第3回量子コンピューティングEXPO春 量子時代を支える大阪大学&blueqat
RX Japanが主催するNexTech Week(ネクステックウイーク)2023春 ―人、企業、世界の「未来へ」― が2023年5月10日(水)〜12日(金)の3日間、東京ビッグサイト(南展示棟)で開催されている。2022秋は、幕張メッセで開催された。NexTech Week2023春における同時開催は、第7回AI・人工知能、第4回ブロックチェーン及び第2回デジタル人材育成支援である。
東京ビッグサイトでは、その他、西ホールでは教育総合展
東ホールでは総務・人事・経理Week春2023が開催されていた。
上の写真はAI・人工知能EXPO会場の様子
量子コンピューティングEXPO春としては第3回目の開催となるので、春が3回目、秋が2回なので、常連企業は、計5回出展していることになる。
東北大学は昨年も春には出展していないので、秋のみとしているのかもしれない。
<量子ソフトウェア研究拠点>
東北大学に代わりに大阪大学を中心とする、量子ソフトウェア研究拠点(QSRH)のプレゼンテーションに人が集まっていた。
5月10日は下記のプレゼンテーションが予定されていた。
量子ソフトウェア研究拠点の企画推進室の野口裕信氏(※QIQB:量子情報・量子生命研究センター特任准教授)によるプレゼンテーションから開始された。
※QIQB:Quantum Informaion and Quantaum Biologyについて
QIQBは、量子イノベーションの国際拠点(世界に開かれた共同研究拠点)として垣根のない先進的な研究に取り組んでいる。
量子コンピューティング、量子情報融合や量子情報デバイス、量子通信・セキュリティ、量子計測・センシング、そして量子生命科学の6つの研究グループから構成されている。
2018年7月1日:先端的学術研究機構 量子情報・量子生命研究部門設置
2020年3月1日:先導的学術研究機構 量子情報・量子生命研究センターに先進的改組
2021年4月1日:世界最先端研究機構 量子情報・量子生命研究センターに発展的改組
量子コンピューティング領域では、大規模な量子コンピュータを実現するための汎用的に使用できるミドルウェアの開発、誤り耐性量子コンピュータのアーキテクチャ設計といった、量子コンピュータの開発に関する研究にも取り組んでいる。
その他、
量子情報デバイス領域では、イオントラップ・半導体量子・フォトニクスなど多岐にわたる材料の量子的ふるまいを研究。材料の特性を生かした量子情報デバイスを開発し、このデバイスを活用することで量子コンピュータの開発や、未踏波長域のレーザーの実現を目指している。
量子計測・センシング領域ではイオントラップを用いたジャイロスコープの小型化・高精度化、超偏極分子を用いたNMR・MRI技術の高感度化などのテーマに取り組んでいる。
量子ソフトウェア研究拠点において、野口裕信特任准教授は、研究課題1を担当されている。
<量子ソフトウェア研究拠点の目指す未来:3つの目標>
量子ソフトウェア、開発プラットフォームの構築
社会課題を解決する基盤の確立
量子ソフトウェアの社会実装と普及
<7つの研究開発課題>
課題1:量子コンピューティング技術の普及とユースケース探索(人の育成及び知ってもらう。)
課題2:機械学習、数理データ科学、金融分野のアプリケーション研究開発
課題3:材料や化学、物性分野の科学技術フロンティアのアプリケーション研究開発
課題4:NISQ(Noisy Intermediate-Scale Quantum Computer)基盤技術実装、シミュレーション技術、誤り耐性量子計算アーキテクチャ(誤りのある中で、誰でも簡単に使えるようなソフトウェア基盤ツールを構築。)
課題5:量子コンピュータと古典コンピュータを統合的に制御するクラウド環境構築
課題6:量子ソフトウェアによって使い方が定義できるプラットフォーム実現のための汎用量子ミドルウェアを開発(量子ビットを制御するための装置は、量子ソフトウェアと直接的に接続できない。そのため量子ソフトウェアと量子ハードウェアの間に量子ビットにマイクロ波を当てて量子状態を制御する量子ミドルが必要となる。)
課題7:プラットフォーム型電子コンピュータテストベッドの開発(超電導量子コンピュータやイオントラップ量子コンピュータなど、あらゆるタイプの量子コンピュータと接続可能なテストベッド環境)
<耳より情報>
量子情報に関する最新情報を一元的に提供するポータルサイト「Q-Portal」が4月26日に公開された。本サイトでは関係機関におけるサービス・製品・研究成果などに関する最新のプレスリリース、各種イベント・教育プログラムの開催情報等が得られる、
運用にあたっては、量子技術イノベーション拠点のヘッドクオーターである国立研究開発法人理化学研究所が事務局を担う。情報の集約に関しては、内閣府・総務省・文部科学省・経済産業省などの関係府省、一般社団法人量子技術による新産業創出協議会(Q-STAR)、一般社団法人量子ICTフォーラムなどの産業界、量子イノベーション拠点などの大学・研究機関kなどからの協力の下で運用が進められる。
常連の凸版印刷は、今回は単独ブースではなく、ISARA、国立研究開発法人情報通信研究機構との併設ブースとなった。
東京大学素粒子物理国際研究センター(ICEPP)と共同研究している量子人工知能に関する研究、大阪大学との量子コンピュータを活用した材料開発・評価手法に関する共同研究等を紹介した。
昨年のEXPO秋での目玉《世界初、耐量子計算機暗号をICカードシステムに実装》である耐量子計算機暗号を実装したPQCカードについては、PQC対応のプライベート認証局の構築まで進んだようだ。
量子コンピューティングEXPO秋 量子前提時代を支えるTOPPAN及びOXIDE | MIRU (iru-miru.com)
ノアソリューション(株):こちらは初出展。初出展のため、やや不慣れ感があるが、DXソリューション部の張氏にお話を伺った。中国に支社があるとのこと。初出展のため量子として出展しているが、歩容認証(顔認証ではなく、歩き方の特徴で認証する。)、挙動検知(こちらは万引き等で、おかしな挙動を検知する。)などAI分野のものが多かった。
秋には、AI・人工知能EXPOにも出展する予定とのこと。量子コンピュータとしてはQUBO(二次最適化)ソルバを紹介。こちらは、多くの顧客にブースに立ち寄っていただくよう声がけをしていた唯一のブースであった。
<Blueqat>
常連のBlueqat。これまで提携会社の名前は、会場案内図に記載されていなかったが、今回からすべて記載された。
アーク情報システム、エクイニクス・ジャパン、OQC、キング・テック、シンデン・ハイテックス、Cliffhanger、DEVEL、ビジュアルテクノロジービネット&クラリティと多くのスタートアップ企業又はベンチャー企業が集まった。
アーク情報システムでは、ソフトの価格についてお聞きした。地震に対する耐震性などのシミュレーションソフトを紹介。原子力発電所の建設等に利用できるとのこと。何百万との価格について、やや割高感があり、大学には、アカデミアパッケージがあるとのこと。大手ゼネコンなどから引き合いがあるようである。
Blueqatの川原氏にお話を伺った。
今回は、量子コンピュータを表に出さず、ソフトな展示。広告の最適化を紹介した。
写真左が、川原氏。広告最適化について説明中。
広告最適化では、はやりのChatGPTも活用し、量子技術とAIによりと写真及びキャッチコピーの最適化を図ることで、広告効果の高い広告を自動作成する。
ただし、ネット上にある情報から探し出すので、正しいかの判断は人間に求められるようである。
また、ChatGPTで重要となるのは、短い言葉で適切に作業を指示する能力とのこと。感性で生きていて、しかも、あれとかこれとか、指示語の多い筆者には難しい要求である。
午後は、AI・人工知能を取材予定である。
(IRUNIVERSE tetsukoFY)
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