マンガン市場近況2023 11月:停滞とゆるやかな需要低下の寒風
11月中旬週のマンガン市場のデータを元に、中国市場におけるマンガン需要を紐解いていく。
現在の中国国内でのマンガンの価格は堅調に推移している段階である。
とはいえ需要と供給が釣り合っている状態ながら、その総需要は徐々に低減している状態となっている。
全体の動きを見てみれば、やや厳しい風向きは今後も続く流れとなりそうだ。
メタルマンガンフレーク 99.7%min EXW Chinaの価格は12,000-12,300人民元/トン (USD1,633-1,674米ドル/トン)と前回レポートとほぼ同値で推移。
2023年10月25日から26日に関して12200-12500人民元/トンと高値をつけていたものの、すぐに値が下がった状況を見ると現状この価格帯が安定した状態と見て良いだろう。
シリコマンガン65/17Chinaに関しては、6,400-6,600 人民元/トン (899-926 米ドル/トン)と前回のレポートからやや安値という状態だ。
上2つの品目に関しては米ドル換算での値動きが一切ない状態であり、10月時点と比較して若干のドル安人民元高という状態だ。
シリコマンガン60/14 EXW Chinaは5,950-6,150人民元/トン(830-858 米ドル/トン)となっており、こちらも人民元換算で僅かに値が下がっている状態だ。
メタルマンガンフレーク(99.7% Ex-VAT FOB China US$/ton) 3ヶ月の値動き
シリコマンガン(65/17 FOBChina US$/ton) 3ヶ月の値動き
欽州港の豪州産マンガン鉱石 45%minは価格低下の影響を受けにくいのか、価格は37.3-38.3人民元/dmtu(5.32-5.46 米ドル/dmtu)とほんのわずかな下落だ。
今回も前回同様に、米ドルベースで見てみれば前回のレポートから一切の価格変動を見せていない。
フェロマンガン(Mn75%min C8%max EXW China)は6,650-6,850人民元/トン (906-934 米ドル/トン)とこちらは50人民元の価格上昇を見せている。
こちらもは豪州産マンガン鉱石 45%min同様米ドルベースでの価格変化は起きていない状態だが、人民元ベースで価格上昇が見られる珍しい状態だ。
豪州産マンガン鉱石(Mn44%min Mn1%当たりUS$) 3ヶ月の値動き
高炭素フェロマンガン(Mn75%min, C8%Max Europe EUR/MT) 3ヶ月の値動き
現在の中国市場におけるマンガンの状況としては在庫払底の成果が出つつある状況だ。
貴州武陵マンガン有限公司や広西新マンガン集団有限公司がマンガンフレークの生産再開を見込んでおり、特に後者の企業については在庫が底をついた事が生産再開に踏み切ったものと見られている。
その一方で寧夏盛岩集団がシリコマンガンの減算を見込んでおり、在庫が無い状況でも4000トンの減算となると需要の低下が懸念される。
市場全体として輸入価格の低減は無く、国内での価格低下が徐々に展開している状況は今後も変わらないものと見られている。
市場自体は安定しているものの、全体的な需要の低減傾向に歯止めが掛からない限りは今後も市場の冷え込みは続くと考えられる。
今後需要がどれだけ伸びてくるのか、未だに萌芽の気配は見えてこない状態だ。
(IRuniverse Ryuji Ichimura)
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