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コバルト市場近況2024#4 落ち着き目立つ、LME価格は英米の対ロ制裁が影響

 2024年4月のコバルト市場は全般に落ち着いた展開。ベンチマークとなるLGコバルトがじり安となる一方、ハイグレードなHGコバルトは堅調が続き、両者のチャートが形成する「ワニの口」は拡大の方向が続いた。4月12日の英米のロシア産金属への制裁を受けてロンドン金属取引所(LME)のコバルト価格は大きく動いた。

 

 ■価格落ち着きも方向感に明暗

 

 過去6か月間のLGコバルト (Co99.3%)($/LB)とHGコバルト (Co99.8%)($/LB) 価格の推移

 

 足元のLGとHG価格はともに落ち着いた値動きだったものの、やはり明暗の差が開く方向だった。LGコバルトの仲値は4月17日に$13.55/LBを付けた。一時は$13.7に小幅に上昇したものの勢いは続かず、節目の$14を下回る水準での推移が続く。一方のHGコバルト仲値は上昇基調を継続。4月11日には$17/LBに乗せ、2023年12月以来ほぼ4か月ぶりの高値に上げた。

 HGの堅調は、軍用機を含めた航空機向けスーパーアロイなどの好調が影響しているとの見方が多い。ロシアのウクライナ侵攻やガザ地区での紛争などが長引き、イランとイスラエルの関係も緊張が高まる。コバルトだけでなくチタンなども合金向け価格が好調で、その流れがコバルトにも波及している模様だ。

 

■LMEコバルト、15日に2.5%の下げ

 

過去3か月間のLMEコバルト価格の推移($/ton)

 

 国際価格であるLMEコバルト価格は激しい動き。4月15日に$27.715/tonと前営業日から2.5%下落した。2020年3月以来4年超ぶりの安値水準となる。

 

 4月12日に英米がロシア産金属への追加制裁を発表し、LMEでの取引も禁止となった。市場では発表直後にコバルトを含む金属全般に品薄観測からの買いが入ったが、ほどなく利益確定目的の売りが出て、コバルトにもその流れが波及した。LMEコバルトは2月初旬の$28.100からじりじりと値を上げ、前日には$28.430まで戻していた。

 

関連記事:CMEとLME、英米の新たな制裁措置を受けてロシア産金属を禁止 | MIRU (iru-miru.com)

 

過去3か月間の硫酸コバルト価格の推移(20.5%min China)(RMB/Mt)

 

 一方、電池向けの硫酸コバルトは上値の重い展開。3月14日に付けた仲値RMB3万2500/mtから、3月28日にはRMB3万2000に落ちてしまった。1月下旬からの水準であるRMB3万1000よりは高値を維持しているものの、勢いは鈍い。

 

■供給過剰解消は27-28年か

 コバルト価格の低迷は構造的な供給過剰にあり、市場関係者の間では諦めムードも強まっている。当初は2025年との見方もあった需給バランスの均衡についても、「早くても2027年後半になるのではないか」(コバルトを扱う国際商社の日本支社幹部)と後ろ倒しを予想する声が聞かれる。

 この幹部は「国際資源企業の間では、米国やオーストラリアなどコストの高い地域で鉱山を閉鎖する動きも相次いでおり、積極的に採掘を行うムードではない。みな様子見を決め込んでいるのではないか」とも話していた。

 

 

(IR Universe Kure)

 

 

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