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東京精密(7729)ネプコンジャパン微細加工EXPO取材メモ ややポジティブ継続

24/3期パワー半導体研削など好調で10.1%減収29%営利減に増額、25/3期中計達成視野

株価9728円(1/30) 時価総額4092億円    発行済株42059千株

PER(24/3DO予:21.5X)PBR(2.64X)配当(24/3DO予)182円  配当利回り:1.9%

 

要約

・ネプコンジャパン微細EXPOで高剛性研削盤を展示、化合物半導体に強み

・24/3期グラインダ中心に半導体製造装置部門増額で10.1%減収29%営利減に増額

・新中計予想で先端半導体増で25/3期売上高1700億円、営利375億円視野に

 

 

ネプコンジャパン微細EXPOで高剛性研削盤を展示、化合物半導体に強み

 

 24年1/24~26に東京ビックサイトで行われたネプコンジャパン微細EXPOが開催された。同展示会は2.5D/3D、チップレット、ヘテロジニアスなど技術革新が進む半導体後工程に特化した専門展で、東京精密工業ブースを訪問、バックグラインダの動向を取材した。

 

 同社は半導体製造装置、計測機器の2事業で事業展開しているが、24/3上期の半導体製造装置事業は売上高470億円(構成比74%)、営業利益93億円(同82%)、受注423億円(同71%)を占める主力事業である。半導体製造装置事業の中身は検査装置(プローバ中心)、加工装置(ダイサ、研削装置)に分かれており、24/3上期は売上で検査装置が60%後半、加工装置30%前半、受注で検査装置50%後半、加工装置40%前端という構成になっている。さらに全体受注の中でパワー半導体向けが約72億円(構成比17%程度)加工装置の4割程度がパワーデバイス向けとみられる。

 

24/3期半導体製造装置部門増額で10.1%減収29%営利減に増額

 

 24/3期予想は半導体製造装置事業でAI、HBM、SiC向け等の好調を受け増額修正し、売上高1320億(10.1%減)、営利245億円(29.0%減)、経常利益254億円(28.0%減)、受注1210億円(11.2%減)予想とした。

 

 事業別では半導体事業が売上高985億円(期初計画比45億円増額、12%減)、受注870億円(12.5%減)、予想。現状、下期受注447億円(前年同期比17%増)を見込むが、Q3は民生の落ち込み継続でQ2程度、Q4では民生の底打ち、生成AI、SiC、CMOSイメージセンサ、中国向けでもチップレット化の拡大が続き好調持続、同期比30%増程度の受注拡大を見込む。またパワー系では、シリコンパワー半導体向け一服もSiC向けの伸長が続く見通し。プローバもHBM向け拡大で民生の落ち込みを補う。売上面はHBM向けが24/3期以降の売上とみられるが、足元、中国向け売上構成比が30%強と中国向けの堅調さが目立つ。計測部門は売上高335億円(期初計画比15億円減額、3%減)、受注340億円(8.0%減)予想。受注は下期168億円(同期比6%減)予想と、ユーザーの投資抑制で自動継続製品の低迷が続く見通し。但しEV向け汎用計測器、充放電試験システムは受注拡大の見通し。利益面でも原価高などで低迷見通しに。

 

 全体として受注環境は生成AI、SiCパワーデバイス、中国チップレット需要増などで会社計画通りの受注が見込まれ、為替前提が1$=140円予想のため、通期多少の収益の上振れが期待される。

 

新中計予想で先端半導体増で25/3期売上高1700億円、営利375億円視野に

 

 新中計として2024年度に売上高1700億円(半導体1320億円、計測380億円)、営業利益375億円(営業利益率22%)を目指す。

 

 事業別では半導体事業1320億円を目指す。プローバはHBM拡大がさらに加速見通し。特に生成AI登場でAIサーバーの需要が年率22%成長予想と、高い伸びが継続する見通し。従来サーバーに対し7~8倍のHBM使用量があり、AIサーバー拡大でプローバビジネスの本格回復も見込める。

 

 加工装置ではSiC向けの拡大、アブレーションダイサ投入、化合物半導体向けグラインダの強化拡大を見込む。アブレーションダイシングはディスコが先行も、同社は精密、高剛性などで差別化を図る。化合物半導体はSiと比較し難作材であり、グラインダ加工時間が6~7倍かかり、台数の拡大とともに消耗品売上も急拡大が見込める。同社はシリコンバックグラインダで18%程度のシェアに止まるが、難作材加工ではディスコに対し優位性を持ち、今後も消耗品ビジネスを含め収益性の向上が期待される。またHBMはマイクロバンプ方式からハイブリッドボンディングに変革が進む見通し。ハイブリッドボンディングは精密な位置合わせ、表面処理と清浄度、プロセス制御と歩留まり、接合強度と信頼性、熱機械的応力管理、試験性と修理性などが要求される。特にTTV(total thickness variation: ウエハ全面における最大値と最小値の差)がデバイスの良品率で重要となるが、同社がディスコに対し優位性を持つ分野で、グラインダ、CMP装置の需要拡大が見込める。さらに後工程で計測ビルトインモデルの投入拡大も投入、製造装置、計測装置の両事業を有する唯一の半導体製造装置メーカーとして差別化も期待される。

 

 計測事業はEV向けに150Vまでの高電圧電池モジュールの充放電電池評価の拡大などで売上拡大を見込む。またEV電動駆動用部品では3次元測定器、真円度・円筒形状測定器が必要。さらにバッテリーの内部計測、不純物検査なども同社の超精密測定器の需要拡大が期待される。

 

 上記のように、検査装置の拡大加速、300mmウエハグリーンフィールド投資向けの受注残高の売上寄与、プローバはHBM向けの拡大、民生の受注回復が見込まれる。また計測装置はEV向け中心に新規分野の拡大が期待される。全体として2年前に策定した25/3期中計目標では具体的な売上を示していなかった分野の拡大が加わり、中計の達成が視野に入ったと言えよう。

 

 株価は上方修正、生成AI関連の期待もあり、1/22には10455円の高値を付け、その後は多少落ち着いた動きにある。24/3期会社修正予想EPS441.44円に対し、PER22.0倍は東京エレクトロン42.4倍、ディスコ60倍に対し割安で有り、高値10455円でもPER23.7倍に過ぎず、25/3期中計予想に対して生成AI関連、SiCパワーデバイス関連の寄与から達成する期待が高まると判断、ややポジティブ継続としたい。なお24/3Q3決算発表は2/5、同日WEB説明会実施予定。

 

 

 

(H.Mirai)

 

 

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