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株式会社HIKKY:数多のリアルを繋ぐためのバーチャル

2023年7月29日から30日の2日間にかけて、東京都千代田区のベルサール秋葉原にてVR法人HIKKY主催の「バーチャルマーケット2023リアルinアキバ」が開催された。
今回の記事ではイベントを主催している株式会社HIKKYの取り組みについて記載していく事とする。

 

 

悩みとなる他業種との接点の作り方


 多くの企業は顧客を増やすために様々な方法で宣伝活動を行う。
特にSNSの影響の大きい昨今では、積極的な広報が企業評価に繋がる事も多く見られている。
しかしこの広報活動の活発化という流れは、深刻な問題を抱えたまま進んでいる事も多々見られる。


 SNSを中心とした広告活動は確かに一定の展開力を持つし、運が良ければ他業種とのコラボレーションといった事も起き得る。
だがそれはレアケースであり、特定の業界における高い知名度や人気を持つ物が他の界隈ではまるで認知されていないという事は往々にしてある話である。
例としては新型コロナウイルス感染症前より遠隔通話・通信を行えるWeb会議サービスは幾つも存在していたが、在宅勤務という業務転換点があって初めて大々的にその名前が広まった現象がその最たるものだろう。
技術としては非常に便利なものでありながら、接点がない故にそのサービスや事業を知ることが困難な状況はもちろんこれだけではない。


 株式会社HIKKYは、彼らの手掛ける仮想空間上のコンテンツを現実にアプローチする為思い切った方法を採ることとなった。


秋葉原を巻き込む現実と仮想の境目の消失


株式会社HIKKYは東京都渋谷区に本社を置く企業である。
設立は2018年と若い企業ながら、VR対応ソーシャル・ネットワーキング・サービス「VRChat」でのイベント「バーチャルマーケット」の開催を中心に精力的に活動範囲を広げている企業である。
そんな同社が今回行ったのが、2023年7月29日と30日にベルサール秋葉原で開催した「バーチャルマーケット2023リアルinアキバ」である。

 

 

 これは元々VRChat上で2018年より開催されているオンライン上での展示会イベント「バーチャルマーケット」に端を発するイベントだ。
その性質上世界中からアクセスする事が可能なバーチャルマーケットではあるものの、その活動領域としては「PCもしくはVR対応機器を用いたオンライン上での仮想空間」に限定されていた。
もちろん地方自治体や様々な企業もこのイベント内に参入しコマーシャルを行っているが、今まではそのオンライン上でのアプローチが限界点であった。


 また多くの企業が昨今話題となっている「メタバース」に参入しコマーシャルの機会を得ようとしても、必要なシステムを丸々扱いやすい形で提供する企業は稀である。
そういったところで作成したイベントであっても、基本的には内々の商談などで「新しいものが出来た」という形で活用するか、もしくは自社が協力している企業のメンバー向けコンテンツという扱いを超える事は無い。
一般のユーザーにも体験可能な形として提供できるフォーマットというのはまだまだ少ないものである。


 そういった中でメタバース開発エンジン「Vket Cloud」を提供している株式会社HIKKYは、それを利用する企業やバーチャルマーケットにて参画した企業・団体の一部をまとめてベルサール秋葉原の会場に招致。
Vket Cloudを利用して広報活動を行っている企業やバーチャルマーケットに出展している企業が、実際にVRChat上でバーチャルマーケットに参加したユーザーと「現実空間で」コンタクトを取るという、いわばバーチャルからリアルへの「逆仮想空間」とも呼べるエリアを作り上げるに至ったのである。
更に地下階にはVRChat上でイベントを開催しているユーザー同士が交流や出展を行えるエリア、アーティストなどによるイベント会場も設営。
その上リアルタイムでVRChat上のユーザーとコンタクト・コミュニケーションを取れる双方向性を備えたブースも併設。
これだけ色々な物を盛り込んでイベントをスタートさせた。なお入場は無料である。

 

 

 これがどれだけの効果をもたらしたかというのは、彼らの想定以上のものであった。
単純にVRChatでコンテンツに触れているユーザーだけならば、日本人もある程度いるとはいえそう多い数ではない。
だが開催地は秋葉原市街のど真ん中、ベルサール秋葉原の1Fフロアを丸々使っての大掛かりなイベントとなればその訳は違う。
秋葉原は昨今戻ってきつつある海外からの観光客はもちろん、テクノロジーに明るい人々も多く行き交うサブカルチャーと技術の街である。
その只中にテクノロジーの塊かつお祭り騒ぎの様に盛り上がっているイベントが出てくれば、自然と人々は足を留め、無料であればその門を潜って中に入っていく。
道路側に面しているのはユーザーがVR空間上のユーザーと交流したり、あるいは参加者同士で気軽に仮想空間を体験する光景である。
もちろんベルサール秋葉原前には、VRChatユーザーも交流の為多く集まっているのである。

 

 

 この「人が人を呼ぶ」効果はベルサール秋葉原の管理元も想定していなかったのか、開業して以来初めての大盛りあがりではないかと言わしめる程であった。
元々秋葉原は功罪ありはするが、2000年代後半には大規模ダンスオフ会などがゲリラ的に開催されるサブカルチャーとイベントが特徴であった。
しかし痛ましい事件や新型コロナウイルス感染症等が相まって、サブカルチャーを起点とした上で人々が大規模に交流するイベントそのものが久しくなっている状況であった。
そこに今回このイベントが現れ、二日間に渡り休日の秋葉原で多くの人々の目を釘付けにしたのである。

 

 

 今回出展した企業や自治体等の関係者も、これだけ多くの人々が自分の事業や活動に興味を持ってくれて非常に嬉しいものであるとコメントをしていた。
もちろんVRChat上でのイベントも大盛りあがりとなった状況ではあるが、あくまでそれは「VR上での話」でしかなかった。
だが今回現実世界で「VRChat」「バーチャルマーケット」「メタバース」「Vket Cloud」「バーチャル世界で企業が活動を行っている」といった様々な要素がコマーシャル出来た結果、バーチャルマーケットに参加する企業は現実でのより一層のアプローチが行なえ、Vket Cloudを利用する企業はさらなる潜在的顧客の獲得に成功し、イベント会場に来訪した初見の人々は「これだけ大きな求心力を持つイベントが仮想空間上に存在する」という方向でそれぞれがそれぞれに対しベストな形で情報を授受する形となったのだ。


 これは多くの企業が長らく悩んでたであろう「CM等を打っても自社事業が異業種や異業界の人々に本当に届くのか」という懸念を打破する一手となる可能性を秘めている。
特に最近ありがちな「メタバース系プロジェクトに取り組んでみたものの、その先が実らない」という状況を抱える企業や団体にとっては、コンテンツ次第で大きく逆転できる目が出た事に他ならない。
なおその一例として、会場内ではTHK株式会社の手掛けているサービスロボットの活用案としてバーチャルYoutuberがモニター搭載タイプのモデルに映し出され、会場内の参加者とコミュニケーションを取っていた。
これは先日記事化したTHK株式会社自社開発のロボットの使用例の一つとして、最適なプレゼンテーションのあり方であろう。


【関連記事】
THK株式会社:部品メーカーが手掛けるその先のサービスソリューション
https://www.iru-miru.com/article_detail.php?id=62198

 



 

 

 

リアルとバーチャルを双方巻き込んで邁進する株式会社HIKKY。今後の事業展開にさらなる注目が集まりそうだ。


(IRuniverese Ryuji Ichimura)
 

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