精工技研(6834) 23/3期決算説明会、展示会メモ 下期回復期待でポジティブ継続
23/3期IT投資減で0.6%増収8.8%営利減、24/3期下期回復で7.2%増収17.9%営利増へ
株価1670円(5/26) 時価総額156億円 発行済株9333千株
PER(24/3DO予12.7X)PBR(0.58X) 配当(24/3予)55円 配当利回り:3.3%
要約
・23/3期はIT投資減速から会社予想未達で0.6%増収8.8%営利減も売上は2期連続最高額
・23/3Q4が光製品の売上急減が影響し同期比24.9%減収45.6%営利減と失速
・24/3期7.2%増収17.9%営利増予想と下期からの回復見込みリーマン後の営利最高益予想
・東海理化と共同で小型部品向けの画期的な「型内塗装技術」を開発、新事業として期待
・中期目標として27/3期に売上高250億円、営利25億円を目指す
23/3期はIT投資減速から会社予想未達で0.6%増収8.8%営利減も売上は2期連続最高額
光通信用部品と製造機器の「光製品事業」、光ディスク,車載,医療用精密成形等の「精機事業」の2本柱で事業展開。23/3.期は売上高162.82億円(期初計画比21.18億円未達、0.6%増)、営利13.90億円(同3.50億円未達、8.8%減)、経常利益16.06億円(同1.54億円未達、2.1%減)と、Q4失速で大幅減額となった。但し売上では僅かながら2年連続で過去最高額更新となった。
部門別は精機部門が売上高83.03億円(同12.42億円減額、2.1%減)、営利3.93億円(同0.37億円減額、2.9%増)となった。主力のインサート成形品は車載センサ部品用基幹部品が自動車生産の調整が長引き減額、但しEVの拡大で豊田自動織機向けカーエアコン用電動コンプレッサ用部品は拡大。またスマホ用金属プレス品も売上減に。利益面ではMIX良化から計画比減額ながら微増益に。光製品関連は売上高79.80億円(同7.0億円減額、3.5%増)、営利9.98億円(3.12億円減額、12.7%減)。光通信用部品が売上高43.44億円(1.1%減)と、リモートWEB需要等が一巡、データセンタ設備投資等が削減、またコロナ影響で中国生産のサプライチェーンの乱れも有りQ4には急減速し微減収。光通信向け機器・装置は売上高35.04億円(9.3%増)と豊富な受注残の消化が進み増収を確保した。利益面ではMIX悪化、光通信用部品の減収、展示会費用等のコスト増から減益に。
23/3Q4が光製品の売上急減が影響し同期比24.9%減収45.6%営利減と失速
四半期推移では23/3Q4にIT投資の減速などが影響、収益が急減速した。23/3Q4は売上高33.77億円(24.9%減)、営利2.39億円(45.6%減)に。
セグメント別では精機事業が売上高19.05億円(11.6%減)、営業損失0.06億円(0.60億円悪化)となった。自動車関連の生産台数が計画を下回り車載関連部品が減少、スマホ用金属プレス部品も調整長引き利益も振るわなかった。光製品関連は売上高14.72億円(37.1%減)、営利2.45億円(36.9%減)に。IT投資がデータセンタ投資なども減速が一段と進み在庫調整の動きから光部品が大きく減少、例年Q4の売上が多いのに対し、今期はQ3比でも28.5%減に。利益面では円安も有り減収も営利率は16.6%と同期比変わらず。
24/3期7.2%増収17.9%営利増予想と下期からの回復見込み25/3期は収益上伸期待
24/3期会社予想は売上高174.60億円(7.2%増)、営利16.4億円(17.9%増)、経常利益16.7億円(3.9%増)、税引利益11.5億円(6.3%増)とした。上期まではまだ光部品等の在庫調整が長引く見通しで3.0%減収、18.2%営利減予想も、下期にはデータセンタの設備投資などが復活、昨今の生成AIなどでデータ利用の急膨張も見込まれ、6.4%増収20.5%営利増予想と下期に収益急回復し通期増収増益を見込む。
事業別では精機部品が売上高91.0億円(9.6%増)、営利5.5億円(40.4%増)予想。自動車生産が軌道に乗り、デンソー向けの各種車載インサート成形品が拡大、加えてEV普及に伴い電動カーエアコン向けに豊田織機向けの電動コンプレッサ用部品も伸びが続く見通し。売上では上期8.7%増、下期10.5%増を見込み、利益面では上期はスマホ向け等の低迷影響から利益低迷もこれをボトムに下期はMIX良化なども期待され収益性も大きく改善見通し。光製品は売上高83.6億円(4.8%増)、営利10.9億円(9.2%増)予想。上期は依然として光通信用部品の在庫調整影響があり低迷見通しから同期比13.9%減収想定、下期はサーバー需要などの本格回復が見込まれ28.3%増収を見込む。利益面では上期が光通信部品減で利益も低迷ながら、下期はMIX良化と売上拡大で収益大幅増見通し。
現状、データセンタの設備投資市場は各調査機関で6~8%(2月調査時点)となっているが、多少最近トーンダウンしているものの、下期からの回復は期待でき、同社の光製品の伸び率前提は十分達成可能とみられる。また精機部品についても最大ユーザーのデンソーが国内車両生産を15.5%増、海外日系車両14.4%増を見込んでおり、精機関連の7割近いデンソー向けの回復が見込まれ、加えて豊田自動織機向け電動コンプレッサ用部品も伸長が続く見通しで、精機事業についても会社予想並みの収益が見込まれる。
全体を通じ、為替前提に対し円安が進行、会社予想を若干上回る収益が見込まれ、MIX良化などからDVD金型特需のあった04/3期の営業利益22.91億円には及ばないものの、リーマンショック後の最高額である19/3期の営業利益16.19億円を上回ってこよう。
東海理化と共同で小型部品向けの画期的な「型内塗装技術」を開発、新事業として期待
同社は今回、東海理化と共同で小型部品向けの「型内塗装技術」を開発、型の内部で塗装することで塗装工程や乾燥工程を省略することができ、CO2削減と生産効率向上を実現する事に成功した。現在、技術確立ができ、年度内にこの技術を利用して量産ラインの立上げを行う予定としている。実際の効果としてCO2排出量を約60%、工場スペースを約80%も省スペース化が可能という。このため量産化が軌道に乗れば、この技術に関連する射出成形機などもソリューションビジネスとして大きく展開していく方針。特に塗装工程は3Kの代表的な工程とも言え、技術の採用が進めば大きなインパクトとなろう。
中期目標として27/3期に売上高250億円、営利25億円を目指す
同社は中期経営目標として27/3期に売上高250億円、営業利益25億円以上を掲げている。内訳は精機関連で115億円、光製品135億円としている。現状、25/3期は精機部門でトヨタのEV戦略の進展、自動運転関連のセンサ需要の拡大、また電動コンプレッサ比率の高まりなどで収益拡大が見込まれる。また光製品は5G基地局向けではミリ波対応でスモール基地局の設備投資増、また生成AIの拡大等でデータセンタ需要の拡大が見込まれ、光通信用部品の増収率が高まろう。このため、同社売上は25/3期も最高額更新を続けよう。また収益性も増収効果、MIX良化などからDVD金型特需のあった04/3期の営業利益22.91億円には及ばないものの、ほぼその水準に達し、経常利益では04/3期の21.69億円を上回る期待があり、中期目標の前倒し達成も視野に入ってこよう。
株価は24/3期会社予想EPS126円に対しPER13.3倍となっており、東証スタンダード電機PER12.9倍とほぼ同一水準にある。なおPBRについてはスタンダード銘柄ではあるが0.58と同平均の0.8を下回り、大きく1割れとなっている。このため、今後24/3期下期から利益の本格回復が期待され、25/3期には経常最高益更新も視野に入るとみられることから、ポジティブ継続としたい。
(H.Mirai)
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