鈴木(6785)24/6H1決算説明会メモ等 ポジティブ継続
24/6期12.2%増収14.5%営利増予想、26/6期に売上高364億円、営利50億円目指す
株価(3/7):1251円、 時価総額180億円、 発行済株数14404千株
PER(24/6DO予):8.6X PBR(0.78X)配当(24/6予)46円 配当利回り:3.7%
・24/6H1自動車電装部品好調も電子部品コネクタ不振で4.1%減収、19.9%営利減に
・24/6期計画に変更なく12.2%増収14.5%営利増予想
・中計予想で26/6期に売上高364億円、営利50億円目標は達成可能
24/6H1自動車電装部品好調も電子部品コネクタ不振で4.1%減収、19.9%営利減に
スマホや自動車電装部品用コネクタを主力に事業展開。24/6H1は売上高131.01億円(期初計画比7.87億円未達、同期比4.1%減)、営利15.07億円(同0.29億円未達、同19.9%減)となった。
売上高の内訳では、主力の部品事業が売上高97.61億円(計画比4.17億円未達、同3.4%減)、営利16.15億円(同期比20.5%減)となった。中身は電子部品コネクタが売上高74.59億円(同9.57億円未達、9.8%減)と低調に推移した。単独での用途別では多機能端末向けが21.6億円(15%減)とスマートフォンやウエラブル向けなど低調、FA向けも5.2億円(57%減)と大幅減に。一方で自動車向けは28.0億円(15%増)で自動車生産の回復、車載部品ビジネスでトヨタヤリス向けリチウムイオン電池部品、新たな車載センサー向け(34.2%増の10.93億円)が寄与した。自動車電装品コネクタは売上高23.02億円(25.4%増)と、自動車生産の回復で計画を上回り、主力顧客の住友電装でのシェアは48%を確保している。利益面は減収、原材料高などが影響し2ケタ減益に。金型部門は売上高6.19億円(計画比1.45億円未達、15.2%減)、2.19億円(同0.29億円増額、50.0%増)と、スマホなどの不振で減収も、利益は金型の高付加価値化や生産効率改善で増益に。機械器具は売上高27.17億円(同2.26億円未達3.8%減)、営利3.09億円(同0.64億円増額、27.7%増)に。車載関連装置が10.80億円(13%減)とワイヤーハーネス組立装置などが一服。医療関連は12.03億円(5.6%増)とアイテム2製品が堅調な伸びに。
24/6期計画に変更なく12.2%増収14.5%営利増予想
会社側では上期計画が利益でほぼ計画通りだったこと、自動車電装部品コネクタやトヨタヤリスバッテリー車載向部品ビジネスの拡大などで期初予想を変更せず。24/6期は売上高295.92億円(12.2%増)、営利36.08億円(14.5%増)、経常利益35.91億円(11.0%増)、税引利益22.04億円(12.7%増)を据え置いた。
部門別も大枠は変更しておらず、部品事業が215.57億円(13.3%増)、機械器具64.55億円(12.4%増)、金型15.72億円(0.7%減)予想。部品事業では自動車電装部品コネクタの販売単価構成の見直しから売上高が36.08億円(1.5%減)予想となっている。しかし上期での進捗率が63.8%に達し、実質は住友電装のワイヤーハーネス事業が好調でシェアもキープしており、下期も好調を維持する見通し。このため同部門は増額が見込める。電子部品コネクタは154.18億円(1.5%増)を見込むが、上期の進捗率は41.6%とスマホ不振が影響した。但し、一方でTier1向けの車載部品事業が好調で、24/6期計画が期初の18.87億円(9.8%増)に対し23.29億円(期首計画比4.42億円増額、35.6%増)と大幅増額されている。また同社はアップルの新モデル向けに増加を見込んでおり、下期はスマホの新モデル向け効果、車載部品ビジネスの拡大で会社計画並みの売上が可能とみられる。機械器具の中の自動機器は売上高40億円(17.2%増)予想で上期進捗率37.0%となっており、ワイヤーハーネス事業向けの設備機械の後ずれが影響しており、省人化ニーズは高いものの通期計画は未達懸念がある。医療組立は売上高23.72億円(6.1%増)に対し進捗率52.2%とほぼ計画並みで、通期も計画を達成しよう。またMiniLEDフリップチップ実装機は中国向けにセールスを始めた段階で、寄与は25/6期にずれ込もう。
利益面では設備投資増、金型投資増による償却負担増が見込まれるが、上期売上未達も利益がほぼ計画並みでMIX良化、生産効率向上もあり、通期では利益増額が見込まれる。
中計予想で26/6期に売上高364億円、営利50億円目標は達成可能
会社側では新中計を開示、独自の製造プロセスにより新領域へ事業拡大し、26/6期に売上高364億円、営利50億円を目指す。中身は部品事業で車載部品の生産アイテムを拡大し、機械器具では自動車向け専用機とLEDフリップチップ実装機の拡大、医療機器組立の新工場での本格生産増を見込む。
特に車載部品ビジネスではヤリス向けの加え、センサー関連で新たな取引が拡大、25/6期以降には他の2社の売上も急拡大が見込まれる。また車載用コネクタではEV化やIoT化の推進で車載用コネクタ端子の重要性が高まり、更にコネクタの種類や用途の多様化で端子需要が拡大見通し。同社はプレスフィット工法というコネクタなどのDIP部品のバネ性を持たせた端子をプリント配線版のスルーホールに圧入することのみで接続し、電気的接続と機械的保持の機能を同時に持たせ、はんだ付けを不要とする実装方法を開発、製造工程の簡略化、製造コストの低減を実現した。鉛レスで環境負荷も少なくできる技術で、ワイヤーハーネスやPCB端子をはじめ、パワー半導体向けなど自動車に使われる様々な電装部品はプレスフィット端子に置き換えが可能で、同社電子部品コネクタの拡大に寄与しよう。
また医療機器医組立ではカテーテル関連アイテム2について、自社製の自動化システムを新工場に導入、収益の拡大加速が期待される。
全体を通じ、既存事業の拡大に新領域の事業拡大が加わることで25/6期中計計画の達成が可能と見られる。
株価は昨年8/10の本決算をボトムにバッテリー関連事業の拡大、住友電装向けに自動車電装用コネクタの拡大などで24/6期増益予想としたことで上昇、12/4に1284円の昨年高値更新となり、その後は一進一退で推移している。24/6H1で通期の利益増額期待も出てきたことから3/27には1259円を付けている。現在24/6期会社予想EPS153.50円に対しPER8.1倍は東証プライム電機平均PER23.0倍に対し割安感があり、類似企業で減額修正のエノモトPER73倍、納入先の各コネクタメーカーと比較しても割安で、配当利回りも3.7%予想と高く魅力的となっている。今後、新分野のヤリス向けなどリチウムイオン電池関連の事業拡大、スマホでもミリ波対応などで精密コネクタ用部品の拡大も見込まれ、ポジティブ継続と考える。
(H.Mirai)
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