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岡本工作機械製作所(6125)大和工機買収メモ ポジティブ継続

産業機械・生産設備の製作およびメンテナンスを主に手がける宮崎県の大和工機を買収

株価5500円(9/29)  時価総額360億円    発行済株4718千株 

PER24/3期DO予(5.6X)PBR(1.0X)配当(24/3DO予)210円  配当利回り3.8%

 

要約

・9/28宮崎県の産業機械・生産設備の製作及びメンテナンスを手掛ける大和工機の買収発表

・九州展開では九州テクニカルサポートセンター開設、プレシードと資本業務提携も

・24/3期9.8%増収7.2%営利増予想と膨大な受注残で新中計25/3期目標は今期達成予想

・25/3期グリーンフィールド、パワーデバイス向け、工作機械もEV向け等で収益拡大期待

 

 

9/28宮崎県の産業機械・生産設備の製作及びメンテナンスを手掛ける大和工機の買収発表

 

 9/28に、産業機械・生産設備の製作及びメンテナンスを主な事業とし、発注先のニーズに沿って半導体製造装置や真空装置などの組立・製造を行う大和工機の買収を発表した。同社は本社が宮崎県都城市に有り、2005年に都城市高城町の工業団地内に本社工場を新設、浮遊微粒子濃度の極めて小さい洗浄度クラス10000のクリーンルーム(防塵室)4棟を設けている。内部に県内最大級(20t)のホイストクレーン計16基を設置、精密装置の組立てを行ってきた。従業員75名、機械加工機としては門型5面加工機の他、最新の設備、切削加工技術を有する。

 

 現在、大和工機が本社を構える九州南部は、半導体関連の生産において極めて重要な拠点であり、 株式取得により大和工機を同社半導体関連装置の新たな製造拠点と開発ラボとして活用する方針。また、両社の事業リソースを組み合わせ、半導体関連装置の開発・設計・製作・販売にかかる一連の機能強化、提供価値の向上が見込まれる。なお売上規模は12億円程度。

 

九州展開では九州テクニカルサポートセンター開設、プレシードと資本業務提携も

 

 同社は今回の買収に先駆け、九州での事業展開を強化している。4/18には半導体サービス拠点拡充のために佐賀県伊万里市の不動産(建物付土地)を取得、2023 年5月より「九州テクニカルサポートセンター」として使用開始した。これにより、九州地区の半導体サービス機能のさらなる強化が可能となった。

 

 さらに4/28には熊本県で各種自動化装置・各種省人化装置の開発、設計、製作、販売を行う株式会社プレシードと資本業務提携契約締結を実施した。プレシードは創業以来自動化・省人化装置の設計・開発および製作を主な事業とし、加工機から組立機、搬送機、検査機に至るまで多種多様なニーズに応える高い技術力と開発力、経験を有する企業。従業員110名、年間売上規模は22億円程度。プレシードと資本業務提携を行うことで、同社既存装置におけるローダー・アンローダー・マテリアルハンドリング関連装置の開発・設計・製作・販売の拡大が可能となる。またプレシードには、同社が必要とする多くの関連装置に関する経験とノウハウ、顧客ニーズに沿った開発・設計力が有り、人材交流・共同開発等を通して共有し、シナジー効果が期待される。

 

 

24/3期9.8%増収7.2%営利増予想と膨大な受注残で新中計25/3期目標は今期達成予想

 

 24/3期会社予想は売上高500億円(9.8%増)、営利60億円(7.2%増)、経常利益59.5億円(7.2%増)、税引利益42億円(4.2%増)。これは中期経営計画の25/3期目標値の1年前倒し達成予想となるが、豊富な受注残を背景に、収益の上乗せが期待される。

 

 工作機械事業の中の工作機械は工業会受注予想で2023年が前年比9.1%減の1兆6000億円としており、実際8月累計は前年同期比17.6%減と厳しい状況。同社は工作機械事業としてQ1受注が同期比12.2%減に止まっており、最低でも業界並みの落ち込みに止まろう。なお受注残高が197.67億円あり、EVバッテリーパック製造向けやEVモーター用精密金型向けに超精密大型平面研削盤など、今後、部材不足などの緩和で納入が順調に進むとみられ工作機械事業の売上は緩やかな増収を確保、利益は下期に急回復しよう。ちなみに機械統計では2023年1~7月累計工作機械生産額が6337億円(前年同期比4.1%増)となっているが、最大生産のMCが2403億円(1.1%減)、NC旋盤1647億円(5.5%増)に対し平面研削盤最大手の同社が属するNC研削盤は513億円(15.6%増)と、主力工作機械の中で唯一2ケタ生産額増を維持している。

 

 半導体関連装置事業はQ1現在受注残高が342億円あるが、Q1では国内向け売上が18.14億円計上され、国内グリーンフィールド向け納入が本格化、24/3下期にはさらに拡大、25/3期まで納入拡大が続くとみられる。少なくとも国内グリーンフィールド投資は計画通り、台湾は多少完成時期を後ずれも、同社売上への影響は軽微と見られる。受注についてはグリーンフィールド投資の大型受注は見込めないものの、中国向けの拡大、シリコンパワー半導体向けでは大容量化に伴いウエハの薄化要求が高まりグラインダ需要の拡大、HBM等ではより平坦化が求められるなどで新たな需要も出ている模様。また化合物パワー半導体の設備投資も巨大化しているが、SIC(4H-SiC)、GAN等は硬度で難作材のため、研削時間がシリコンと比較し大幅な時間を要すため、新たな需要が見込まれる。このため22/3期の半導体関連装置受注は半減程度の落ち込みが下限とみられる。

 

 利益面では会社計画に対し、半導体事業の比率向上によるMIX良化、工作機械の下期からの収益性回復、一部で業務提携等の効果も加わり、24/3期も会社計画を上回る利益が見込まれる。

 

25/3期グリーンフィールド、パワーデバイス向け、工作機械もEV向け等で収益拡大期待

 

 300mmグリーンフィールド投資は2023年~2025年にかけ毎年月産40万枚~50万枚の投資が実行されるとみられる。このため同社FPは25/3期にかけて納入が進もう。加えて今後、半導体の2D・3D化による大容量化が進み、デザインルールの微細化、シュリンクによるウエハ需要の停滞要素が薄れ、積層化によるウエハ使用枚数の拡大、貼り合せによるウエハ増加、加えてウエハ薄化ニーズの高まりで、よりFPによる極限の平坦化が求められると見られる。

 

 さらにパワーデバイスなどの拡大が続く中で、SiC等の化合物半導体ウエハへの投資が活発化するが、モース硬度がSiCは9.3、GaNも8.5とシリコンの7.0に対し遙かに堅い。また融点もSiC2830℃、GaN2500℃とシリコンの1410℃に対し高温である事から、研削時間はSiCがシリコンの2~3倍、GaNは3~4倍必要となる。またパワー半導体全体ではハイパワー化でウエハの薄化が求められ、グラインダ、CMP需要など、難作材加工の製品群の拡大が期待される。このため同社半導体関連装置受注はグリーンフィールド投資が狭間となっても25/3期は24/3期比で増加が見込まれる。また半導体の3D化に伴いSi貫通電極ウエハの超平坦・金属汚染フリー・薄膜化加工のための研削技術も実用化が見込まれる。なお、今後の半導体製造における後工程の重要性拡大を視野に、後工程での異種材料同時研削可能な装置開発も平行して行っており、半導体後工程での製造装置分野でも売上拡大が期待され、26/3期には改めて受注が急拡大しよう。

 

 工作機械事業ではEV関連でリチウムイオン電池製造装置向けの長尺超精密平面加工向けやモーターコア製造用連装金型向けの超精密平面加工向けに大型超精密門形平面研削盤がさらに拡大見通し。23/3期工作機械だけの受注229.43億円の中でEV関連は15%を占めるが、従来は1%程度で急激な拡大を示している。なお2次電池向けやEVモーターコア金型向けなどは納期が1年以上要するものも多く、同部門の売上拡大は25/3期以降に大きく寄与しよう。

 

 また今後伸び率で高い成長が期待出来るのが岡本工機の歯車事業。広島県府中市の府中第2工場が7月より生産を開始、月産15万個の生産能力が加わり、25/3期には歯車生産能力が約3割増、年間480万個(日本のみ)となる。このため歯車だけで売上100億円を超え、2ケタ成長が続こう。歯車はファナックが最大ユーザーで、ロボット向けが多いとみられ、従来、EV向けには提供していない模様で、今後はEV化により歯車の静音化が高まる中で新たな需要が見込まれる。具体的には同社は振動・騒音の抑制により効果の高い独自の超音波歯車研削加工を有しており、精密歯車へのニーズも本格化する見通し。超音波歯車研削加工では歯切加工時の切削筋を打ち消し、かみ合い誤差を減少させ、高周波音を抑制できる。また歯車の微少な凹凸に油が入り込み、潤滑性が増すことで摩擦が低減、長寿命化も可能に。このためEV向けが加われば更なる売上拡大もある。このように研削盤を中心に工作機械は業界平均を上回る伸びが見込まれ、加えて歯車ビジネスが急拡大する中で、工作機械事業全体も25/3期以降、収益再拡大が期待される。

 

 

 全体として25/3期も収益拡大が見込まれ連続最高益更新が見込まれる。現在、株価は24/3期会社予想EPS893.89円に対しPER6.2倍であり、東証スタンダード機械平均PER12.9倍に対し割安であるばかりか、PBRも1.0倍と最高益更新企業として割安感があり、引続きポジティブ継続とする。

 

 

 

(H.Mirai)

 

 

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