ロシアのノルニッケル社、今年のニッケルとパラジウムのさらなる減産を見込む
ニッケルの世界的な供給過剰状況が2024年にも解消されず、ニッケル相場への重大な下押し圧力となっていることを、これまでも数次にわたって報じてきた。
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ロイターの報道によるとこうした供給過剰状況に応じるかのように、ロシアの金属メーカー、ノルニッケルは28日月曜日、地政学的リスクと炉の修理延期による2023年の生産量減少に続き、今年はニッケルとパラジウムの生産量がさらに減少する見込みであると述べた。ただし欧米各国政府はウクライナ紛争に対応してノルニッケルを直接標的にすることを控えている。
世界最大のパラジウム生産者であり、精製ニッケルの主要生産者であるノルニッケルは、2023年のニッケル生産量が前年比5%減の20万9000トンになると発表した。今年のニッケル生産量は18万4,000~19万4,000トンを見込んでいる。
また2023年のパラジウム生産量は4%減の269万2,000トロイオ ンスとなった。同社は、2023年には両金属とも生産量が減少すると見込んでいたが、パラジウム生産量は予想を上回った。
この生産量見込みの引き下げの背景には、ウクライナ紛争をめぐる地政学的な不利な状況に関連するリスクによる操業に影響を想定予想している。
ノルニッケルによると、プラチナ生産量は2023年に2%増の66万4,000オンスとなり、2024年には56万7,000~60万5,000オンスに減少するとみられる。
構造的供給過剰状況を背景にLMEニッケル相場は、12カ月にわたって軟化、先週末には中国景気刺激策の期待感から他品目と揃って上昇したが、停滞状況から脱したとは到底判断しえないだろう。
LMEニッケル相場推移(USD/T) 1年
パラジウムは自動車用触媒の主材料としての需要がより安価なプラチナへ代替される中、やはりほぼ1年間にわたって下落を余儀なくされている。
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(IRuniverse/MIRU S. Aoyama)
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