DNP パルプ回収率85%以上!モノマテリアル紙製ハイバリアパッケージを開発
大日本印刷株式会社(DNP)は、食品・化粧品・医療品等の包装材として、紙の単一素材(モノマテリアル)にすることによって“リサイクルしやすさ”を高めながら、酸素や水蒸気等の透過を防ぐ“高いバリア性”を持つ環境配慮型のパッケージ用紙シートを2022年に開発し*1、サンプルを提供している。今回、材料や加工方法をさらに改良することで、パルプ回収率85%以上*2を有する紙製ハイバリアモノマテリアルパッケージを完成させた。
紙製ハイバリアモノマテリアルシートを使ったパッケージ
【紙製ハイバリアモノマテリアルシートの開発背景と概要】
気候変動や地球温暖化、プラスチックによる海洋汚染等の環境課題の解決に向け、国内外の大手メーカーや小売流通業は商品を開発・提供する際、石油由来から植物由来の材料への切り替えや、堆肥化可能な生分解性の材料の使用などによるパッケージによる環境負荷の低減に努めている。欧米では近年、紙製パッケージのリサイクル性の1つの指標としてパルプ回収率を80%以上とするなど、資源としての再生効果の向上を進めている。
こうした中でDNPは、「DNP環境配慮パッケージング GREEN PACKAGING®」*3の製品ラインアップの拡充に努めている。今回、2022年に開発した紙製モノマテリアルシートをさらに改良し、ハイバリア機能を維持したままでリサイクル性を高めた製品の提供を開始。パルプ回収率を85%以上まで高めることで、循環型社会の実現に貢献すると共に、自然再生可能資源である紙の使用量を増やすことで、枯渇資源である石油由来の材料の利用を減らし、サプライチェーン全体でのCO2の排出量削減にもつなげていく。またハイバリア機能によるフードロス、在庫の破棄削減につなげる。
【紙製ハイバリアモノマテリアルシートの特長・メリット】
1.リサイクル性評価でパルプ回収率を85%以上まで高め、紙パッケージ資源のリサイクルに貢献
モノマテリアル基材として、一般的なクラフト紙、カードボードを使用。今回、リサイクル性評価でのパルプ回収率を使用する材料や加工方法の改良によって85%以上まで高めることで、紙によるパッケージの一層の資源循環リサイクルに貢献する。
2.高いバリア性を持つ紙製包材
紙はパルプ繊維が細かく絡み合う多孔質構造であり、酸素や水蒸気等を透過させないことが難しく、包装材に使用した場合、これまでは内容物を長期間保護することが困難だった。この課題に対してDNPは、独自のコンバーティング(材料加工)技術を活かして、紙では難しいとされてきたハイバリア域である酸素透過度(OTR)0.5cc/m2・day・atm*4以下、水蒸気透過度(WVTR)0.5g/m2・day*5以下を実現している。
3.薄紙から厚紙までハイバリア性能とパルプ回収率を実現
薄紙(クラフト紙)だけでなく厚い板紙(カードボード)など、さまざまな用紙に対応し、ハイバリア性能と高いパルプ回収率を実現するとともに、折り曲げ加工後のバリア性の劣化を最小限に抑えることで、パッケージとして必要な機能を実現している。
4.透明ハイバリア膜により、リサイクル時の金属微片の混入を防止
薄い透明材料で構成するハイバリア膜に、プラスチックのポリ塩化ビニリデン(PVDC)を不使用。また、アルミ蒸着膜、アルミフィルム等も使っていないため、リサイクル時の微小な金属(アルミ)の混入がなく、再生したパルプの質の劣化(ダウングレード)を防ぐ。
*1 紙製ハイバリアモノマテリアルシート → https://www.dnp.co.jp/news/detail/20167605_1587.html
*2 紙の斤量によりパルプ回収率が変わる
*3 GREEN PACKAGINGについて → https://www.dnp.co.jp/biz/products/detail/20172609_4986.html
*4 酸素透過度:フィルムの物性値で、1気圧(atm)で1m2のフィルムに1日で通過する酸素の量。
*5 水蒸気透過度:フィルムの物性値で、1m2のフィルムに1日で通過する水蒸気の量。
(IR universe rr)
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