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ファナック(6954) 24/3Q1決算電話会議メモ    ニュートラルからややネガティブ

24/3期予想を在庫調整の長期化から11.9%減収38.2%営利減に減額、25/3期回復も緩やか

株価4220円(8/1) 時価総額44107億円 発行済株201922千株

PER24/3期DO予(35.6X)PBR(2.47X)配当還元率60%   配当利回りDO予1.7%

 

要約

・24/3Q1同期比4.6%減収34.5%営利減、受注24.3%減と在庫調整長引き受注大幅減で低迷

・24/3期予想を在庫調整の長期化から11.9%減収38.2%営利減に減額修正

・25/3期はロボット中心に売上拡大、FAの回復期待も収益性ではMIX悪化で利益伸び悩み

 

 

24/3Q1同期比4.6%減収34.5%営利減、受注24.3%減と在庫調整長引き受注大幅減で低迷

 

 7/28に24/3Q1決算発表、同日電話会議が開催された。24/3Q1は売上高2018億円(同期比4.6%減、Q4比6.5%減)、営業利益326億円(同34.5%減、同26.3%減)、経常利益417億円(同30.0%減、同22.1%減)、税引利益303億円(同28.0%減、同30.7%減)、受注高1773億円(同24.2%減、同14.3%減)と収益低迷に。BBレシオは0.88まで落ち込み、受注残高消化でも減収に。

 

 地域別売上をQ4比で見ると欧州のみ増加し410億円(3.8%増)に。欧州はFAが牽引77億円(24%増)、ロボットも201億円(2%増)に。最大仕向先の中国は535億円(13.3%減)となったがFAが100億円(35%減)、ロボットも308億円(7%減)と一服、米国は505億円(2%減)でロボットが354億円(1%減)と高原状況。日本は270億円(11%減)でFA136 [グラフ, 棒グラフ 自動的に生成された説明] 億円(10%減)、ロボット49億円(20%減)、ロボマシン30億円(25%減)など厳しい。アジアも276億円(8%減)でFA167億円(13%減)が影響している。なお受注額では中国が365億円(42%減)と大きく減少、米州も458億 円(24%減)となり、2大市場の低迷が影響、欧州397億円(13%増)、アジア398億円(23%増)もカバーできず。

 

 製品別ではQ4比較でサービスを除き減収に。最大売上部門のロボット(収益性では劣ると見られる)は965億円でQ4比3.6%減ながら同期比では20%の伸びを確保、21/3Q3以降11四半期連続で前年同期比プラスを継続している。最大売上は米州で354億円(Q4比1%減、同期比10%増)とEV関連需要が堅調、中国は308億円(同7%減、同23%増)とEV関連と再生エネルギー向けが堅調に推移、欧州は201億円(同2%増、同30%増)と一般産業向け、EV向けが活発に推移、国内は49億円(同20%減、11%増)と自動車向け不振を一般産業向けで補った格好に。一方、受注は814億円(Q4比26%減、同期比23%減)と5四半期ぶりの1000億円割れとなった。米国、中国で大幅減となったのが響いている。なおロボット工業会の統計で業界との比較では、ファナックは業界数字を上回る推移を続けており、依然として他社をリードして事業拡大が続いている。

 

 収益性が最も高いとみられるFAは497億円とQ4比14.7%減、前年同期比では24%減となった。最大のアジアが167億円(Q4比13%減、同期比29%減)、中国が100億円(同35%減、同41%減)と大幅減、国内も136億円(同10%減、同28%減)と工業会工作機械販売以上に減少した。なお欧州は77億円(同24%増、同64%増)と好調を維持した。受注は393億円(Q4比11%増、同期比41%減)とQ4比では中国、インドで拡大、国内が減少、同期比では全般に厳しく工作機械工業会受注減より大きな落ち込みに。

 

 ロボマシンは売上高255億円(Q4比10.6%減、同期比37%減)とロボドリル(小型工作機械)が米州、中国の不振で減少、ロボショット(射出成形機)はIT、医療関連が一巡し減少、ロボカット(放電加工機)が中国向けIT,自動車不振で医療向け増加も全体で減少、サブセクターでは同期比全て減少。地域別では中国114億円(同9%減、同46%減)、米州13億円(同28%減、同65%減)、国内30億円(同25%減、同27%減)など軒並み減少した。

 

 製品別BBレシオはFAが0.79となっており、4四半期連続で1を下回った他、ロボットが20/3Q3以来の1割れで0.84とに。一方、ロボマシンは受注の持ち直しから2四半期連続で1を超えている。

 

 利益面では減収影響に加え、収益性の高いと見られるFAの減収影響が大きく、ロボットの同期比20%増でロボット構成比が同期比9.8ポイント、Q4 比でも1.4ポイント高まり47.8%となった事でMIX悪化し、売上総利益率が32.6%(Q4比2.0ポイント、同期比6.1ポイント悪化)まで低下し大幅営業減益に。

 

24/3期予想を在庫調整の長期化から11.9%減収38.2%営利減に減額修正

 

 会社側では24/3Q1の収益低迷を受け、Q2以降も世界的な景気減速の懸念、在庫調整による生産への影響が長期化するとの判断で、24/3期予想を減額、売上高7503億円(期初計画比692億円減額、11.9%減)、営業利益1183億円(同380億円減額、38.2%減)、経常利益1503億円(同353億円減額、35.0%減)、税引利益1131億円(同240億円減額、33.7%減)予想とした。部門別、市場別予想の開示はないが、ロボットは世界的な人手不足、自動化ニーズの高まり、受注残高の消化を進め増収を確保する見通しも受注の伸び率鈍化から売上の伸びもスローダウンが見込まれる。またFA投資の減速、加えて世界的な半導体設備投資の不振、スマホやPC等の生産が一段と落ち込み、自動車生産の回復も遅れがちで、FA部門、ロボマシンの減収率の拡大を織込んだとみられる。利益面では部材高の影響が継続、またロボットの構成比が高まり、利益率の高いとみられるFAの減少幅拡大でMIX悪化が加速し利益率の大幅低下を見込んだとみられる。

 

 現状、ロボット需要はロボット工業会の会員受注が3四半期同期比減少し、四半期で2000億円割れとなり、出荷額も2023年4~6月に2020年7~9月以来の同期比減少と一服感が出ている。またスマホ不振、工作機械受注低迷、半導体設備投資不振などが影響、加えて世界的な金利上昇なども加わり、当面、会社減額修正並みの収益が見込まれる。なお利益面では為替前提を1$=125円から130円に変更する中で減額しており、円建て輸出が大半とみられるが、円安による価格競争優位が市場の悪化で相殺されていると見られる。

 

25/3期はロボット中心に売上拡大、FAの回復期待も収益性ではMIX悪化で利益伸び悩み

 

 25/3期は世界なEV、自動化運転等の技術革新の進展で自動車向け自動化や高度化設備投資の拡大でロボット中心に拡大が見込まれる。加えて半導体設備投資の回復、生成AIによる新たな設備投資、メタバース投資なども加わり、改めて新生産革命の中核企業として収益拡大が見込まれる。但し、成長の中心はロボット事業とみられ、MIX悪化が継続するとみられ、総利益率の改善は進まず利益の伸びは過去のような変化率とはならないと見られる。

 

 株価は減額修正を受け年初来安値の4000円割れが間近に。現在24/3期減額予想EPS118.69円に対しPER35.6倍はプライム電機平均PER20.0倍に対し割高も、競合の安川31.2倍と似通った水準で、中途半端な位置にある。来期も収益の伸びが半導体製造装置メーカーと比較し劣るとみられ、当面、ニュートラルからややネガティブに変更する。

 

 

 

(H.Mirai)

 

 

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