スズ地金輸出入Report #79輸出 博多-オランダ向け支える 昨年を上回る輸出量
日本からのスズ地金輸出は、緩やかに増加し、昨年の輸出量を上回って推移している。主要な輸出先の多くが量を減らす中、博多からオランダ向けの輸出が2年ぶりに大きく増加し、全体を支えしている。
【1】スズ地金輸出概況
財務省貿易統計によると、2023年10月の日本からのスズ地金輸出量は17.0トンだった。前年同月比34.9%増加し、3か月ぶりにプラスに戻した。
10月のスズ地金の輸出平均単価はキロあたり4,921円、前月より705円高だった。昨年12月に5千円を割り込んで、そのまま一時3千円台まで大きく下げていた。今回久々に5千円近くにまで戻してきた。
2023年1-10月の同累計輸出量は292トン、前年比12.4%増加した。引き続き2年ぶりに前年実績を上回って推移している。ほぼ昨年の同年間輸出量に達した。
【2】スズ地金輸出先
2023年の同輸出増加は、オランダ向け輸出が2年ぶりに戻したことが大きい。昨年、オランダ向けの輸出量が大きく減っていたが、2023年に入って再び増えている。オランダ向け以外の主要な輸出先のうちは、昨年並みのフィリピン、香港、タイ向けを除き、多くが昨年より減少ペースで推移している。
オランダ向けの輸出は、数ヶ月に一度大量に輸出している。ただ、前月もオランダ向けの大量輸出があり、そうした輸出が2023年は4度あった。2年前が7度に対して、昨年は1度だけだった。今回10月はオランダ向けの輸出は無かった。
2023年10月のスズ地金輸出先と輸出量とキロ当たりの平均単価、そして前月との単価差は以下の通りである。
中国 5.2トン4,268円(267円安)
韓国 2.5トン5.189円(194円高)
香港 1.6トン5,151円(180円高)
タイ 2.8トン5,266円(360円高)
マレーシア 2.5トン5,356円(380円高)
フィリピン 2.4トン5,030円(139円高)
【3】スズ地金輸出税関別
税関別に見ると、オランダ向けの輸出を行っている博多が輸出量を大きく増やしている。ただ、今回、博多からの輸出は無い。
2023年10月のスズ地金輸出の主な税関と輸出量、キロ当たりの輸出平均単価は以下の通り。
東京 6.4トン5,225円
横浜 2.0トン4,005円
大阪 3.0トン5,304円
関西空港 2.5トン5,017円
名古屋 3.0トン4.426円
※記事内のグラフ・図表は、MIRU.comにて作成
(IRuniverse /K.AKIYAMA)
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