年明けの国内ステンレススクラップマーケットは、基本的に昨年末比横ばい、で推移している。
昨年12月下旬に一部の国内ステンレス特殊鋼メーカーが304スクラップのキロ5円下げを発表したが、親和スチール他メーカーも追随せず、山陽特殊製鋼にいたっては値下げを撤回したこともあり、結果的に12月から横ばいが続いている。現状は市中実勢でキロ当たり180〜185円が中心。400系はキロ当たり68〜73円。国内特殊鋼メーカーも昨年10月以降に輸出価格に合わせてきたことでメーカー着値で70円となっている(18Cr+16Cr)。Ni系、Cr系ともに昨年からの発生減、そして輸出増も重なりマーケットは下支えされていた。
ただ、昨年後半はその輸出を引っ張っていた中国向けがトーンダウンしていることで落ち着いている。一方で、韓国向けの需要は強い。ポスコ社が1−3月期は増産に入っているためだ。従って、最大手の親和スチールの集荷意欲は強い。仙台の鈴勇商店も1-3月トータルで6000トンの契約をしていることで、発生が少ないなかでの集荷は困難をきわめている様子。またポスコ社は304系と同時に316系も欲している様子。316については国内メーカーも欲していりため、相場的には340~350円で動いている。モノはないが。
中国向けは置き場買値で304系が170円とお安いが「解体を必要とするものが多いため、それはそれなりに需要がある」(スクラップサプライヤー)とのことで、韓国向けと中国向けのそれとではモノが違うため、それなりに棲み分けはできている。しかし中国向けは304系では競争力が落ちているため、400系から316まで幅広く買いの手を広げている模様。従って、ステンレススクラップマーケットはニッケル相場のモーメントにはあまり関係なく強基調となっているのが実態。
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それを感づいているのかどうか定かではないが「ものが無い、というので実際にヤードに行ってみると、けっこう在庫をもっている。要は出し渋り。ステンレスは鉄と違ってさびない(厳密にはさびにくい)ので、数か月は在庫できるんですよね(苦笑)」とはステンレススクラップ扱いの商社筋。
(LMEニッケル相場($/ton)と国内304系スクラップ相場(¥/kg)の推移)
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(IRUNIVERSE/MIRU)