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タツモ(6266) 23/12期WEB決算説明会メモ 減額懸念あり中立イメージ

23/12Q1プロセス機器遅延続き36%減収営利赤字転落、受注32%減で23/12期減額懸念

株価2082円(5/26) 時価総額310億円 発行済株14813千株

PER(DO予:14.9X)PBR(1.79X) 配当(23/12DO予)20円  配当利回り:1.0%

 

要約

・23/12Q1プロセス機器遅延続き36%減収営利赤字転落、受注32%減も受注残積み上がる

・23/12期豊富な受注残背景に会社予想29.0%増収11.1%営利増も遅延から収益減額懸念

・中計再見直し25/12期に売上高406億円、経常利益50億円予想は24/12期回復で達成期待

 

23/12Q1プロセス機器遅延続き36%減収営利赤字転落、受注32%減も受注残積み上がる

 

 塗布技術を生かした半導体装置を中心に事業展開。5/12に23/12Q1決算が開示された。23/12Q1は売上高38.64億円(同期比36.0%減)、営業損失1.36億円(同7.81億円減、赤字転落)、経常損失2.31億円(同9.85億円減)と、検収遅延の影響が複数発生し収益低迷に。

 

 製品別では主力のプロセス機器部門が売上高28.80億円(40.5%減)、営業損失0.62億円(同期比6.42億円減、赤字転落)、受注41.82億円(31.5%減)も受注残は309.37億円(21.0%増)に。この内、半導体装置は売上高4.89億円(同57.5%減)、受注20.59億円(15.1%減)、受注残118.80(同78.8%増)となった。売上では元々検収予定案件が少なく、しかも検収遅れが発生、受注はIT投資減退で低迷、但し受注残は検収遅れ等も有り積み上がった状況に。搬送装置は売上高18.25億円(同0.7%増)、受注17.57億円(同16.4%減)と、半導体製造装置向けに売上は堅調も受注引合いが弱く受注減に。洗浄装置は売上高4.76億円(同65.9%増)、受注3.65億円(63.7%減)。売上は前期検収遅れ分の寄与も一部今期分で検収遅れが発生、受注は前期の大型投資の反動減が影響した。

 コーターは売上高0.89億円(同96.9%減)、受注0.01億円(同99.9%減)と装置検収予定無くゼロベース、受注残は45.73億円残る。プロセス機器全体の利益は売上で検収遅れ、特に半導体製造装置の売上げ減が影響、但し会社計画では想定よりも赤字縮小、但し黒字化ができなかったとのこと。

 

 その他事業では、表面処理事業が売上高6.27億円(同20.6%減)、営業損失0.58億円(同1.86億円悪化し赤字転落)、受注7.35億円(同38.2%減)と、売上では検収遅れ、受注は引合いが多いも成約に遅れ、利益は検収遅延が影響。金型・樹脂成形は売上高3.57億円(同11.6%減)営利0.08億円(同63.5%減)も全体への影響は小さい。

 

 同社は例年Q4の売上が多く、23/12期も同様の動きとなる模様。但し受注環境がパワー半導体向けを除き厳しさが増し、受注が大きく減退している。また売上面では検収遅れが複数発生、一部で納期先送りもある状況で、Q1で社内計画を下回る推移となった模様。

 

23/12期豊富な受注残背景に会社予想29.0%増収11.1%営利増も遅延から収益減額懸念

 

 23/12期会社予想は売上高314.23億円(29.0%増)、営業利益31.18億円(11.1%増)、経常利益30.87億円(1.6%減)、税引利益21.00億円(6.8%減)と、Q1が計画未達も予想に変更はない。

 

 セグメント別売上予想も変更無く、プロセス機器が229.74億円(19.7%増)予想。中身は半導体製造装置82.22億円(37.1%増)、搬送機器74.53億円(4.4%増)、洗浄機44.12億円(54.0%増)、コーター28.85億円(9.7%減)予想。半導体製造装置はパワー半導体向けの貼合/剥離装置で65億円(2.5倍)を見込む。一方、塗布/現像装置は4億円(84%減)予想。また紫外線照射装置は6.5億円と新規売上げを見込む。洗浄機は前期受注のサムコ向けが寄与し大幅増予想。コーターではFPD向けが36.7%減も、ナノインプリント向け、パネルレベルパッケージでの売上が新規に見込めるなど、FPD向けの大幅減を半導体関連で補い、売上減を最小限に止める計画となっている。

 

 

 現状、売上未達は基本的に検収遅れが主因で有り、Q1においてもが受注残397億円あり、前期末比でも3.5%増と今期売上予想比15ヶ月分、残り3四半期分では17ヶ月分の受注残高を抱えており、検収が進むにつれて会社計画に近づこう。但し足元受注が一部で低迷、機種により納期の先送りもある模様で、一部売上の未達が懸念され、全体として会社計画を下回る売上に止まるとみられる。具体的にQ1での進捗率はプロセス機器が12.5%。内訳では半導体装置の進捗率が5.9%、洗浄機10.8%、コーターが3.1%であり、コーターについては元々想定通りとみられるが、半導体装置、洗浄機では通期でも影響が残るとみられる。表面処理についても検収遅れがあり、生産能力も不足状況で計画達成は難しいとみられる。このため全体として売上の未達成が懸念される。なお利益面ではQ1においてプロセス機器は想定より赤字予想が小さかった模様で、収益性の落ち込みは限定的とみられる。また為替が想定より円安に推移、この分ではプラス要素も有り、通期では大きな収益減額とはならならないとみられる。

 

中計で25/12期に売上高406億円、経常利益50億円目指す

 

 会社側では最終年度を25/12期として「TAZMO Vision2025」を策定、25/12期に売上高406億円、経常利益50億円達成を目指している。内訳は半導体装置の増額が主で、22/12期の60億円に対し25/12期は127億円を見込む。中心は貼合/剥離装置で、22/12期の26億円に対し25/12期に75億円を目指す。この背景にはパワー半導体設備投資の伸長がある。現在、インフィニオン、STマイクロンなど主要ユーザーのパワー半導体投資拡大に加え、中国も大攻勢、日本でも新工場建設が相次ぐ環境で、装置需要の大幅拡大が続く。またEVではSiCを中心とする化合物パワー半導体の採用も相次ぎ、先行するSTマイクロンに加え基板メーカーのウルフスピードやパワー最大手のインフィニオン、日本のローム等も相次いで増強投資を行い市場が急成長している。パワー半導体は高電圧や高温に耐える必要から、ウエハ表面に絶縁層や金属層を貼合、剥離する必要があり、貼合/剥離装置はこれらの作業を精密かつ効率的に行うための装置。実際パワー半導体の高性能化では薄化が必須で、工程は一般的に10工程程度追加が必要と言われている。同社は高いシェアを有し、パワー半導体の伸び率以上に加速が見込まれ、周辺装置を含め、ソリューションビジネスの拡大も見込まれる。またFPD中心に低迷していたコーターでは半導体製造向けにハイエンドサーバーで期待されるPLP対応スリットコーター装置も10億円程度の売上を見込む。同社は極薄で均一な塗布を実現し、高品質なパッケージングを実現するために必要される装置で、省スペース設計となっていることも強味に。さらにナノインプラント装置では従来のフォトリソグラフィーと異なり、金型を直接基板に押し付けることでパターンを転写するため斜めの成形ができる。従来不可能だった形状の製品を製造することが可能となり、VR・ARデバイスに搭載されるレンズや、ウェアラブルセンサーなどの製造に活用が進む見通しにあり、25/12期には30億円規模に急拡大を見込む。このような環境から、23/12期は収益拡大一服も、24/12期は改めて最高益更新が見込まれ、25/12期には中計見通しを上回る収益が期待される。

 

 株価は23/12期会社予想EPS151円に対しPER13.8倍となっており、プライム機械平均PER17.4倍に対し若干割安となっている。しかしQ1での収益進捗率があまりに低く、さすがに通期での減額が懸念され、既に減額修正は織込んだとみられるが、PERは機械平均に近づくとみられ当面ポジティブから中立に変更が望ましい。但し上期段階で減額修正が行われた場合には悪材料を織込み、24/12期予想でPERの割安感が出てくることから今後の成長を評価し、再度ポジティブに変化してこよう。

 

 

 

(H.Mirai)

 

 

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