レアメタル系スクラップ市場近況 2024#2 Ni系は横ばい チタン、モリブデン、タンタル系は上昇
レアメタル系スクラップ市況は、1月に比してニッケル系は概ね横ばい、チタン系、モリブデン系は強含み、の様相となっている。
【チタン】
・純チタン板スクラップ(新断)「➚」:410~420円/kg。前月比キロ当たり10円上げ
・合金6-4チタンダライ粉「➚」:200~210円/kg 前月比キロ当たり10円上げ
・合金6-4チタンスクラップ「➚」:250~260円/kg 前月比キロ当たり10円上げ
・フェロチタン「➚」:6.8~7.7ドル/kg 前月比0.5ドル前後上げ
・鉄鋼添加用スポンジチタン(中国市場)「➘」:6.9~7.2ドル/kg
・一般産業用スポンジチタン(日本)は10~11ドル/kgで横ばい。
フェロチタンは若干上昇、つれてチタンスクラップも上げ含みとなっている。航空機用のハイグレードスポンジチタンの供給が限られているなかで、ロシア産スポンジチタンが航空機メーカー(ボーイング)から敬遠されていることもあり、ハイグレードなチタンスクラップの需要はきわめて強い。航空機部材にビルトインできるハイグレードなチタンスクラップの供給も限られている。またフェロチタンについても、これまではロシア産の安値玉が欧州市場に頒布されていたのだが、ロシア産フェロチタンは昨年12月よりEUが輸入禁止としていることから、フェロチタン相場は上昇している。スポンジ、フェロチタンともにの上昇でチタンスクラップも上昇している。この傾向はしばらく続くとみる。
(フェロチタン相場($/kg)と国内64チタンスクラップ相場(¥/kg)の推移)
【工具類】
・ダイス鋼MIX「→」:30円/kg。前月比「横ばい」
・SKD61「→」:65円/kg。前月比「横ばい」
・ハイス(ミックス)「→」:高値320円/kg、安値295円/kg。前月比「横ばい」
・ハイス(一品もの)「→」:高値330円/kg、安値300円/kg。前月比「横ばい」
・超硬スクラップ「→」:2,500円~2,800円/kg。前月比「横ばい」
ハイスのモリブデン含有の高いSKH51は前月比でキロ10~20円の上げ。超硬、ではないサーメットはキロ当たり100円程度。
【モリブデン】
・酸化モリブデン「→」:ポンド当たり19~20ドルで横ばい 高値安定
・モリブデン新切れスクラップ「➚」:3,300円~4,000円/kg。前月比300~500円の「上げ」*スクラップの状態、数量にもよる
・フェロモリブデン「➘」:45~46ドル/kg 前月比3ドル前後の「下げ」
(酸化モリブデン($/lb)とモリブデン新切スクラップ相場(¥/kg)の推移)
モリブデン系は酸化モリブデン高、需要高で安定。モリブデンの新切スクラップも状態にもよるがキロ当たり4000円近いものも散見される。モリブデン含有2.5%の316系スクラップも高値安定している。
【タンタル】
・タンタライト「➚」:73~75ドル/lb。前月比高値・安値ともに4ドル「上げ」
・金属タンタル「➚」:292~302ドル/kg。前月比高値・安値ともに2ドル「上げ」
・タンタルスクラップPIN「→」:高値28,000円/kg、安値26,000円/kg。前月比「横ばい」
・五酸化タンタル「➚」:217~227ドル/kg。前月比高値・安値とも3ドル「上げ」
前回でもタンタルは底値にある、というコメントがあったが、実際、1月半ばからタンタライトは上昇しており、五酸化タンタルも上昇。
半導体向けでの需要が上向いてきていると思われる。
(五酸化タンタル($/kg)とタンタライト相場($/lb)の推移)
【ステンレス 、耐熱系】
(LMEニッケル相場($/ton)と国内316系スクラップ相場(¥/kg)の推移)
・SUS304「→」:180-190円/kg。前月比「ほぼ横ばい」
・SUS310「→」:380円/kg。前月比「横ばい」
・SUS316「➚」:330~360円/kg。前月比20~30円/kg「上げ」
・SUS330「→」:570円/kg。前月比「横ばい」
・SUS430「→」:65~74円/kg。前月比「横ばい」高値安定
・42アロイスクラップ「→」:720円/kg。前月比「横ばい」
LMEニッケル相場が下落トレンドにあり、足元では16,000ドルも割り込み、さらに下げ含み感強いなかで、スクラップのほうは発生減、為替要因に助けられる格好でもちあっている。316系は高値安定。メインの304系もニッケル相場下落でも下がらず。
ただ、国内のステンレス、特殊鋼メーカーの買いは弱いため、310、330といったアイテムは輸出に流れやすくなっている。
日本冶金での高機能材の生産も若干落ちていることもあり、ハイニッケル系スクラップは国内向けは弱い。
銅ニッケル合金のキュプロニッケルは、9/1キュプロニッケルが665~775円/kgで横ばい。7/3キュプロニッケルは安値790円/kg、高値820円/kgで横ばい。
【ハイニッケル合金系】
・インコネル718「→」:高値900円/kg、安値800円/kg。前月比「横ばい」
・インコネル625「→」:高値1,065円/kg、安値965円/kg。前月比「横ばい」
・インコロイ800「→」:高値540円/kg 安値490円/kg。前月比「横ばい」
・ハステロイX「→」:高値840円/kg、安値740円/kg。前月比「横ばい」
・ハステロイC「→」:高値1,040円/kg、安値940円/kg。前月比「横ばい」
鉄・ニッケル・コバルト合金のコバールは360~460円/kg、ニッケル・クロム・銅・モリブデン合金のカーペンターは490円/kgで横ばい。
ハイニッケル系はスーパーアロイ向けは堅調だが(ニッケル、コバルトの下落の割には)、ステンレス、耐熱系、高機能材向けでは弱い状況が続いている。こちらもスーパーアロイ向けで輸出多め。
(IRUNIVERSE/MIRU)
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