工作機械工業会7月受注速報 7月19.8%減の1143億円弱含み続く
工作機械7月受注は1143億円(19.8%減)、7ヶ月連続で内外ともに減少続く
8/9の15時に日本工作機械工業会の2023年7月受注速報が開示された。7月受注は1143億円(同月比19.8%減)と7ヶ月連続減、2021年2月の1056億円以来の低水準に。また内外共に7ヶ月連続減減少に。なお確報は8/23公表予定。
内訳は外需が750億円(同月比17.1%減)と中国の景気回復遅れ等で7ヶ月連続減、5ヶ月連続で2ケタ減、また前月比でも4ヶ月連続減少となっている。2021年2月の751億円以来の低水準が2ヶ月連続した。内需は393億円(同24.4%減)と11ヶ月連続同月比減少、10ヶ月連続で500億円に達せず内需の弱さが継続している。
全体として世界的な景気減速感、金利上昇などの影響に加え、半導体向けの反動減なども影響が継続。当面受注は弱含む展開が続く見通しで、年後半には自動車生産増、但し半導体設備投資の再拡大は2024年にずれ込む方向性が見えてきた状況で、年末頃に受注のボトムを確認する動きとなろう。
企業別では自動車向け比率の高いところ、また中国向けの比率の高いところは減額修正を発表、一方で、複合加工機、半導体ウエハ加工向けなどで強い企業は増益見通しを変更していない。
鍛圧機械7月受注は38.0%増の267億円で国内外ともに増加
工作機械と同じ金属加工機械である鍛圧機械の7月受注(8/8発表)は267億円(38.0%増)となった。前年6月が低水準の反動増もあり、2ヶ月連続250億円超と高水準を確保している。国内が102.2億円(1.9%増)と3ヶ月ぶりに増加、一般機械向け52.7%増、鉄鋼向け10.4%増、金属向け2.0%増、一方で電気向け6.8%減、輸送機械向け4.8%減など。輸出は165.06億円(76.7%増)と、北米が2.7倍、東南アジア向け4.2倍、インド77.0%増、欧州73.2%増、一方で中国50.0%減、台湾・韓国向け64.8%減など。機種別ではプレス系が154.57億円(55.2%増)。超大型プレスが伸長、大型プレスも3.0倍、一方で小型プレス32.1%減、油圧プレス49.8%減など軒並み減少。板金系は112.71億円(19.7%増)と、4ヶ月ぶりに増加し100億円を超え、レーザ・プラズマ31.5%増、プレスブレーキ37.7%増、パンチングのみ減少し5.9%減に。
鍛圧機械工業会2023年暦年修正予想は横ばいの3730億円と期初見通しを15億円増額
鍛圧機械工業会は7/27に2023年暦年受注予測の改定、部品・サービスを含み、期初計画3715億円に対し、15億円増額し、前年比横ばいの3730億円予想とした。内訳もほとんど変化なしで、機種構成ではプレス系1550億円(0.6%増)、板金系1300億円(0.2%減)予想。プレス系ではEVモータコア向けの高速プレスなどは拡大も、その他では多少減速のイメージ。内外別では国内1600億円(0.1%増)、輸出1250億円(0.5%増)予想に。
現状、1~7月累計はサービス含で2188億円(1.2%減)、機械合計で1685億円(1.0%減)となっており、工業会予測並みの受注が見込まれる。
6月工作機器生産額は21%減の155億円と7ヶ月連続減少
工作機械に関連する工作機器は、日本工作機器工業会8/4発表の23年6月生産額が155億円(21%減)と7ヶ月連続同月比マイナスとなり、減少率も拡大している。主力ボールネジが27.79億円(30%減)、直動軸受も43.70億円(37%減)と同様な動き。両製品とも工作機械に加え、受注急落の半導体製造装置向けなどの影響を強く受け生産額急減が続いており、短期的にボトム形成は年明けにずれ込む見通し。THKは8/9に減額修正を発表、23/12期売上高3450億円(期初計画比150億円減額、8.6%減)、営利210億円(同90億円減額、39.1%減)予想としている。日本トムソンは期初計画を変更していないが、24/3期売上高620億円(9.2%減)、営利65億円(31.3%減)予想と厳しい。
(H.Mirai)
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