チタン原料市場市況2024年3月 反発、気分春めく 二酸化チタン2300ドル乗せ
2024年3月のチタン原料市場は反発。中国の春節連休を終えて取引が活発化し始めた。鉱石供給のひっ迫が意識される中、発展途上国の需要増を背景に全体の9割を占める塗料向け二酸化チタンが反発し、心理的節目の$2300/tonを回復した。市場の気分は一足先に春めいている。
チタン精鉱
過去3か月間のチタン鉱石価格の推移(TI02 50% Fe203.14%)(US/ton)
チタン鉱石は小反発。2月22日に仲値$394.5/ton、3月7日には$396.5へと段階的に水準を切り上げた。1月半ば以来の高値水準。
中国の金属情報メディアSMM(Shanghai Metals Market, 上海有色網)によると、中国の一部の採掘会社が春節連休の後も生産コスト上昇などを背景に生産を再開しておらず、鉱石は供給ひっ迫が意識され始めた。FerroAlloyNet は、ベトナムのチタン輸出管理が厳しくなっているほか、ケニアなどでの資源枯渇もチタン精鉱の供給ひっ迫懸念につながっていると指摘した。
過去3か月間のルチル価格の推移(95% Ti02 bulk Fob豪州)(us/ton)
ルチルは2023年4月から値動きなし。
二酸化チタン
過去3か月間の二酸化チタン価格の推移(ルチルTi02 93%min Fob China)($/ton)
チタンの原材料全体の9割近くを占める塗料向けの二酸化チタンは反発。2月29日に仲値$2300/tonと心理的節目の$2300を回復。3月7日には$2350を付けた。2023年5月以来の高値となる。
原材料となるチタン精鉱の供給がひっ迫する一方、発展途上国での建材用塗料向けチタンの需要が高まっている。SMMによれば、中国の二酸化チタン企業の一部は人件費などのコスト高の価格転嫁で、取引価格を引き上げている。
チタンスラグ
やや軟調。FerroAlloyNetによると、中国の工場では、2月からの新規受注価格引き下げ傾向が続き、交渉の末価格が引き下げられるケースが相次いでいるという。受注自体は活発だが、価格上昇には結びついていないようだ。
チタンスポンジ
過去3か月間の一般産業向けスポンジチタン価格の推移( China)($/kg)
金属チタンは中国の一般産業向けで2月29日に$7.18/kgに上げ、3月7日には$7.326まで戻した。1月初旬以来の高値となる。SMMによると、中国では大手合金メーカーによる先行購入があったため、足元の金属チタン在庫はひっ迫気味で、価格押し上げにつながっている。ただ、先行購入を終えて足元の他の取引は少ないとされ、一段の価格上昇にはつながりにくい。
過去3年間の航空機向けスポンジチタン価格の推移($/kg)
航空機向けスポンジチタンの価格は高値横ばい。2023年に兵器向けなどの需要拡大で堅調だった勢いが続いている。
四塩化チタン
過去3か月間の四塩化チタン価格推移(99.99%min EXW China)(Rmb/mt)
2月29日に仲値RMB6250/mtを付け、その後は動きが乏しい。
フェロチタン
過去3か月間のフェロチタン価格の推移(Ti 70% EU)($/kg Ti)
2月8日から$7.475/kgで横ばいが続き、2023年6月以来の高値水準を維持している。在庫が十分にある製鉄所が多く、購入側には価格高騰もあって様子見気分が強い。一方で、生産者側も売り急いでいないため、動きが出にくい。
(IR Universe Kure)
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