レアメタル系スクラップ市場近況 2023#6 全体として需要低迷も底打ち感
長く続いた需要低迷にも底打ち感が出てきた。SUS系は6月までメーカーの在庫調整により需要の低迷が続くが、7月からはメーカーの生産が活発化され、新たな買いが発生すると需要の回復が見込まれる。モリブデンは需要に対して供給が増え軟調。相場が急騰しない限りは、横ばいもしくは下げが予想される。5月のLMEニッケル相場に連動してニッケル系スクラップは価格を下げた。
来月以降、需要の回復があっても市場価格に反映されるのは8月以降になるだろう。
LMEニッケル相場は4月平均のトン当たり23,756ドルから5月は22,230ドルに下落。6月がはじまってさらに下落して20,000ドル。LG(ローグレード)コバルトも続落続落で、4月平均のポンド当たり16.47ドルから5月は14.28ドルに下落、6月はさらにDownで13ドル台で推移している。
(LMEニッケル相場$/tonとLGコバルト相場の推移$/lb)
【チタン】
- 純チタン板スクラップ(新断)「→」:380円/kg。前月比ともに「横ばい」
- 合金6-4チタンダライ粉「→」:高値220円/kg、安値210円/kg。前月比「横ばい」
- フェロチタン「↘」:高値6.9ドル/kg、安値6.5ドル/kg。前月比高値0.6ドル「下げ」、安値0.5ドル/kg「下げ」
- スポンジチタン「↘」:高値9.66ドル/kg、安値9.38ドル/kg。前月比高値0.93ドル「下げ」、安値0.62ドル「下げ」
ロシア産フェロチタンが下落のため、それに連動する形で下げ。中国産スポンジチタンも引き続き市場停滞により下げ。
(フェロチタン相場とスポンジチタン相場の推移$/kg)
出所:MIRU.COM
【工具類】
- ダイス鋼MIX「→」:30円/kg。前月比「横ばい」
- SKD61「→」:65円/kg。前月比「横ばい」
- ハイス(ミックス)「→」:高値270円/kg、安値245円/kg。前月比高値・安値ともに「横ばい」
- ハイス(一品もの)「→」:高値280円/kg、安値250円/kg。前月比高値・安値ともに「横ばい」
- 超硬スクラップ「→」:2,300円/kg。前月比「横ばい」
今後も横ばいもしくは下げの予想。
【モリブデン】
- 酸化モリブデン「↘」:高値22ドル/lb、安値20ドル/lb。前月比高値・安値ともに1ドル「下げ」
- モリブデン新切れスクラップ「→」:高値3,300円/kg、安値3,000円/kg。前月比高値・安値ともに「横ばい」
- フェロモリブデン「↘」:高値51.5ドル/kg、安値49.5ドル/kg。前月比高値4.5ドル「下げ」、・安値3.5ドル「下げ」
ステンレス、特殊鋼メーカーの買い気薄い。
(酸化モリブデン$/lbとフェロモリブデン価格の推移 $/kg)
出所:MIRU.COM
【タンタル】
- タンタライト「↘」:高値86ドル/lb、安値84ドル/lb。前月比高値・安値ともに3ドル「下げ」
- タンタル「↘」:高値354ドル/kg、安値344ドル/kg。前月比高値・安値ともに6ドル「下げ」
- タンタルスクラップPIN「→」:高値28,000円/kg、安値26,000円/kg。前月比「横ばい」
- 五酸化タンタル「↘」:高値265ドル/kg、安値ドル255/kg。前月比高値・安値ともに18ドル「下げ」
堅調な需要により市場は安定した状態を保ったが、生産コストの高騰に直面し中国の酸化タンタル、金属タンタルは下落。タンタルスクラップの仕入れは輸入が多い。
【ステンレス 、耐熱系】
- SUS304「→」:175円/kg。前月比「横ばい」
- SUS310「→」:500円/kg。前月比「横ばい」
- SUS316「→」:300円/kg。前月比「横ばい」
- SUS330「→」:700円/kg。前月比「横ばい」
- SUS430「↘」:61円/kg。前月比2円「下げ」
- 42アロイスクラップ「↘」:880円/kg。前月比40円「下げ」
メーカーの在庫調整もあり6月まで需要減の流れが続く見込み。42アロイスクラップは反落。
銅ニッケル合金のキュプロニッケルは、9/1キュプロニッケルが前月比10円下げの680~780円/kg。7/3キュプロニッケルは、前月比10円下げの880~940円/kg
【ハイニッケル合金系】
- インコネル718「↘」:高値1,120/kg、安値1,020円/kg。前月比高値・安値ともに140円「下げ」
- インコネル625「↘」:高値1,315/kg、安値1,215/kg。前月比高値・安値ともに145円「下げ」
- インコロイ800「↘」:高値650円/kg、安値600円/kg。前月比高値・安値ともに65円「下げ」
- ハステロイX「↘」:高値970/kg、安値870円/kg。前月比高値・安値ともに100円「下げ」
- ハステロイC「↘」:高値1,230円/kg、安値1,130/kg。前月比高値・安値ともに130円「下げ」
5月末のLMEニッケル相場の下げに連動して下落。
ニッケル相場の下落に伴い、ハイニッケル系のスクラップは軒並み下落。
鉄・ニッケル・コバルト合金のコバールは前月比30円「下げ」の520~620円/kg、ニッケル・クロム・銅・モリブデン合金のカーペンターは前月比「横ばい」の600円/kg
(IRUNIVERSE RK)
関連記事
- 2024/07/26 埼玉県 ヤード条例――来年1月1日施行
- 2024/07/26 新電力へのスイッチング件数(24年6月)
- 2024/07/26 インドのジンダルステンレス 政府にフェロニッケルとフェロモリブデンの輸入関税廃止を要請
- 2024/07/26 国内産業用ロボット生産Report#45 2024年もプレイバック型需要大幅減少続く
- 2024/07/26 工具生販在Report#58超硬チップ 昨年底に2024年緩やかな回復続く
- 2024/07/25 MRAI第2回国際会議 バンコクで開幕!圧倒的多数のインド系企業が集結
- 2024/07/25 インドネシア産中間原料由来のClass1ニッケル増産が相場を下押し―日本鉱業協会会見
- 2024/07/25 住友金属鉱山:モレンシー及びセロベルデ、24年4-6月決算を発表
- 2024/07/24 SUSscrap MarketWatch 2024#15 円高&LMEニッケル相場の下落で、5円安の210〜215円に
- 2024/07/24 中国のゲルマニウム価格 国営購入の可能性で過去最高値を更新