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米中対立が先鋭化 米インフレ抑制法から中国除外、中国は黒鉛輸出規制を開始

 電気自動車(EV)と車載電池、その材料を巡る米中の対立が先鋭化してきた。米政府が同国のEV購入支援策について、中国企業が生産した電池部材や重要鉱物を使っている場合は除外する方針を発表。一方の中国は同日、電池材料の黒鉛(グラファイト)の輸出規制を始めた。ただ、いずれも実効性や効果には疑問も残る。

 

■米国、長期的な供給網確立に向け中国除外

 米国は2022年発表のインフレ抑制策(IRA)で、EVを対象とした最大7500ドル(約110万円)の購入支援策について、最終的に中国を支援策対象から除外することを決めた。中国が除外対象になるとの観測は以前から出ていたが、今回はそれが最終的に確定した。

 

関連記事: インフレ抑制法 中国との合弁企業は税制優遇措置から除外? | MIRU (iru-miru.com)

 

 今回の決定では、中国企業が生産した電製品について、電池は2024年から、重要鉱物は2025年から、それぞれ中国製を使用したEVを支援策の対象外とする。 が米企業の子会社も含め、中国などに本拠を置いていたり、政府による経営支配権が25%以上に及んでいたりするEVメーカーも除外対象となる。

 この規制について、英フィナンシャル・タイムズは12月1日、「中長期的に米国のEVが米国製になることを確実にする」との政府関係者の話を伝えた。「2024年だけでなく、長期的な供給網(サプライチェーン)確立のための動き」としている。

 ただ、短期的な実効性はというと疑問符が付く。中国からの材料や部品なしでEVを生産するには、数年の時間が必要だとの認識は多い。よしんば重要鉱物の半分を米国や自由貿易協定を結んでいる国から入手したとしても、その分のコストが製品価格に反映された場合、税控除により相殺されるとも限らない。結果としてEV価格の高騰につながる可能性がある。EVの価格競争が激しくなりつつある局面で、各メーカーが納得するかは不透明だ。

 

■中国、米国の苦しみ見透かす

 一方の中国は米国が中国以外からの材料調達に苦しむことを見透かしたごとく、12月1日から一部黒鉛(グラファイト)の輸出規制を始めた。

 

関連記事: 中国商務部 中国黒鉛輸出規制の発効が世界の電池サプライチェーンに影響を及ぼすかどうかを回答 | MIRU (iru-miru.com)

 

関連記事:中国、明日から黒鉛の輸出規制 足元価格はやや軟調、先回り買い一巡か | MIRU (iru-miru.com)

 

  ただ、この規制に関し日本の中国事業を手掛けるトレーダーの間では「規制を緩めている部分もあり、やみくもな規制強化ではない」との声が当初からあった。輸出が申告制になっただけでそもそも禁輸でもなく、禁止してしまえば輸出を手掛ける中国企業も困る。 

このためトレーダーの間では様子見気分が強く、規制対象品の1つでもある球状黒鉛の価格は10月20日の規制強化の発表から規制開始後まで一貫して動きが鈍い。

 

過去半年間の球状黒鉛価格の推移(99.95%min 17 um max in China)(RMB/ton)

 

■国民感情は互いに悪化、EV販売は減速

 

 今回の米国のIRA除外を巡り、中国のメディアは「また中国いじめだ!」と憤懣やるかたない論調で報じた。ネットメディアの新浪網は12月2日、「米国はIRA以外にも中国に差別的な超党派インフラ法やCHIPS科学法などを相次いで打ち出してきた」と指摘、「『国家の安全』は保護主義の口実にすぎず、逆効果だ」との専門家の意見を伝えた。

 

 一方で米国でも、中国企業による米国での事業への反感は強まっている。

実際に中国電池メーカーの国軒高科(ゴディオン)がイリノイ州とミシガン州で計画する工場建設には、反対の署名が集まった。米フォードが中国電池の寧徳時代新能源科技(CATL)と共同で建設するはずだった工場は、規模縮小に追い込まれた。

 

 さらに、前述のとおりEV自体の販売も伸び悩んでいる。韓国調査会社のSNEリサーチは11月発表の公開リポートで、2023年に世界80カ国で登録される(EV)ハイブリット車(HEV)(HEV)の規模が約1377万台になるとの予測を示した。上半期に予測した台数より100万台以上低い見通しで、増加率も36.4%から30.6%に下方修正した。

 

 

■米大統領選が転機となるか

 IRAは2024年秋の米大統領選の焦点になる可能性がある。米国の中国に対する警戒感は超党的なもので大きくは変わらないかもしれないが、中身は変わる可能性がある。共和党は今回の措置を巡り、「除外開始に猶予期間を設けるなど生ぬるさが目立つ」と批判したと伝わった。対中姿勢が一段と強まってもおかしくない。

 さらに、共和党はEV推進自体にも懐疑的だ。もともとEV普及政策には雇用を失う恐れがある米国の従来型の労働者からは反発がある。現在のようにEV販売が鈍っている中では、自動車メーカーが非協力的になる可能性もあり、白人労働者を政治基盤とする共和党はIRA自体の取り下げや縮小に動く可能性もある。

 米国が態度を変えれば、中国の反撃も変化するだろう。日本でも多くの関係者が予測するように、レアアース(希土類)など他の鉱物に輸出規制を仕掛けてくる恐れもあるだろうし、状況次第では逆に軟化してくる可能性もある。

 

関連記事:中国の輸出制限はどこまで広がるのか?LIB材料の場合 | MIRU (iru-miru.com)

 

 

(IR Universe Kure)

 

 

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