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熊本の災害廃棄物処理で高めた信頼と自信 星山商店

 熊本の大手スクラップディーラー、株式会社星山商店(本社:熊本県熊本市北区武蔵ヶ丘 星山一憲社長)は熊本のみならず九州全域でも屈指のリサイクラーである。前期の売上高はグループ会社含めて270億円。グループ全体での従業員数は390名を超えている。自社保有車両は200台を数える。

 

 素材別で最も扱いの多い鉄(スクラップ)は月間2万トンの扱いだ。他に産業廃棄物および一般廃棄物の中間処理場も運営する。 解体工事も自社で行う、とまさに360度全方位的な活躍でさらに力をつけてきている。M&Aにはさほど興味がないという星山社長だが、平成19年に後継者不在のためM&Aにより取得した宮崎県小林のスクラップ事業所は、いまでは30億円の会社に成長させている。

 拠点一の広さを持つ竹迫工場は、何かと話題の拠点一の広さを持つ竹迫工場は、 TSMCを擁する菊陽町のセミコンテクノパークとも近く、実際に星山商店は関連工場との取引(スクラップの引き取りなど)はあるという。

 

(出典:月刊不動産Web)

 

 持前の機動力と積み重ねてきた信頼で業容も拡大している星山商店だが、彼らの力が存分に発揮されたのは、2012年7月九州北部豪雨、そして2016年4月に発生した熊本地震での対応だった。前者では被災した市町村から要請を受け、後者では県から要請を受けた熊本県産業廃棄物協会(現 熊本県産業資源循環協会)の一員として、未曽有の大災害で発生した災害廃棄物の処理にあたった。災害廃棄物の特殊性に苦慮しながらも、市町村や廃棄物処理業者と連携をとり、一日でも早い復旧に寄与すべく力を尽くした。そして、その経験は令和2年(2020年)7月豪雨の際にも活かされた。

 

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 現在の星山商店を指揮する星山一憲社長は現在53歳。先代社長(実父の星山喜淳氏=80歳)は会長として現在も会社にほぼ毎日「出勤」しているという。星山商店の朝は早く、最初に社長が朝6時過ぎには会社に来ているという。

 「私は19歳の頃から家業に入っており、現場作業から物流、事務まですべてやってきましたので、朝一で出勤も身についているんです」(星山社長)。

 

 そして社長となった今も営業先、得意先にはひとりで車を運転して顔を出しているという。熊本では後発だった同社が実力をつけてきたのは、先述した「信頼」の積み重ねに他ならない。(社)鉄リサイクル工業会、(社)熊本県産業資源循環協会、(社)全国解体工事事業団連合会など多くの団体の要職にも就いており、会合にもよく出ているという。この人付き合いの良さ、というのも星山商店の重要な側面でもある。

 

 現在は星山グループで10拠点(宮崎も入れて)あるが、地盤を作ったのは会長で、それを強固にしたのが今の一憲社長。創業当時(1971 年)は熊本では後発だったため、建屋の解体をしながら近隣の業者に各種スクラップを販売するという昔でいうならば一介の「解体鉄くず問屋」に過ぎなかった。そこからどうやって勝ち上がっていったのだろうか?

 「事業の多角化も功を奏したとは思いますが、みなさんに信用をいただき支えていただいたことが一番大きいと思います。(星山社長)。

 

 ELV事業は2016年からスタート。月間およそ2000台のELV(使用済み自動車)を処理しているが、最大で月間4000台に達したこともあるという。以前はそのほとんどが新車・中古車ディーラーから仕入れていたが、徐々にオークションが占める割合が大きくなっており、今では2割程度にまでなっているという。

 

 

 オークションはELVの値段も高くなるが、物量を集めるためには致し方ない。このELV市場にも大手が続々参入してきている。星山商店はトラックパーツの組合にも入っており、トラックパーツの取り扱いを強化するめにも足しげくオークション会場には通っている。

 ELV処理で発生するパーツ、素材は長年のおつきあいのある会社に販売。それは鉄、非鉄でも変わらない。触媒なら有明通商、鉛バッテリーなら大塚商会(八女)、鉄スクラップなら宇土(熊本)の大阪製鉄、ステンレススクラップなら親和スチール、という具合。

 

 取材当日は雨天ではあったが、本社工場には続々と搬入のトラックが入ってきて、ヘビーくずはギロチンシャーで、下級くずや廃車ガラ(Aプレス)がシュレッダープラントで、そして廃棄物が選別プラントで処理をされていた。

 

(本社工場ヤード)

 

 ここまでの規模になると上場も視野にあるのではないか?と聞いてみたが、星山社長は上場には興味がない、という。M&Aもさほど関心はないご様子。

 ただ、業容の拡大は着々と進めており、熊本県内の荒尾に引き取り中継地点としての工場を出す予定で用地も決めている。

 

 以上のように快進撃を続ける星山商店。しかし300億円に迫ろうかという売上規模になってもこれまで同様に関係者全てに感謝する姿勢は変わらない。そのうえで変革も行う星山商店が九州地区のリサイクル業界にどのような影響を与えていくのか引き続き注目していきたい。

 

(星山一憲社長(右から2番目)、とご長男で非鉄担当の博紀氏(右端)左3名は取材陣の一行)

 

 

(IRUNIVERSE YUJI TANAMACHI)

 

 

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