CMEとLME、英米の新たな制裁措置を受けてロシア産金属を禁止
2024年4月12日金曜日、米英政府はロシアのウクライナに対する軍事侵攻の財源になっているとして、ロシア産銅、アルミ、ニッケルの輸入を禁止する命令を発出した。United States and United Kingdom Take Action to Reduce Russian Revenue from Metals | U.S. Department of the Treasury。これまで、当該金属は製品レベルは制裁対象となってきたが、地金については国内産業への影響も考慮してか対象外とされてきた。ロイター報道によると、これを受けてLMEは取引時間外である13日土曜日に、4月13日以降生産されたロシア産のこれら3種の取引を全面的停止する措置を発表。これによりアルミのRusalやニッケルのNornickelといったロシアの代表的金属企業はLMEでの取引活動から完全に排除される。4月13日以前に生産されたという証拠を取引所に提出することができれば、その部分は受け入れられるという。また英国LME会員や顧客は、4月13日以前に生産された分についてもワラント発行日付が13日以降である場合は、英国以外の顧客との取引である場合を除いて、それをキャンセルしたり引き出したりすることが禁じられる。つまりLME倉庫から出荷することが出来なくなる。
この措置が13日土曜日に取られたため、明け15日月曜日以降の相場がどう動くか大いに気になるとこだが、この点に関しては二手に分かれており、あまり影響がないという見方と、2018年4月のRusalへの制裁でアルミ相場が暴騰したような事態が再演されるという見方が交錯しているようだ。いずれにしてもEUがこの制裁に加わってくるようであると、相場混乱のきっかけになるという見方では一致しているという。EUは昨年50万トンのアルミを輸入している大口顧客だからだ。まずはアジア時間帯での動きを見たいところだ。
とはいえ、匿名条件で英国政府関係者が明かしたところによると、この制裁措置はLMEを経由しない二社間の取引にはおよばないため、そうしたチャンネルが抜け穴になることもまた間違いないだろうという。
LME倉庫在庫中に占めるロシア産金属の割合は、3月時点でアルミで、91%に達し、銅では2月の52%から62%に上昇ニッケルは全体の36%に達しており、こうした高比率は自主的にロシア産金属の取引を避けてきた消費家や競合メーカーの大きな懸念材料となってきた。
(IRuniverse/MIRU S. Aoyama)
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