Arata AbeのELV RECYCLE Report vol.74最近の中古車輸出のデータから(4)ハイブリッド車のシェアの拡大
2022年に輸出された中古車のうち、最も多かった品目は1000cc超1500cc以下のガソリンエンジン車(乗用車)であり、全体の27%を占める。これに続くのがハイブリッド車(ガソリンエンジン搭載、乗用車)であり、そのシェアは18%である。さらに1500cc超2000cc以下のガソリンエンジン車(乗用車)、2000cc超3000cc以下のガソリンエンジン車(乗用車)が多く、それぞれのシェアは16%、12%であり、4品目で73%になる。
この4品目の合計は、他の年(2018年~2021年)も70%強を占めている。ただし、各品目のシェア、順位は若干変わっている。特にハイブリッド車の全体におけるシェアが拡大している。2021年はハイブリッド車のシェアは15%であり、1500cc超2000cc以下の16%よりも少なく、3番目に位置していた。さらに2019年に遡ればハイブリッド車のシェアは11%であり、2000cc超3000cc以下の13%よりも少なく、4番目になっていた。
図1は、この4品目について全体におけるシェアの月別推移を示している。これを見るとハイブリッド車のシェアは2019年に10%強だったものが、直近では20%を超えていることがわかる。これに対して、2000cc超3000cc以下、1500cc超2000cc以下のシェアは緩やかに減少しており、次々とハイブリッド車に追い抜かれている。
最もシェアが大きい1000cc超1500cc以下は2023年になっても多いが、そのシェアは徐々に下がっている。2020年前9月までは30%を超えていたが、それ以降は30%を下回っている。このままいくとハイブリッド車に追い抜かれるのは時間の問題のようにも思えるが、果たしてどうなるだろうか。内燃機関の自動車の扱いをどうするかなど国内外の政策により変わることもあるため、何とも言えないところはある。
図 1 中古車輸出台数の品目別シェアの推移(主要4品目)
出典:財務省貿易統計より作成
注:シェアは全体(バス、乗用車、貨物車)の中古車輸出台数のうちの各品目の割合を算出したもの。図中の4品目ともに乗用車である。「ハイブリッド車」はガソリンエンジン搭載のものである。
図2は、上記の4品目について月別単価(金額/台数)の推移を示したものである。これを見ると、単価の高い2000cc超3000cc以下の変動が特に激しいことがわかる。具体的にはこの品目は2021年に90万円前後で推移していたが、2022年前半に130万円前後となり、同年後半には180万円前後となっている。
他の3品目も軒並み上昇傾向にある。ハイブリッド車は2020年5月に58.4万円だったが、2022年10月は122.1万円である。また、単価の低い1000cc超1500cc以下も、2020年4月の31万円から2022年8月に62.1万円に上昇している。いずれも2倍程度の金額になっており、2023年になり下降傾向になっているのも似たような動きである。
図3は単価が20万円以下の中古車輸出台数の合計について品目別に見たものである。これを見ると、全体的に大きく減少している中で、その内訳は大多数が排気量の小さいガソリンエンジン車であり、図2にあるようなハイブリッド車や排気量の大きいガソリンエンジン車はほとんどないことがわかる。また、1500cc超2000cc以下は2021年の時点、1000cc超1500cc以下は2022年の時点で大幅に減少していることがわかる。これらから2022年は排気量の大きい車やハイブリッド車は、あまり少額貨物になっていない(=貿易統計に計上されている)ことが想定される。
図 2 輸出中古車の品目別単価の推移(主要4品目、全て乗用車)
出典:財務省貿易統計より作成
注:図中の4品目ともに乗用車である。「ハイブリッド車」はガソリンエンジン搭載のものである。
図 3 単価20万円以下の品目別中古車輸出台数の推移
出典:財務省貿易統計より作成
注:各年の「仕向地・品目」の組み合わせにおいて金額/台数により算出したもののうち、20万円以下のものを合計した。全てガソリンエンジン車。
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阿部新(Arata Abe)
山口大学 国際総合科学部・教授
2006年一橋大学大学院経済学研究科博士後期課程単位取得退学。
同大学研究補助員を経て、2008年より山口大学教育学部・准教授
2020年より同大学国際総合科学部・教授
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