7月の銅の概況及び8月の見通し 橋本アルミ(株)橋本健一郎
予想レンジ
LMEセツル 8000-9000ドル →
建値 120万-135万円 →
為替 140~145円 (1か月間TTM)
■国際概況
前半 米中対立への警戒感や、中国財新6月サービス業PMIが事前予想を下回ったなどのマイナス材料もあったが消費者物価指数(CPI)に続いてインフレ鈍化を意識させる内容だったことから米連邦準備理事会(FRB)の利上げが長引くとの観測が後退したことを好感しUP
7月15日時点で8651ドル(セツル)と月初価格より296ドルUPの締め。
後半は米GDPの強気な内容がFRBの金融引き締め政策を連想させたことなどのマイナス材料あったが7月の米製造業景況感指数は好不況の分かれ目となる50を9カ月連続で下回り、景気の先行きを楽観視する軟着陸論が台頭したことを好感しUP
月末日 後半スタート価格から131.5ドルUPの8592ドル。
8月スタート建値は131万円。
■前月の経済指標
◆月間のドル/円レート (TTS)
145.99 → 141.97(円)
出典 MIRU
【国内指標】
【自動車生産】
生産動態統計によると6月の自動車生産台数は前年比+16.1%の72万7097台
輸出は前年同月比+34.8%の38万4938台
◆自動車販売台数
日本自動車販売協会連合会によると7月の自動車販売台数(軽除く)は前年比+18.3%の25万3241台
自動車生産台数
出典 生産動態統計
自動車販売台数推移
出典 日本自動車販売協会連合会
【住宅着工戸数】
6月の新設住宅着工は,持家,貸家及び分譲住宅が減少したため,全体で前年同月比4.8%の減少となった。
また,季節調整済年率換算値では前月比5.9%の減少となった。
○新設住宅着工戸数は 71,015 戸。
・前年同月比 4.8%減, 先月の増加から再びの減少。
○新設住宅着工床面積は 5,722千㎡。
・前年同月比 5.1%減, 5か月連続の減少。
○季節調整済年率換算値では 811千戸。
・前月比 5.9%減, 先月の増加から再びの減少。
出典 国土交通省統計
◆貿易関連指標
【輸出】
電気銅 +21.6%の6万4892t
スクラップ -3.1%の3万54t
輸出推移
【輸入】
電気銅 -37.3 %の444t
スクラップ -36.4%の8549t
輸入推移
出典 財務省 貿易統計
■前月の国内指標
【伸銅品生産】
6月伸銅品生産量速報値は5万4,230トン、前年同月比20.9%減少し、2022年1月から18か月連続マイナスとなった。。
前月同様、銅線を除き、14品目中13品目が前年同月実績を下回った。
出典 日本伸銅協会
【日本電線工業会発の出荷速報(推定)】
前年比-2.9%の5万3700t
うち 国内+3.1% 輸出が -80.1%
出典 日本電線工業会
■国内概況まとめ
【自動車】
生産動態統計によると6月の自動車生産台数は前年比+16.1%の72万7097台
輸出は前年同月比+34.8%の38万4938台
【自動車販売】
日本自動車販売協会連合会によると7月の自動車販売台数(軽除く)は前年比+18.3%の25万3241台
内 乗用車 +18.7%
貨物 +14.1%
バス +109.5%
【住宅着工戸数】
6月の新設住宅着工は,持家,貸家及び分譲住宅が減少したため,全体で前年同月比4.8%の減少となった。
また,季節調整済年率換算値では前月比5.9%の減少となった。
○新設住宅着工戸数は 71,015 戸。
・前年同月比 4.8%減, 先月の増加から再びの減少。
○新設住宅着工床面積は 5,722千㎡。
・前年同月比 5.1%減, 5か月連続の減少。
○季節調整済年率換算値では 811千戸。
・前月比 5.9%減, 先月の増加から再びの減少。
【伸銅品生産】
6月伸銅品生産量速報値は5万4,230トン、前年同月比20.9%減少し、2022年1月から18か月連続マイナスとなった。
前月同様、銅線を除き、14品目中13品目が前年同月実績を下回った。
銅条
同比10ヶ月連続マイナス。半導体は車載向け以外の動きが鈍い。自動車の端子コネクタはだいぶ掃けてきているが、それでも部品自体の在庫が残っている。更に部品に加工する前の銅条自体の在庫がある。
黄銅棒
同比18ヶ月連続マイナス。住宅設備向けは、新規住宅着工件数がプラスに転じてきたが、新規住宅面積で見るとまだ前年同月実績を下回っている。ただ、非接触型水栓の需要が再び増加気味になってきたのが少し好材料である。
【電線】
前年比-2.9%の5万3700t
うち 国内+3.1% 輸出が -80.1%
- 銅
【輸出】
電気銅 +21.6%の6万4892t
スクラップ -3.1%の3万54t
【輸入】
電気銅 -37.3 %の444t
スクラップ -36.4%の8549t
【見通し】
【自動車】
6月の自動車生産が+16.1%。7月国内販売台数が前年比+18.3%
6か月連続 生産,販売 共に回復の兆しあり今後に期待
【伸銅品生産】
6月伸銅品生産量速報値は5万4,230トン、前年同月比20.9%減少し、2022年1月から18か月連続マイナス
全体的に悪化しており回復のめどが立たない。
【電線】
前年比-2.9%の5万3700t
うち 国内+3.1% 輸出が -80.1%
自動車生産が堅調だがその他の減少大きく結果振るわず
今後に期待。
【スクラップ景況予想】
流通【一次問屋】今月銅建値が126万から125万と高値安定傾向だった
在庫は伸銅品生産減 発生減から在庫薄
需要面に関しては今月も自動車生産販売の回復から一定の需要は出るが スマホ。エアコン需要の回復が遅れているため需給は低位安定
【LME・為替予想】
今月は以下の項目に左右される
- 米FRB利上げ停止後の金融政策
- 中国景気回復の動向
1に関しては
7月0.25利上げ 9月は据え置きとの予想も多いがFRBは柔軟に対応すると言っており都度思惑に応じた策になるため極端な展開にはならないだろう
2に関して
マーケットには中国景気対策期待はあるものの中々出てこないのが現状
今月も大胆な策がでる可能性は低い
これらを踏まえた今月の銅価格は 8000-9000ドル(セツル)との予想。
ドル円値は140円~145円(TTM)台を予測。
銅建値に関しては120万-135万円程度と予測している。
関連記事
- 2025/05/01 米中貿易摩擦緩和期待でLME鉛相場堅調、スタート鉛建値は9円引き上げ342円に
- 2025/04/30 第5回CEシンポジウム in NAGOYA講演詳報1 ――中部経産局、栗田、ケミカルリサイクル
- 2025/04/30 ICSGが最新予測を発表 2025~2026年、銅市場は引き続き供給過剰の見通し
- 2025/04/28 【貿易統計/日本】 2025年3月の電気銅輸出入推移一覧表
- 2025/04/28 【貿易統計/日本】 2025年3月の銅スクラップ輸出入推移一覧表
- 2025/04/28 環境省の廃棄物処理制度小委で不適正ヤード対策議論始まる――制度的措置へ作業本格化
- 2025/04/28 電子部品国内生産#2配線板 フレキ配線板需要 緩やかな増加続く
- 2025/04/28 LME Weekly 2025年4月21日-4月25日 米中貿易摩擦緩和期待でCu Al上昇、Ni反落
- 2025/04/27 非鉄:LMEのキャンセルワラント(4/25)
- 2025/04/27 上海プレミアム価格動向(4/25)