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Teck Corp.& Korean Zinc亜鉛鉱石ネゴT/C長契で昨年比40%ダウン 2021年以来の安値

 韓国最大の40万トンの電気亜鉛を製造する韓国亜鉛(Korean Zinc Corp.(KZC)とカナダのTeck社と進められていた亜鉛精鉱のTC交渉が韓国亜鉛に1トン当たり165ドルと、3年ぶりの最低額を支払うことに合意した。昨年のトン当たり274ドルから​​40%下落し、2021年以来最低となった。処理料金(TC)として知られる、原料を亜鉛金属に変換するために支払われる料金は、製錬所の利益となる。亜鉛鉱石の供給が減少していることを意味している。

 

 Treatment Charge(T/C)は亜鉛鉱石から電気亜鉛までの製造コストを意味し、銅製錬の場合は、T/Cは粗銅までの生産コストで電解精製費としてRefining Charge(R/C)の収入も認められている。中国の非鉄製錬が拡大して以降、鉱山会社の鉱石生産が拡大してきた結果、鉱山を保有しない非鉄製錬会社と鉱山会社の立場は平等であった時代もあったが、鉱山会社の鉱石売り手市場となってきた結果、非鉄製錬会社のT/CやR/Cは大きな低下の流れとなってきた。

 

 ちなみに、KZCの「先輩」にあたるYoung Poong(永豊)のSeokpo(石浦)製錬所では、2014年~2016年に重金属を川に放流し川魚が大量に死んだことから2018年3月に行政処分も受けており、現在は工業廃水の河への放流ができないため全て蒸発させている、という。このSDGsの時代に工業廃水を川に放流できない、というのもなかなかアナクロな理由ではあるが。。また、石浦は昨年12月のアルシンガス流出による死亡災害・低TCによる採算悪化により操業を50%落としている、とのことで先々の経営不安もささやかれている様子。

 

 最近のエネルギー価格の上昇は今後も継続する場合、1トン電気亜鉛を製造する電力は、筆者の古い時代の大規模ではない亜鉛精錬所の経験では、鉱石の焙焼から浄液工程までの電力は凡そ1,500KWh/tZn、電解電力は最大3,500KWh/tZnの合計5,000KWh/tZn程度が必要とされていた。当時はピークカット契約で、夜間電力は\6.60/KWh、昼間の14-16時の最高電力費は¥24.48/KWhと高額になる為、昼間は最低の電解条件で電力を抑えて、夜間電力に頼る生産体制で、電力費の削減が電解工場を担当していた課長の毎日の仕事の全てであった。

 

 現在亜鉛価格の低迷からBoliden社のアイルランドのTara亜鉛精錬所が一時閉鎖されている。電力費の高騰と価格低迷の傾向の中でのT/C低下の影響はいずれにしても国内の亜鉛精錬所にも相当の経済的な打撃が及ぶと予想される。その一方で、Glencore社の豪州のMcArther River鉱山が悪天候の為、操業を一時停止したとのニュースまで付きまとっている。

 

関連記事:亜鉛TC:2024年は予想ほど下がらず

 

 

(IRuniverse Katagiri)

 

 

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