鉛バッテリースクラップ市場近況2023#9 ようやく動き出した環境省 相場は続伸
国内の鉛バッテリースクラップ市場は、例年以上の発生減と海外系ニューカマーの回収、溶解地点の続出でなおひっ迫感は強く、すでに精錬メーカー購入ベースでキロ当たり90円も超え、100円に達するのも時間の問題だという。
LME鉛相場と為替円相場の推移 一年
鉛建値と鉛バッテリースクラップ相場の推移(\/kg) 一年
さる二次精錬メーカーによると
「ここまで発生が少ない夏はない。私も20年、25年と業に携わってますが、こんなにモノ(バッテリースクラップ)が無いのは初めて。もちろん、中華系の方々の回収もありますが、そもそもとして、3年前のコロナ真っ只中のころから半導体不足のときまで新車供給が落ち込んだことで、交換用バッテリーの発生が減っている影響も大きい」とため息をつく。実際、あまりの入りの悪さで、7月末から盆明けまで長めの夏休み(操業休止)をとっていた、という。
こうした状況なら追い込まれているのは他にもえるのだが、過去最悪ともいえるほどの深刻な品枯れが続いている。
そしてこの品枯れの要因のひとつである、中華系ルートの拡大があるのだが、彼らの回収、解体、さらには溶解、はかなり広がってきており、それが国内鉛精錬メーカー(一次、二次ともに)への入りも落とすことになり、前述したような操業を止めなければならないほとの深刻な原料不足を招いている。
そのため、精錬メーカー各社は担当官庁、つまりは環境省にも陳情申し出て、また状況も逐一連絡しているという。環境省の担当氏は関東地区で中華系の精錬を行っている2〜3のヤードに立ち入り検査を行った模様、とのことだったが、再度確認すると、環境省として直接ヤードに立ち入ったことはないとのことだった。
不適正ヤードよ件もあり、中華系ヤード業者にとっては監視の目が強くなっている秋の気配のこの頃である。
(iruniverse tanam)
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