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三井ハイテック(6966)24/1決算メモ ややポジティブ継続

24/1期12.2%増収19.8%営利減、4.1%経常減と円安増額着地、25/1期15.9%営利増予想

株価7633円(4/10) 時価総額3012億円  発行済株39467千株

PER(25/1DO予16.1X)PBR(2.89X) 配当(25/1DO予)96円、  配当利回り:1.3%

 

要約

・24/1期はモーターコア好調、電子部品不振で12.2%増収19.8%営利減も円安で増額着地

・25/1期電子部品減額で中計減額し21.0%増収15.9%営利増、142円想定で経常8%減予想

・モーターコアは電動化で更なる成長、リードフレームは微細化、パワー向けで成長期待

 

 

24/1期はモーターコア好調、電子部品不振で12.2%増収19.8%営利減も円安で増額着地

 

 精密金型に強みを持ち、自動車向けモーターコア、半導体リードフレームを2本柱に事業展開。 24/1期決算は売上高1958.81億円(期初計画比91.19億円減額、9/12減額予想比38.81億円増額、12.2%増)、営業利益181.19億円(同44.81億円減額、同21.19億円増額、19.8%減)、経常利益217.33億円(同6.67億円減額、同59.33億円増額、4.1%減)、税引利益155.45億円(同10.55億円減額、同38.45億円増額、11.6%減)に。モーターコア好調も電子部品不振で上期減額修正したものの、HEVの好調と円安効果が寄与し、減額修正予想比増額で着地した。

 

 部門別ではリードフレーム中心の電子部品が売上高566.75億円(同83.25億円未達、19.1%減)、営利57.45億円(同40.55億円未達、同4.45億円増額、53.0%減)。スマホやPCなど向け半導体中心に在庫調整が継続、大幅な収益悪化に。

 

 モーターコアを中心とした電機事業は売上高1338.82億円(同38.82億円増額、同8.82億円増額、33.6%増)、営利114.66億円(同1.46億円増額、同9.66億円増額、26.1%増)に。自動車メーカーの生産回復を受けて既存製品の需要回復と新規製品の量産開始により大幅増収。利益は設備投資304.55億円(同25.55億円減額、同10.55億円減額、98.7%増37.2%増)に伴い減価償却費が71.51億円(同15.49億円減額、同7.49億円減額、29.7%増)と膨らみ、初期コスト増なども有り利益が伸び悩んだ。ちなみに償却費控除前営業利益は186.17億円(27.5%増)となっている。

 

 金型・工作機械は売上高53.23億円(同46.77億円減額、同33.23億円増額、21.2%増)、営利13.08億円(同0.08億円増額、同2.08億円増額、1.4%増)となっているが、内部売上を含めると119.77億円(同10.23億円減額、同0.23億円減額、1.4%増)となっており、モーターコアの売上好調で社内使用金型需要が高まったことで外販金型が減少したものとみられる。

 

 全体を通じ営利の44.67億円減益の増減要因では、電子部品が82.86億円と圧迫の大半を占め、為替影響のプラス17.86億円を除くと69.38億円の利益減となっている。また営業外では為替差益が36.24億円(前期比34.68億円増)となっており経常利益では減益幅が縮小している。

 

25/1期電子部品減額で中計減額し21.0%増収15.9%営利増、142円想定で経常8%減予想

 

 25/1期予想は売上高2370億円(21.0%増)、営利210億円(15.9%増)、経常利益200億円(8.0%減)、税引利益140億円(9.9%減)予想とした。昨年3月14日に22年3月に公表した25/1期中計予想に対し、円安と電動車両の拡大を念頭に売上高2540億円(従来予想比240億円増額)、営利330億円(同30億円増額)、3年設備投資額1000億円(同320億円)と目標を増額した。しかし電子部品の不振が長引き、大幅な収益の減額修正を余儀なくされた。但し設備投資については55億円減額の945億円とするものの、概ね計画通り実施するとのことで、積極的な設備投資を継続するとした。

 

 事業別では電子部品690億円(21.7%増)、営利90億円(56.7%増)予想。ここにきて半導体生産が同月比2ケタ増となっており、数量増とともにリードフレームの本格回復が見込まれ、先端デバイス向けの高精細品なども伸びる見通しから23/1期水準まで回帰する見通しとしている。電動車両用モーターコアを中心とする電機部品は売上高1620億円(21.0%増)、営利115億円(0.3%増)を見込む。同社はカシメ方式のモーターコアビジネスをHEV/PHEV向け中心に展開、現状、自動車用モーターコアの世界シェアは70%、最大手ユーザーのトヨタ向けが電機部品の50%程度を占める。現在、トヨタのHEV販売が好調に推移、世界的にHEVの見直し機運もあり順調な拡大が期待される。加えて同社モーターコアはEV向けでは日欧米の高級車向けであり、新モデル向けの拡大も続いている模様で、EV伸び悩みの影響は軽微とみられる。またテスラ向けは黒田精工の金型でユーログループが中心となりモーターコアを納入しているが、この点でも非テスラ向けで着実に高い伸びが期待される。現在、欧州、米国でHEV/PHEV販売が好調であり、計画を上回る売上が見込まれる。なお利益面では高水準の設備投資を継続、25/1期は236億円(22.5%減)、減価償却費が104億円(45.4%増)見込まれており、減価償却控除前営利では219億円(17.7%増)想定も、営利はほぼ横ばい見通しに。金型・工作機械向けは売上高60億円(12.7%増)、営利15億円(14.7%増)予想。なお内部向けを含むでも135億円(12.7%増)前提に。現状、トヨタのHEV好調なため、内部向けでの増額が見込まれる。

 

 全体を通じ、半導体生産の回復、HEVの販売好調などに加え、為替想定が1$=142円であり、25/1期も為替差益が前期並みに発生するとみられ(前期は10円に円安で24.5億円の営業利益での差益、前期は期中平均141.9円)、会社予想を上回る収益が見込まれる。また経常利益についても営業外で差益が発生するとみられ、経常利益も2ケタ増益に転ずるとみられ、最高益更新が期待される。

 

モーターコアは電動化で更なる成長、リードフレームは微細化、パワー向けで成長期待

 

 今回、新たな中計計画のアナウンスがなかったが、25/1期以降について、EV/PHEVの拡大、加えてHEVの見直し機運から同社のモーターコアビジネスの拡大が続こう。またリードフレームでは半導体後工程の進化でQFN(Quad Flat Non-leaded package)リードフレームの拡大が続こう。同市場は約40億ドル市場といわれるが、同社、新光電気、HAESUNGの3社で5割弱のシェアを有するとみられる。技術的にQFNタイプのパッケージは、外部接続のリードがパッケージの内側にあり、面積が小さく半導体チップを固定するダイパッドを樹脂で封入するタイプの半導体パッケージに比べて放熱性が高い。QFNタイプのパッケージに使われるリードフレームはチップ性能の向上に関わる“小型・多ピン化”に対応する高精度な加工と銀めっきエリアの形成が必要で、29年には53億ドル程度に拡大するとの予想があるが、微細化技術を有する同社への需要が高まろう。また技術的にリードピッチは、0.18-0.2mmが中心も、高集積化とともに微細化で0.16-0.18mmに移行するもとみられ、多ピン化に伴いリードも1列から2-3列の多列化も使用が増しており、同社製品の高付加価値化も期待される。

 

 モーターコア事業で国内は八幡、三井スタンピングに加え、岐阜事業所が本格稼働、グローバルには中国、カナダ、さらにポーランド新工場が活動を開始し、自動車用モーターコアのグローバル供給体制が整っている。同社は従来のカシメ方式によるモーターコア積層に加え、カシメブロック、環状取りコア、そして樹脂接着積層など、新積層技術を開発している。まずカシメブロックは顧客のカシメ積層のモーターコア特性を向上させたいとの要求に対し対応したもの。積層鉄心の製造過程では上下方向で隣り合う電磁鋼板同士を締結する手段として、ダボカシメ及び溶接が広く利用され、同社はカシメ方式で圧倒的な強さを有している。この締結手段はコスト及び作業効率性の点で優れるが、高級EV用モーターでは低鉄損、高トルクの要求が強く、これを優先させる場合に接着剤を用いて電磁鋼板同士を締結する方式(黒田精工が先行)を採用することが多い。同社は今回、モーターコア外周面にモーター形状に干渉しないカシメブロックを生成、カシメブロックを付けた状態でモーターコア内ではカシメレスを実現、接着剤の厚みが無く鋼板占有率も高められ、鉄損の削減を可能とした。焼鈍についてはトヨタが焼鈍方式を採用しており、最大ユーザーの要求に叶う方式となっている模様。なお同社は黒田精工の特許を侵害しない新方式での樹脂積層方式の製品も開発、品揃えの強化も行っている。また自動車の電動化は電動ステアリングや電動エアコンなどにも拡大、このようなニーズに対しては分割コアの精度と生産性を高めた環状取りコア技術を生かす方針。昨今、モーターの小型高効率、高出力化も求められているが、モーターの鉄心を複数の部品に分割しコアの鉄心損失を低減し、巻線効率を向上させ銅損失を低減する事が可能となる。分割コアでは真円度が静寂性やモーター寿命、トルク変動などに影響するため、分割コアの組立精度が要求されるが、同社は一体コア打抜きを実現し、内径真円度を向上、がたつきの大幅低減に成功した。最近の採用事例では、電動ステアリングなどでコキングによるハンドル操作でがたつかないなどで、採用が増加している。同環状取りコアは主機モーターとは異なり、金型販売として伸ばす方針で、金型販売の拡大策として期待が持てる。同社はトヨタ向けのHEV用カシメ方式で売上を大きく伸ばしてきたが、トヨタ以外でも着実にユーザーを広げ、EVでも新技術で対応、今後もモーターコア事業の高成長が続こう。

 

 株価は半導体生産の不調、加えて自動車生産が半導体不足で停滞する事態から、日経平均に対しネガティブな動きで終始し、この2年間で高値から半値となった後、2024年に入りHEVの見直しもあり3/12には一時10000円の大台乗せと反発した。しかし同日発表の25/1期中計の減額見直しからその後は25%程度急降下した状況にある。現在、25/1期会社予想EPS383円に対しPER19.9倍はプライム電機平均PER23倍に対し若干割安となっており、モーターコア金型の黒田精工のPER21.8倍と比較しても多少割安感がある。同社にとって今後のトヨタのハイブリッド車の改めての拡大期待、さらにトヨタでの世界的なEV対応への対応の高まりが期待される。また半導体においては漸く生産拡大が本格化、さらに車載半導体ではリードフレームパッケージの伸びが期待されるなど、同社収益に増額要素が増えている。足元、EVについて見直し機運もあり、EVに対する注目度が薄れる懸念もあるが、EV関連の主力企業として中計減額見直しで悪材料を織り込んだと判断、ややポジティブ継続としたい。

 

*三井ハイテックと日経平均とトヨタ(7203)、黒田精工(7726)、テスラとの相対比較

 

 

 

(H.Mirai)

 

 

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