新たなGX亜鉛需要希望の星になるか? 亜鉛空気フロー2次電池
非鉄金属の中で亜鉛という金属は、長年銅や鉛に比べてリサイクルと言う言葉から最も遠い金属と思われていた。しかしこれまで1次電池の世界ではマンガン・亜鉛電池は、1次電池の花形で我々の生活を支えてきた。また亜鉛は現在も多くの需要で鉄鋼構造物の防食機能を有している。
1次電池は、使い切ると放置されリサイクルフローに戻りにくいが、亜鉛マンガン電池にはかつて水銀が使用されていたことから、自治体収集で無害化の為のリサイクルフローが北海道で野村興産により無害化処理が行われてきた。
現在の1次電池の世界では、亜鉛マンガン電池から高性能のニッケル・水素アルカリ電池などが多用されて、特殊な用途では超小型の亜鉛空気電池が補聴器などの特殊用途で活躍している。
我々は2020年代から2030年へ向かい世界的に大きなGX分野の大変化の時代に向かい、電力分野では化石燃料から風力とソーラーセルへ依存しなければいけない。従来の化石燃料の発電から気候・天候からエネルギーを貰う電力を頼りに生活しなければいけない。その際に最大のテーマが気候・天候の変化で発電量が大きく変化する事に対応しなければいけないが、その準備では世界的に対応が遅れている。どの様にエネルギーを蓄積するのか。
シャープが開発している亜鉛空気フロー2次電池構想:シャープHP
大型2次蓄電池の開発では、NAS電池やバナジウムフローバッテリーが先行しているが、大規模の蓄電設備でかつ価格の点でも大きな需要に結びついていない。日本でも数社が亜鉛を使った大型2次電池の開発が着々と行われている。
シャープ提案する亜鉛空気フロー2次電池の原料は、亜鉛と空気だけで充放電が可能である。世界では亜鉛は14百万トン生産されており、一度亜鉛と酸化亜鉛が供給されると空気で充電され、放電すると空気が放出される。
シャープが提案する亜鉛空気フロー2次電池の経済技術優位性
出典:シャープHPよりMIRU作成
亜鉛は世界的に主に電解採取法で生産され、高純度亜鉛が生産されており、開発に成功すると、亜鉛と酸化亜鉛の需要が急拡大し、世界的な電力貯蔵の充電・放電施設として活躍が期待される。漸く亜鉛が社会的に蓄積する時代が期待される。
安価な亜鉛空気フロー2次電池の開発が成功するとアフリカや極寒地などや気候・天候の厳しいエリアのインフラとしての活躍も期待される。
(IRUNIVERSE Katagiri)
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