青銅条輸出レポート#24 中国・タイ・ベトナム向け輸出回復の兆し
日本の青銅条輸出は、昨年から2023年前半まで、緩やかに減少していた。ただ、後半に入って、主力の輸出先である中国やタイ、ベトナム向けを中心に輸出量が回復してきている。一方、昨年まで輸出量3位だったマレーシア向けは引き続き減少している。
【1】青銅条輸出概況
財務省貿易統計によると、2023年10月の日本からの青銅条輸出量は992トンだった。単月の輸出量としては、昨年6月以来の多い輸出量となった。前年同月比19.3%増加し、3か月ぶりにプラスに転じた。同比の2桁パーセントのプラスは、2021年9月以来、2年ぶりのことである。
2023年1-10月の同累計輸出量は7,424トン、前年比10.9%減少した。依然として2019年20年の同累計よりも僅かに少ない。そして同累計としては、1993年以来、実に30年ぶりの少ない輸出量となった。
2023年10月の青銅条の輸出平均単価は、キロ当たり1,754円、前月より48円高だった。昨年一時1,800円を超えていた時と比べて上昇一服しているが、それでも引き続き高止まりしている。
【2】青銅条の輸出先
累計で見ると、2023年の同輸出量は、昨年までと比べて大幅に少ないが、それでも直近の輸出量が増加気味に転じてきた。それは、同輸出全体の6割近くを占めている中国とタイ向けの輸出が回復してきたためである。
また中国やタイに次ぐ輸出量の多いベトナム向けも回復してきた。ベトナム向けは、一昨年、昨年と同輸出量が増加していた。ただ、2023年前半はこれまでの違い減少していた。今回10月のベトナム向けの同輸出量は、前年同月比で3か月ぶりにプラスに戻している。
一方、昨年まで中国、タイに次いで輸出量が多かったマレーシア向けは、このところ年々輸出量を減らしている。2023年1-10月の累計輸出量では、3位の座をベトナムに明け渡した。
ただ、この上位4地域向けの同輸出平均単価を比較すると、ベトナム向けだけが突出して高い。マレーシア向けも昨年一時的に高くなる月があったが、ここに来て中国やタイ向けの値まで戻してきている。
2023年10月の青銅条の主な輸出先の輸出量とキロ当たりの輸出平均単価、前月との差額は以下の通りである。
韓国 13トン2,612円(447円安)
中国 302トン1,673円(62円高)
台湾 51トン2,041円(81円高)
香港 16トン1,770円(188円高)
ベトナム 105トン1,934円(135円高)
タイ 324トン1,595円(65円安)
マレーシア 40トン1,608円(40円安)
フィリピン 45トン1,954円(103円高)
インド 21トン1,886円(58円高)
米国 44トン2,138円(186円高)
メキシコ 19トン2,007円(31円高)
【3】輸出税関
2023年10月の青銅条の主な輸出税関の輸出量とキロ当たりの輸出平均単価は以下の通りである。
東京 143トン2,115円
横浜 229トン1,821円
神戸 20トン2,914円
大阪 21トン2,065円
名古屋 53トン1,967円
四日市 18トン1,787円
下関 498トン1,521円
※記事内のグラフ・図表は、MIRU.comにて作成
(K.AKIYAMA)
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