三菱重工と日本ガイシ バイオエタノールとe-メタノールの膜分離脱水システムを共同開発
クリーン燃料としての利用拡大に向け、既存の脱水プロセスを低コスト・高効率化
◆ ガソリン代替およびSAF原料として注目されているバイオエタノール、船舶を中心に次世代燃料として注目されているe-メタノールの脱水工程に、膜分離方式を用いたシステムの導入を目指す
◆ 次世代クリーン燃料の製造プロセスを膜分離脱水により低コスト・高効率化し、安定供給体制の構築につなげる
三菱重工業株式会社(社長:泉澤 清次、本社:東京都千代田区)と日本ガイシ株式会社(社長:小林 茂、本社:名古屋市瑞穂区)は、5月22日、クリーン燃料・原料の利用拡大を見据え、バイオエタノールおよびe-メタノールの製造プロセスを低コスト・高効率化する膜分離脱水システムの共同開発を行うと発表した。
今回の共同開発では、2種類の膜分離脱水システムについて開発をスタートする。1つ目は、ガソリン代替としてのクリーン燃料および次世代航空機燃料であるSAF(Sustainable Aviation Fuel)の原料としても注目されているバイオエタノールの製造工程において、最もエネルギーを消費する脱水工程を、従来方式から膜分離方式(注)に置き換え、大幅なエネルギー削減を図る。2つ目は、同じく次世代クリーン燃料として注目されている、水素とCO2を原料とするe-メタノールの製造における脱水工程を膜分離方式に置き換え、消費エネルギーの大幅な低減を図る。
三菱重工は、メタノール製造プラントをはじめとした、国内外における多数の化学プラント納入実績や、これまで培ってきたメタノールおよび各種化学品のハンドリング技術に関する深い知見を生かす。また、日本ガイシは、化学プロセスや浄水分野で培った固液分離膜技術と独自の成膜技術に基づき、分離精度と耐久性に優れた世界最大級のセラミック膜に関する深い知見を生かす。バイオエタノール、e-メタノールともに、クリーンな燃料・原料として将来的な需要拡大が見込まれることから、同システムの早期実用化と安定供給体制の構築を目指して共同で開発を推進していく。
バイオエタノールは、トウモロコシやサトウキビを主な原料とする植物由来のクリーンな燃料として、米国・ブラジルを中心に自動車燃料として広く利用されているほか、SAFの主要原料の1つとしても期待されており、今後の需要伸長が見込まれてる。また、e-メタノールは、主に船舶を中心に次世代クリーン燃料として注目されており、世界的な市場拡大が期待される。
三菱重工グループは、2040年のカーボンニュートラル達成に向け、エネルギー供給側で脱炭素化を目指す「エナジートランジション」に戦略的に取り組んでいる。水素を必要としない植物由来のバイオエタノール、水素とCO2から作られるe-メタノール、これら2つのクリーン燃料の高効率な製造プロセスの開発と、その事業化を推進することで、脱炭素技術の早期確立・社会実装を図るとともに、持続可能なカーボンニュートラル社会の実現へ貢献していく。
日本ガイシ・NGKグループは、カーボンニュートラル実現に寄与するため、4つの戦略からなる「カーボンニュートラル戦略ロードマップ」を策定し、水素・CCU/CCS(CO2の回収・利用・貯蔵)関連技術や製品の開発・提供を推進している。独自のセラミック技術をコアに従来は困難とされるものを実現するとともに、そのキーデバイスが社会に実装されるところまで手掛けていくことにより、持続可能な社会の実現に貢献していく。
(注)分子の大きさの違いを利用して、膜を用いて物質を分離する方式
(IR universe rr)
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