新着情報

2024/05/09   住友金属鉱山:24...
2024/05/09   東海カーボン:24...
2024/05/09   日鉄ステンレス:2...
2024/05/09   日本冶金:24/3...
2024/05/09   自動車業界動向#5...
2024/05/09   HONDA:インド...
2024/05/09   ニチアス(5393...
2024/05/09   2024年3月アル...
2024/05/09   ネオジム磁石を超え...
2024/05/09   新日本電工:24/...
2024/05/09   円安、働き方改革、...
2024/05/09   中部鋼鈑:24中期...
2024/05/09   二次電池輸出Rep...
2024/05/09   二次電池輸出入Re...
2024/05/09   バリウム輸入Rep...
2024/05/09   炭酸バリウム輸入R...
2024/05/09   酸化セリウム輸入R...
2024/05/09   亜鉛地金輸出Rep...
2024/05/09   タンタル原材料輸出...
2024/05/09   6/19-20 M...

エンビブロHD 売上高800億円、経常利益50億円目指す

サーキュラーエコノミーをリードし28/6期に売上高800億円、経常利益50億円目指す

株価593円(8/28) 時価総額178億円 発行済株30102千株

PER(DO予:10.8X)PBR(1.07X) 配当16円  配当利回り:2.7%

 

要約

・23/6期は資源循環、トレーディングの低迷で14.2%減収54.4%経常減益

・24/6期は資源循環、海外トレーディングの取扱量の回復で17.9%増収18.3%経常増益予想

・サーキュラーエコノミーをリードし28/6期中計売上高800億円、経常利益50億円目指す


 

23/6期は資源循環、トレーディングの低迷で14.2%減収54.4%経常減益

 

 23/6期決算が8/10に開示され、8/25に説明会が実施された。23/6期業績は、売上高491.89億円(2/10減額修正予想比8.11億円未達、14.2%減)、営業利益15.42億円(同3.58億円未達、53.9%減)、経常利益19.01億円(同2.99億円未達、54.4%減)、税引利益12.36億円(同1.64億円未達、60.3%減)と、厳しい収益環境から収益低迷となった。

 

 売上面では資源循環事業が売上高132.26億円(2/10修正予想比11.52億円増額、7.6%減)、経常利益15.65億円(同0.85億円増額、43.1%減)となった。主要販売品の金属価格が下期の想定(鉄スクラップ45000円/t、電気銅1050円/kg、ステンレス3300円/kgなど)を上回り、2/10減額修正時よりは収益が上振れした。しかし廃自動車の発生台数や国内製造業の生産の低迷で金属スクラップの発生量が減少、営業活動強化で取扱量を262千t(4.4%減)確保したものの、利益面では仕入れ環境の悪化、エネルギー価格上昇、人件費増、新規工場の稼働等のコスト高から、経常利益は大幅減となった。なおQ4より連結子会社化した日東化工(ゴム・樹脂製造製造)の収益が加わっている。

 

 グローバルトレーディング事業は売上高344.85億円(同25.15億円未達、19.8%減)、経常利益2.21億円(同3.29億円未達、80.7%減)と低迷した。粗鋼生産量の世界的な減少により鉄スクラップ海外需要の減退により取扱量が465千t(13.4%減)と減少、利益面では国内高・海外安の展開で内外価格差が縮小、海外販売の収益性も低下、コンテナ等の海上運賃の急落に輸送環境の改善はあったものの、利益は大幅減に。

 

 リチウムイオン電池リサイクル事業は売上高16.35億円(同2.06億円上振れ、21.5%増)、経常利益5.75億円(同1.10億円上振れ、20.0%増)となった。富士市の新工場が22年10月に稼働、設備稼働率の向上で取扱量が拡大、利益面では電池在材料の需給緩和で1月以降のコバルト、リチウム価格の下落で収益性が低下し、増収率を下回る利益の伸びに止まった。

 

 全体の経常利益増減要因では売上減影響が10億円、為替差損益益影響4.99億円、人件費増3.81億円などの影響が減益幅を大きくした。

 

 

 

24/6期は資源循環、海外トレーディングの取扱量の回復で17.9%増収18.3%経常増益予想

 

 24/6期は、資源循環、海外トレーディングの取扱量の回復で売上高580億円(17.9%増)、営業利益18億円(16.7%増)、経常利益22.5億円(18.3%増)、税引利益16.7億円(35.1%増)予想とした。前提は鉄スクラップ5万円/t、銅価格120万円/t、為替1$=125円といている。

 

 具体的に資源循環事業は売上高250億円(32.6%増)、経常利益20.7億円(32.6%増)予想。市場の回復、日東化工のフル寄与で取扱量増(5.0%増275千t)を見込み、利益面では増収効果に加え、金銀滓回収の拡大(新設設備稼働)などが寄与する見通し。グローバルトレーディング事業は売上高400億円(16.0%増)、経常利益7.5億円(3.4倍)を見込む。取扱量の回復(31.1%増610千t)を前提に従来水準に戻り、欧州地域での拡大、UAEで物流代行エリア拡大などが寄与する見通し。利益面でも海上運賃などの落ち着き、内外価格差の改善を見込み、収益性の復元を見込む。一方、リチウムイオン電池リサイクル事業は売上高10億円(38.9%減)、経常利益0.6億円(89.6%減)と厳しい見通し。電池取扱量の増加を30%増見込むも、市況の大幅下落、利益面では収益スプレッドの大幅縮小、加えて茨城工場稼働(24年6月予定)、新たなブラックマス製造の新規工場取得などのコスト増が加わり、大幅減益予想に。

 

 現状、8/22現在の鉄スクラップ(特級)5万500円、と緩やかな上昇局面にあるほか、銅も想定線の推移となっているが、為替前提が大きく差異があり、円安も価格上昇の一因に。一方リチウム関連は想定を厳しく見積もっているため、現状は計画値よりも市況が上振れているとのことで、リチウム関連は下限の予想となっている模様。

 

 全体を通じ、中国の景気減退懸念など世界経済に減速感があるだけに、24/6期の前提を多少慎重に見ているものの、若干会社予想に届かない収益が予想される。

 

 

 

サーキュラーエコノミーをリードし28/6期中計売上高800億円、経常利益50億円目指す

 

 同社は企業のミッションとして「持続可能社会実現の一翼を担う」を掲げ、戦略コンセプトとしてサーキュラーエコノミーをリードすることとしている。今回、中期経営計画(中計2028)を策定、財務目標として28/6期売上高800億円、経常利益50億円を打ち出した。

 

 

 サーキュラーエコノミー(CE)をリードするとした中身として、「モノづくりを支えるCE」と「地域を支えるCE」の具体的事例を他社に先駆けて数多く実現することで、日本全体にサーキュラーエコノミーの機運を高め、持続可能社会実現の一翼を担うとしている。

 

 セグメント別の財務目標では、資源循環事業において片付け・解体事業、日東化工と東洋ゴムチップとのシナジー効果、焼却灰等からの金銀滓回収事業などで確実に利益を稼ぎ、モノづくりを支えるCE、地域を支えるCEで新たな事業モデルを構築する。グローバルトレーディングでは資源輸出ビジネスの減退を国内での資源循環拡大をサポートすべく「資源物流」の役割を強化する。リチウムイオン電池リサイクルは工程廃材を定置式蓄電池として活用、更に使用済みLIBを利用しLi.Co,Niを湿式精錬技術で回収再資源化する(三菱マテリアルと共同で進める)湿式精錬投資を含め積極投資を続行する計画。

 

 

 現状、事業環境として世界景気の不透明、とりわけ中国の減速懸念などの影響が金属市況全体に悪影響を及ぼす可能性がある。またリチウムイオンリサイクル事業は、国内EVの普及状況如何ではビジネスの拡大がシュリンクする懸念から、湿式精錬の実現が遅れる可能性がある。24/6期から25/6期上期にかけては収益拡大に逆風が吹く恐れもあり、毎年5年計画を見直す同社の方針から、中計達成年度の1年程度の後ずれもあり得る。但し同社事業は脱炭素社会の実現に向け必要不可欠な事業であり、加えてサーキュラーエコノミーの推進で新たな事業、新たなM&Aなどで急拡大する要素も多分にある。いずれにしても新規事業分野での迅速な事業拡大が中計達成のカギを握ろう。

 

 

 株価は24/6期会社予想EPS56.22円に対しPER10.5倍はTRE10.9倍、イボキン11.2倍と同程度の水準にある。この点で割高感はなくPBRで1近傍でもあり、当面ニュートラルと考える。なお同社は8/22に東証プライム上場維持を表明した。現在流通株式時価総額76億円で100億円以上という上場適合基準を満たしていないが、対策として持続的な成長と企業価値向上を目指し、中期経営計画に掲げる施策を推進することで適合基準クリアを狙っている。そのため、改めて新規事業での迅速な事業拡大が株価の上昇のカギ、さらにはプライム上場維持の絶対条件となろう。

 

 

 

(H.Mirai)

 

 

関連記事

関連記事をもっと見る