の製品安全担保等に関する環境整備を速やかに実施するとともに、必要となる支援を拡充すること。

 

6<企業による情報開示とファイナンス>

サーキュラーエコノミーの取組は、事業のレジリエンスを高め、中長期的な企業価値の向上に繋がるものの、短期的な収益に顕(あらわ)れにくく、そのことが企業における具体的な取組が進みにくい要因となっている。

そのため、サーキュラーエコノミーの取組を適正に評価し、資本市場からの資金供給が適切に行われる仕組みを構築していくことが必要である。国際的なサステナビリティ情報開示の動向も踏まえ、企業にサーキュラーエコノミーに係るリスクや機会に関する自主的な情報開示を促すとともに、企業と投資家・金融機関等との建設的な対話・エンゲージメントを後押しすること。

また、企業のサーキュラーエコノミーへの取組が資本市場から評価されるようになる上で、そうした取組が消費市場、労働市場から適正に評価されることが有益であることから、取組の「見える化」、「評価基準の整備」等を進めること。

さらに、オープンイノベーションによる成長と競争力強化に向けた果敢な挑戦を後押しするため、サーキュラーエコノミーに取り組む社会課題解決型のスタートアップやベンチャーに対して、リスクマネー供給を含む適切な資金供給を通じて、伴走型の支援で次世代の産業基盤を構築すること。

 

7<国際連携の抜本的強化>

本年は日本がG7のホスト国であり、日本でのG7の関係閣僚会合及び広島サミットにおいて、サーキュラーエコノミーへの移行の重要性に関する先進国間の共通理解を深めるととともに、日本のイニシアティブによりこれを加速するため、具体的に提案すること。

具体的には、

➀昨年のG7で取りまとめられたベルリンロードマップに示されている、「循環経済及び資源効率性に関する原則(Circular Economy and Resource Efficiency Principles(CEREP))」の具体化

②バリューチェーン全体での循環性の測定と情報共有・利活用を促す情報流通プラットフォームの連携

③経済合理的で安全な回収・リサイクルに基づくクリティカルミネラルの確保について提案すること。

また、本年は日 ASEAN友好協力50周年という記念すべき年でもあり、を始めとする友好国・有志国との連携・協力の下、国際資源循環の礎となる国際標準化に積極的に参画するとともに、ネットワーク作りのための対話を戦略的に強化すること。特に、電気電子機器廃棄物(E-waste)については、2025年1月よりバーゼル条約の規制が強化されることに伴い、リサイクル原料の安定確保の観点から、日本を金属資源リサイクルの国際ハブとして資源循環を実現する国際資源循環システムの早期確立に向けた対応を行うこと。

さらに、SDGs達成の目標年である2030年を5年後に控える2025年大阪・関西万博では、日本の先進的な取組を披露する絶好の機会であり、サーキュラーエコノミーを体現する世界初のイベントを目指し、会場内外での実証・展示を通じて、日本発のエコ習慣や技術を世界に向けて積極的に発信すること。

 

このようにサーキュラーエコノミーの重要性が高まる中、IRUNIVERSEは、4月26日に「サーキュラーエコノミーシンポジウム2023 at 六本木ヒルズアカデミー」を開催する。

 

(IRuniverse G・Mochizuki)

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