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日本トムソン(6480)24/3期WEB決算説明会メモ ややポジティブ継続

24/3期半導体不振等で19.4%減収66.6%営利減、25/3期5.4%増収35.9%営利増予想

株価円(5/20)603円  時価総額443億円 発行済株73501千株

PER(25/3DO予12.2X)PBR(0.54X)配当25/3予19円  配当利回り:3.15%

 

・24/3期19.4%減収66.6%営利減、受注27.9%減と半導体、工作機械等の減退で収益低迷

・25/3期5.4%増収35.9%営利増予想と下期からの半導体本格回復で収益回復予想

・中計2026策定し25/3期~27/3期平均で営利90億円、期間中に最高営利更新を見込む

 

 

24/3期19.4%減収66.6%営利減、受注27.9%減と半導体、工作機械等の減退で収益低迷

 

 直線運動用軸受大手で半導体製造装置、電子部品実装装置向け等の小型精密品中心に強味を持つ。5/13に決算が開示され、5/16にWEB説明会が実施された。

 

 24/3期は売上高550.48億円(期初計画比69.52億円未達、11/13減額修正予想比4.52億円未達、19.4%減)、営業利益31.64億円(同33.36億円未達、同3.36億円未達、66.6%減)、経常利益45.25億円(同21.75億円未達、同1.75億円未達、56.8%減)、受注高449.08億円(27.9%減)と、工作機械、半導体製造装置、電子部品実装装置、中国輸出などの低迷で大幅収益減に。

 

 製品別売上では軸受等が484.69億円(同54.31億円未達、21.2%減)。主力の直動軸受等が278.18億円(28.2%減)と大きく減少、ニードル軸受等は206.51億円(9.3%減)に。直動軸受は主力の半導体製造装置、工作機械、チップマウンタ向けが何れも計画を下回り減少した。ニードル軸受もロボット向け等が一服しクロスローラ軸受などが伸び悩んだ。機械部品は売上高65.79億円(同15.21億円未達、2.1%減)と精密機械向けは堅調も市販やエレクトロニクス向けが不振だった。

 

 地域別では欧州を除き減収。日本は267.31億円(期初計画比33.69億円未達、11/1同4.69億円未達、16.9%減)と半導体製造装置、電子部品実装機、電機機械などエレクトロニクス向け、市販の減退が影響した。米州は83.14億円(同1.14億円増額、同1.14億円増額、7.6%減)と精密機械、医療機械向け等も需要減退が影響も円安が寄与し減収幅が縮小。中国向けは71.73億円(同38.27億円未達、同1.27億円未達、39.9%減)と不動産不況、内外需要の減退から大きく減額に。一方欧州向けは68.47億円(同5.37億円増額、同1.47億円増額、2.6%増に。工作機械向けが低調も一般機械向け、あとは為替円安が寄与した。

 

 

 業界別ではエレクトロニクス向けが84.46億円(29.6%減)と半導体製造装置向け等を威含め全般に不振、直販・海外代理店分も264.40億円(25.6%減)内外の設備投資需要減で大幅減に。工作機向けも28.90億円(16.3%減)と工作機械工業会受注減14.2%減が影響している。一方、輸送機器向けは24.08億円(7.4%増)と自動車製造設備、鉄道車両向けが堅調な伸びに。

 

 

 

 営業利益の増減要因ではプラス面で為替影響が全通貨で円安に推移し6.61億円の寄与(売上で13.97億円増、減価アップで4.18億円圧迫、円換算3.22億円圧迫)に。一方売上減で52.38億円、稼働率悪化による売上原価高22.20億円などが圧迫した。なおこの中には棚卸評価について従来の保有月数基準評価法から新基幹システム導入による経過年数基準という新評価法に変更したことによる売上原価高7.86億円が含まれており、従来基準では営利39.50億円(58.2%減)となる。また営業外での為替益は8.57億円(3.89億円増)があり経常利益の減額が営利の減額を下回っている。


 四半期推移では24/3Q4に同期比19.9%減収、93.5%営利減、24/3Q3比でも5.9%減収、87.1%減と収益性が大きく落ち込んでいる。これは24/3Q4で同期では売上減少に伴う原価高に加え、在庫評価方法の違いで2.22億円減、また前期比では在庫の積み上がりに対し生産を絞ったことで24/3Q3対比でQ4の生産が売上以上に減少、更に一部在庫廃棄損などが発生したため。このため一過性の利益源を除くと収益性がQ4で大きく落ち込んだ訳ではないとのこと。但し24/3期末でも製品在庫などはまだ余剰感が残っている。

 

25/3期5.4%増収35.9%営利増予想と下期からの半導体本格回復で収益回復予想

 

 25/3期会社予想は売上高580億円(5.4%増)、営利43億円(35.9%増)、経常利益49億円(8.3%増)、税引利益31億円(15.9%増)予想。上期はエレクトロニクス向けの回復が遅れ売上高270億円(同期比5.2%減、24/3H2比1.6%増)、営利15億円(同26.5%減、同33.5%増)、下期は半導体、実装機、中国向けなどが回復し25/3H2は売上高310億円(同16.7%増、同14.8%増)、営利28億円(同2.5倍、同86.7%増)を見込む。

 

 製品別では軸受等が512億円(5.6%増)予想、内訳は直動302億円(8.6%増)、ニードル軸受等210億円(1.7%増)予想。機械部品は68億円(3.4%増)予想とした。地域別予想では日本が282億円(5.5%増)、中国が62億円(5.1%増)と緩やかな回復。米州90億円(8.3%増)、欧州74億円(8.1%増)、その他62億円(3.5%増)予想。

 

 利益面では営業利益増益11.36億円に対し、増収効果で9.67億円、操業度効果、一時費用の減少などで売上原価改善6.33億円、販管費は人件費増、営業活動費増などで4.65億円の負担増を見込む。

 

 現状、4月、5月の受注が堅調な他、中国向けを厳しく想定、下期の半導体向け拡大などで増額が見込まれ、25/3期売上増額が期待される。利益も24/3Q4での一過性のコスト増が一巡、増収効果、為替も1$=145円前提で利益寄与が見込まれ、収益の増額が期待される。

 

中計2026策定し25/3期~27/3期平均で営利90億円、期間中に最高営利更新を見込む

 

 同社は一昨年、半導体関連の需要拡大から、2021年5月に作成した“中計2023”について、3カ年平均営業利益45億円目標に対し平均70億円以上に上方修正した。しかしその後の半導体産業の停滞、工作機械、ロボットなども需要減退となり、結果は22/3期~24/3期平均61億円に止まり、計画未達に終った。今回、新たに中計2026を策定、3カ年平均営業利益90億円目標、期間中に23/3期営利94.59億円超え達成を掲げた、またROEも8.0%目標とした。

 

 現状、半導体生産の回復が想定よりも半期程度遅れ、また中国経済の不透明感が依然としてあるが、26/3期には半導体産業がAI中心に大きく拡大が見込まれる。同社は現在、需要拡大を睨み3月にはベトナム新工場用の土地を取得、またメカトロユニットの拡大策も打ち出し、中計達成に向けた施策を実行、今後、エレクトロニクス分野や産業用ロボット、医療機器部門の拡大などが見込まれる。但し収益性については新興メーカーの台頭等も有り収益性が過去まで回復する状況にはないと判断、27/3期には営利最高益更新は可能も、3年合計での営利270億円超達成には更なる企業努力が必要とみられる。

 

 株価は業績低迷を受けて下落、25/3期も上期まで減益予想となり類似企業のTHKと同様、冴えない状況が続いている。現在25/3期会社予想EPS44.91円に対しPER13.6倍はプライム機械平均PER21.0倍に対し割安、THK18.9倍に対しても割安感がある。PBRが0.55倍、同社安値平均PER37.5倍に対しても割安感が出ており、会社側ではPBR=1を意識した株主還元策の実行も継続意向で、上期業績不振ながらややポジティブ継続としたい。

 

 

 

(H.Mirai)

 

 

 

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