積水化学と東海カーボン CCUS の実用化に向けてパートナーシップ締結
積水化学工業株式会社(代表取締役社長:加藤敬太)と東海カーボン株式会社 (代表取締役社長:長坂一)は、二酸化炭素(CO2)を一酸化炭素(CO)へ高効 率で変換する技術(以下「ケミカルルーピング反応技術」)によって生成された CO を用いた、各種炭素素材・製品の製造技術(以下「CCU」)及び CO2 を固体炭素として回収・貯留する技術(以下 「CCS」)の実用化を目指し、4 月 18 日、パートナーシップを締結した。この技術が実現すれば、 化石資源への依存度を低減し、各種炭素製品生産時の脱炭素化へ貢献すること、CCS の新たな手法の一つとなることが期待される。
1. 背景
気候変動課題が深刻化し、世界中で温室効果ガスである CO2 を大幅に削減することが求められている。そのようななかで、CO2 を燃料や化学製品に変換して活用する CCU や、CO2 を回収・貯留す るCCS が CO2 の大気中への放出を削減する技術として注目されている。
また、炭素製品は、自動車や建築、機械、電子部品などさまざまな用途で使われ、生活を豊かにしている素材だが、原料の多くは化石由来の物質であり、製造工程における CO2 排出量も大きいため、グリーン化が大きな課題となっている。CO2 を炭素に直接変換する技術は既にあるが、変換効率が低く、CCU 実現のためには更なる技術開発が求められている。
また、現在の CCS は CO2 を地中や海底に直接貯留する方法が一般的だが、その貯蔵方法では 圧力が必要となり貯留施設の立地に制約が生じる。今後拡大する CCS の需要に鑑みると、固体炭素としての貯留のような、立地の制約を受けず、圧力に依らない貯留形式の開発が望まれている。
現在、 積水化学は、 ケミカルルーピング反応技術において、独自開発した触媒と反応プロセスによって、CO2を90%という高い転化率でCO に変換する革新的技術を開発している。 東海カーボンは100 年以上にわたり培ってきた各種炭素素材・製品の製造・評価技術や設備を活かし、 各種形態(固体、液体、気体)の原料を用いて、 これに適した組成配合・ 製造方法により製品開発を行っている。両社は保有する技術を活用することで革新的なCCUSプロセスを実現することができると考える。
2. パートナーシップに基づく実施目標
ケミカルルーピング反応技術により炭素製造に由来する排ガス中のCO2 を一度 COへ変換し、 そのCO を炭素へさらに変換して炭素製品を製造する CCU 技術と、CO2 を直接貯蔵するのではなく、固体炭素として貯蔵する CCS 技術の実現を目指す。炭素製造時に発生する CO2を削減することを目指すと同時に、前者は2段階に変換することで、 CO2 を炭素に直接変換する技術よりも高い変換効率を見込み、後者は圧力を利用する必要がなくなることで貯蔵場所を広げ、 また、 化学素材やエネルギ一の備蓄になる。
3.今後の展開
同パートナーシップにおいて環境負荷の優位性や経済性が認められれば、 パイロットプロジェクトを進め、2030 年を目途に商用化を目指す。 炭素素材・製品製造時のCO2を削減し、 CCU により生活を豊かにする炭素という素材に変えるとともに、炭素製造時の排出CO2に限らず、 幅広い CO2 源のCCS により CO2を排出削減し、 世界の脱炭素化と資源循環に貢献する。
(IR universe rr)
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