LME「ダーティーメタル」問題で環境保護団体から提訴 - ロイター
すでに当サイトでも報じたが、LMEは例の2022年のニッケル騒動にまつわっての投資ファンドからの訴訟に昨年11月勝訴したが、それからわずか3カ月後に、今度は環境保護グループという非市場参加者による訴訟に直面している。
関連記事→LME、ニッケル取引中止をめぐる訴訟でひとまず勝訴 | MIRU (iru-miru.com)
13日、ロイターがこの顛末について報じた。
それによると、原告は今回はインドネシアの銅をターゲットにした環境活動家。2つの圧力団体、ロンドン・マイニング・ネットワーク(LMN)とグローバル・リーガル・アクション・ネットワーク(GLAN)は、LMEが「ダーティメタル」の販売を促進し、英国のマネーロンダリング防止法に違反していると非難している。ダーティーメタルとはインドネシアの巨大なグラスバーグ鉱山で生産される銅である。それによりこの鉱山における環境破壊の疑惑を浮き彫りにしようとしている。LMEにとってこの訴訟がやっかいなのは、LMEは、責任ある調達に関する書類の提出期限を守らなかったとして、上場銘柄の約1割を取引停止処分にしている最中だからだ。
ただしこの訴訟は損害賠償を求めるものではない。
むしろ、LMEが英国の規制下にある投資取引所であることを利用して、グラスバーグにおける「環境犯罪」疑惑を増幅させるのが狙いのようだ。LMNによれば、当面の目標は、「LMEに、取引所での金属取引のために金属を上場する際の規則を再検討させる」ことである。
具体的な標的はグラスバーグ精鉱を加工するPTスメルティングが生産するLMEの「グレシック」ブランドの銅で、最終的なターゲットは、インドネシア・パプア州の熱帯雨林にあるグラスバーグの鉱滓管理システムで、LMNとGLANは地元の水源を汚染していると主張している。
一方、グラスバーグ鉱山の共同所有者兼創業者であるフリーポートの、2022年持続可能性報告書(新しいタブが開きます)は、グラスバーグにおける「管理された河川鉱滓システム」がサイト固有の最良の選択肢であり、「人々と環境に対するリスクが最も低い」と主張している。
LMEは現在、登録されている435の金属銘柄のうち、約10%をコンプライアンス違反として一時停止している。これは生産者が責任ある調達要件を満たしていることを確認することに、LMEがいかに真剣に取り組んでいるかを示すものであるが、LME自身は、鉱業セクターの環境・社会・ガバナンス基準(ESG)を管理するルールを設定することはできない。こうしたLMEの保守的な姿勢が、急進的な環境保護団体からすると標的になるわけで、同グループはすでに、グレンコア、アングロ・アメリカン、リオ・ティントのような企業を、環境や社会への影響についてターゲットにしている。
LMEに法的な照準を合わせることは、金属生産者から金融機関や取引所などのサービス・プロバイダーへと、このキャンペーンがエスカレートすることを意味する。それゆえにこの新たなLMEへの訴訟の行方は、直接的な市場プレーヤーをはるかに超えた広範な関心を呼び起こすことなる。
(IRuniverse/MIRU S. Aoyama)
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