グレンコア、ニッケルとフェロクロムの今年の生産目標を下方修正 1-9月期は生産不振
スイス資源大手のグレンコアは10月30日、ホームページ上で、2023年1-9月期の生産状況と今後の生産見通しを発表した。その中で、2023年のニッケルとフェロクロムの生産目標をそれぞれ下方修正。世界的に鉱物価格が下落していることもあり、生産が細っている。
■ニッケル生産、1-9月に16%減
グレンコアは2023年のニッケル生産目標を10万2000トン(上下4000トン)と、これまでの11万2000トン(上下5000トン)から下方修正した。同社の1-9月のニッケル生産量は6万8000トンで、前年同期に比べ16%減っていた。
カナダの製錬所の改修や、同じくカナダの鉱山で2022年に起きたストライキの影響が残った。さらにニューカレドニアで経営するコニアンボ鉱山の経営負担が重くのしかかった。コニアンボ鉱山から採れるのは電気自動車(EV)向けバッテリーなどには適さない低品位のニッケルで、グレンコアにとっては長年の負担になっている。ただ、同社は9月、コニアンボ鉱山への出資を続けると発表した。
■クロムは2割減
一方、フェロクロムの生産目標も120万トン(上下3万トン)と、これまでの131万トン(上下3万トン)から下方修正した。フェロクロムの生産量は1-9月に21%減っていた。グレンコアは、10-12月期は精錬所が休みになる日が多いこともあり、通年の目標修正に至ったと説明した。
他の金属の生産量も、金と石炭以外は前年同期を下回った。銀は19%減少。銅やコバルトも小幅に減った。ただ、生産目標は、ニッケルとフェロクロム以外はほぼ修正しなかった。
■収益は堅調を予想
グレンコアは収益面では堅調を予想している。2023年の調整済みEBIT(利払い前、税引き前利益)について、かねて長期レンジとして発表した水準(22億-32億ドル)を上回り、かねての予想である35億-40億ドルの範囲内となると予測した。
(IR Universe Kure)
関連記事
- 2025/05/01 2025年4月フェロアロイの平均推移(月平均)
- 2025/05/01 2025年4月マイナーメタルの平均推移(月平均)
- 2025/05/01 ニッケルブログ#20 EU競争力指針-ニッケル産業からの意見
- 2025/04/30 大平洋金属:25/3期業績見通し修正し、新中計を発表、フェロニッケルから新規事業へ転換
- 2025/04/30 欧州からの風:2025 April「EU使用済自動車規則案:揉めるプラスチック再生材含有ターゲットの行方は?」
- 2025/04/30 2025年2月 タングステンスクラップ輸出入統計分析 輸出は半減以下に、輸入も減少
- 2025/04/30 2025年2月チタンスクラップ輸出入統計分析 輸出は数量・金額ともに2カ月連続前月割れ
- 2025/04/30 2025年2月シリコマンガン輸入統計分析 3カ月ぶり減少2万トン大幅割れ 累計も前年割れ
- 2025/04/30 【貿易統計/日本】 2025年3月のモリブデン輸入推移統計
- 2025/04/30 【貿易統計/日本】 2025年3月のタングステンスクラップ輸出統計