SUSscrap MarketWatch 2024#1 304、316系強含み 発生減と海外需要増
年明けの国内ステンレススクラップマーケットは、基本的に昨年末比横ばい、で推移している。
昨年12月下旬に一部の国内ステンレス特殊鋼メーカーが304スクラップのキロ5円下げを発表したが、親和スチール他メーカーも追随せず、山陽特殊製鋼にいたっては値下げを撤回したこともあり、結果的に12月から横ばいが続いている。現状は市中実勢でキロ当たり180〜185円が中心。400系はキロ当たり68〜73円。国内特殊鋼メーカーも昨年10月以降に輸出価格に合わせてきたことでメーカー着値で70円となっている(18Cr+16Cr)。Ni系、Cr系ともに昨年からの発生減、そして輸出増も重なりマーケットは下支えされていた。
ただ、昨年後半はその輸出を引っ張っていた中国向けがトーンダウンしていることで落ち着いている。一方で、韓国向けの需要は強い。ポスコ社が1−3月期は増産に入っているためだ。従って、最大手の親和スチールの集荷意欲は強い。仙台の鈴勇商店も1-3月トータルで6000トンの契約をしていることで、発生が少ないなかでの集荷は困難をきわめている様子。またポスコ社は304系と同時に316系も欲している様子。316については国内メーカーも欲していりため、相場的には340~350円で動いている。モノはないが。
中国向けは置き場買値で304系が170円とお安いが「解体を必要とするものが多いため、それはそれなりに需要がある」(スクラップサプライヤー)とのことで、韓国向けと中国向けのそれとではモノが違うため、それなりに棲み分けはできている。しかし中国向けは304系では競争力が落ちているため、400系から316まで幅広く買いの手を広げている模様。従って、ステンレススクラップマーケットはニッケル相場のモーメントにはあまり関係なく強基調となっているのが実態。
(関連記事)2023年11月 SUSスクラップ輸出入統計分析 輸出は韓国・中国向け不振で大幅減少
それを感づいているのかどうか定かではないが「ものが無い、というので実際にヤードに行ってみると、けっこう在庫をもっている。要は出し渋り。ステンレスは鉄と違ってさびない(厳密にはさびにくい)ので、数か月は在庫できるんですよね(苦笑)」とはステンレススクラップ扱いの商社筋。
(LMEニッケル相場($/ton)と国内304系スクラップ相場(¥/kg)の推移)
(関連記事)韓国ポスコ社 24年1月のSUSスクラップ買値 304は横ばい、316は50w上げ
(IRUNIVERSE/MIRU)
関連記事
- 2025/07/03 鉄鋼・非鉄関連会社の決算発表予日定一覧 :いつもより1週間程度早い
- 2025/07/03 ニッケル輸出入Report #186ニッケルマット輸入 2025年 3年ぶりに輸入量減少
- 2025/07/03 ニッケル輸出入Report #185鉱石輸入 2025年5月 久々にフィリピンから輸入
- 2025/07/03 ニッケル輸出入Report #184地金輸入 輸入平均単価2022年急騰前の水準に戻る
- 2025/07/02 25年3Q(7‐9月期)ステンレスメーカー向け長契フェロクロムは日欧ともに5セントUP 南アの減産で
- 2025/07/02 鉄鋼・非鉄関連会社の決算発表予日定一覧 :発表時間を追加
- 2025/07/01 バナジウム市場近況2025#7 さえない、最終需要弱く生産企業が元気喪失
- 2025/07/01 2025年6月LMEニッケル相場の推移一覧 反落、引き続いての供給過剰懸念と中国ステンレス不況で
- 2025/07/01 ブラックマス市場近況2025#6:コバルト禁輸延長とニッケル反発も、評価率は弱含み継続
- 2025/07/01 タングステン市場近況2025#6 上昇、APT最高値に接近、品薄と軍需観測で