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SUSscrap MarketWatch 2024#8 Ni相場高でNi系ジリ高上げ含み Cr系についての考察

 国内ステンレススクラップ市況はNi系が指標LMEニッケル相場の上昇と為替の円安でじり高基調。Cr系はステンレス特殊鋼メーカーにおけるリサイクルレシオの意識的な上昇もあってか高値横ばいが続いている。市中実勢ベースでは304系が200~205円、メーカー、輸出シッパー買値で210~215円。316系は360~400円。Mo高もあり、下値は切り上げられている。いずれも相変わらずの発生の少なさ。Cr系も430オンリーなら特殊鋼メーカー買値ベースで80~84円、ミックスCrの輸出向けで75~80円。Cr系と一口にいっても幅広い。微量のNi、Nb、Mo入りがあり、特に自動車のマフラーに使われるNb入りCrは最近とみに増えている。

 

LMEニッケル相場はロンドン現地17日に久しぶりにトン2万ドルにタッチ。とともにニッケル銑鉄(NPI)も上昇。ニッケル純分1%当たり990~1000元で推移中。

このNPI高もあり、また低炭素化へのチャレンジでスクラップ投入量を増やす海外メーカーも増えている。その筆頭が台湾であろうか、アジア地区でも最も304スクラップの買値が高いのは台湾向け。4月でCIFトン1400~1450ドルだったが、5月は1500~1550ドルとなっている。単純に153円の為替で計算すると今は着値ベースでキロ230円を超えることになる。この台湾向け価格が、おそらくはアジアで最高値か?

従って台湾向け輸出シッパー(ELGなど)の買いも先行して強い。

こうしたLMEニッケル高、為替の円安維持もあり、市中実勢もじり高。(メーカーの)買値として220円のPRICEを求める声が次第に強くなっている。

しかしそこで落ち着くのだろうか?

 

 

(LMEニッケル相場(青色 $/ton)とNPI相場(赤色 RMB/Nicontent%)

 

(国内304スクラップ市中実勢(青色\/kg)と為替円ドルTTS相場(赤色)の推移)

 

(中国国内の304スクラップ相場(青色RMB/ton)と為替円ドル相場(赤色)の推移)

 

 

 国内相場も先行していた名古屋勢に追随する格好で日鉄ステンレス、JSP、日本冶金も追随。これまで304系では210円が最高値ではあったが、その水準が215円、さらに、という押し上げムードになっているのは、ニッケル相場の力強さ。その要因は何なのかというと、米ドル安移行、英米によるロシア産ニッケルの締め出し、非鉄全体、特に銅に流れる投機マネーによる押し上げ、連れ高、次にニューカレドニアでの政治的混乱、インドネシアからの供給不安?中国のニッケル備蓄、の噂であろう。以前のEVバッテリー向け需要増の期待はやや影が薄くなっている印象。

 

足元は昨年9月以来の2万ドル達成となったが、今後の値動きとしてはもう一段の上げ、とみる。そうすると昨年6月にみられた23,000~24,000あるいは25,000ドル辺りがピークポイントになるかと思われる。

ロシア、中国に加えてニューカレドニアの混乱と世界はリスクに満ちている。またニッケルを軍事的需要の側面からみれば中国が備蓄するのも無理なからぬ話。ロシアも英米がロシアニッケルを締め出しても、LMEが指定品目から除外しようと中国が買ってくれる。その中国がさらにニッケル備蓄を探っているのならば軍事用としての備蓄原料としての意味合いが強いのかもしれない。

 

 

Cr系(400系)については、常にNi系に比してのリサイクル率の低さが課題になっており、当のステンレスメーカーもなんとかクロムのリサイクル率を引き上げようとしている。

大同、愛知、山陽特殊の特殊鋼メーカー御三家が牽引しているが、最近は日鉄(八幡)の買いも目立って増えてきている。

 

しかし、関西地区のスクラップディーラーによると

「いい値段をつけるのはバリバリの430系の新断なんだけど、それは少ない。ニオブ入り、ニッケル入り、モリブデン入り、と微量成分が添加されているものが多く、スクラップヤードに入ってきてもなかなか仕分けが難しい。まとめてCr系!で買ってくれる輸出向けはありがたいが、我々専業ディーラーとしては、できるかぎり仕分けを細かくして、例えばモリブデン成分が1%以上あるものは、そのモリブデンを評価してもらうようにメーカーに働きかけている」という。

 

また他の業界筋によると

「Cr系はやはり自動車向けが多いが、そこで各メーカーによって、車種によってもクロム系にいろんな鼻薬(微量成分)を入れている。その仕分けはきわめて困難。かつ、そうした仕分けの難しい製品を製造しているメーカー側がそうした微量成分入りのCr系スクラップは敬遠する傾向が強い」ということでCr系製品はその用途上、機能を出すために、あるいはメーカーの差別化戦略で複雑な製品仕様となっている。従って、むしろ純粋な430系スクラップは過去からすると減少しているようだ。

 

 

(IRUNIVERSE/MIRU YT)

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