日本アビオニクス(6946)24/3期株主総会有報開示メモややネガティブ→ややポジティブ
24/3期1.7%増収11.8%経常増益で2期連続経常最高益、25/3期防衛関連伸び収益上伸
株価(6/26)8950円 時価総額300億円 発行済株3352千株(10/1 1:5分割)
PER(25/3DO予13.9X)PBR(2.09X) 配当(25/3予)6円 配当利回り:0.3%
要約
・24/3期1.7%増収11.8%経常増益で2期連続経常最高益更新、受注も22.7&%増と好調
・25/3期21.8%増収、19.4%営利増、18.4%経常増予想で防衛関連続伸、接合機器も回復へ
・新中計予想27/3期に売上高300億円、営利40億円目標、前中計を達成し増額計画
24/3期1.7%増収11.8%経常増益で2期連続経常最高益更新、受注も22.7&%増と好調
防衛用表示機器などの情報関連システムと赤外線サーモモジュールや精密接合機器の電子機器を2本柱に事業展開。24/3期は売上高180.55億円(計画比比19.45億円未達、1.7%増)も、営利21.78億円(同1.28億円増額、11.6%増)、経常利益21.52億円(同1.52億円増額、11.8%増)、税引利益21.49億円(同2.49億円増額、20.8増)となった。経常利益は2期連続最高額を更新、営業利益率、経常利益率なども過去最高水準を更新した。
セグメント別では情報システムが売上高146.65億円(同6.65億円増額、18.7%増)、受注181.82億円(32.4%増)、営利26.40億円(2.6倍)。同社は防衛庁向けの各種装備品を供給しており、防衛予算の伸びと積極的な提案活動が寄与、大幅な増額で着地した。なお売上ではNEC向け52.21億円(21.6%増)、富士通向け42.48億円(5.6%増)、住商エアロシステム向け26.29億円(2.3倍)とNEC系列から独立した効果から、富士通向けの寄与も順調に拡大している。利益は人員再配置、QDC改善などプロセス改善の成果が現れ、営業利益率が4.8ポイント向上し18.0%と過去最高の営業利益率となり大幅営利増に。
電子機器は売上高33.89億円(計画比26.11億円減額、37.2%減)、受注37.14億円(9.6%減)、営業損失4.61億円(前期比7.84億円悪化し赤字転落)と大幅な未達成に終った。主力の接合機器が売上高23.07億円(44.3%減)と、アジア向け輸出が11.36億円(57.4%減)、主力の中国、さらに台湾向け(台湾メーカーの中国現地生産用含む)がスマホなど向けの水晶振動子向けなどの不振、サプライチェーン混乱も有り大幅減に。赤外線サーモグラフィーはコロナ特需が剥落し電力変電設備向けなどへネットワーク対応サーモカメラを納入するなど非発熱向け等投入も、売上高10.82億円(13.9%減)と2ケタ減収に。利益面では減収影響が大きく固定費が補えず大幅赤字に。但し受注については9.6%減ながら24/3Q1をボトムに着実に増加しており、24/3期としてBBレシオは1.1を確保した。
全体として期初想定に対し、防衛関連の拡大が加速、一方で半導体、電子部品の設備投資の先送り、中国のサプライチェーンの混乱などで電子機器が大幅減額、結果としては会社情報関連システムの利益増で利益上振れ、経常利益で2期連続最高益更新となった。また税引利益は法人税等調整額で3億円発生があり伸び率が高くなっている。
25/3期21.8%増収、19.4%営利増、18.4%経常増予想で防衛関連続伸、接合機器も回復へ
25/3期会社予想は売上高220億円(21.8%増)、営利26億円(18.4%増)、経常利益25.5億円(18.4%増)、税引利益19億円(11.6%減)予想とした。これは中計で発表していた25/3期収益予想を踏襲した形で、3期連続経常最高益、営業利’00/3期の26億円と並ぶ予想となる。なお税引利益は法人税等調整を見込まず減益予想。
部門別では情報システムが175億円(当初中計予想比49億円増額、修正中計予想比25億円増額、19.3%増)、電子機器45億円(同49億円減額、同25億円減額、32.8%増)予想となっている。基本的に中計策定当時と状況が変化したためで、防衛予算の拡大、一方で電子機器がスマホの低迷、EVの伸び悩み、半導体関連の回復遅れなどが影響、全体の中計予想を据え置き、事業別では大きく変化させた予想となっている。
なお、現状、水晶振動子などの生産が同月比プラスに転じてきており、半導体生産も回復テンポが見えており、電子機器は円安もプラスに働く見通しから情報システムは会社想定通り、電子機器については若干増額の期待がある。ちなみに株主総会資料の部門別収益予想のグラフを見る限り、営業利益については上振れた見通しのグラフとなっており、会社計画の上方修正が期待される。
新中計予想27/3期に売上高300億円、営利40億円目標、前中計を達成し増額計画
同社は新中期経営目標として27/3期に売上高300億円、営利40億円を掲げた。売上の中身は開示していないが、基盤事業の情報システムが防衛整備計画の拡大を背景に順調な拡大、電子機器は26/3期以降に再度大幅拡大する計画の模様。また300億円達成のためにM&Aも視野に入れている。
情報システムについては防衛予算が拡大、スタンド・オフ防衛・統合防空ミサイル防衛・無人アセット防衛など、将来の防衛装備品の開発・装備化に重点配分されており、研究開発予算が急増している。このような状況を踏まえ、同社は防衛庁が掲げる防衛力強化に従い、主要7事業についてターゲットを設け、受注獲得に注力する。
電子機器部門では、接合機器がスマートフォンなど底這いから在庫調整が進みつつあり、2024年モデルではAI機能搭載スマホなども登場、生産が上向きつつある。水晶振動子は気密封止と小型化ニーズが高まっており、高シェアの水晶デバイス真空/窒素封止向けシーム溶接機の需要増が見込まれる。またシーム溶接機は水晶以外にレーザダイオード(光デバイス)封止や全固体2次電池封止、発熱対策としてのべーバーチャンバ―の封止にも対応が広がることが期待される。同社は接合装置で4つの接合機を持つ、世界でも類を見ない接合機メーカーという強味がある。高シェアを誇るシーム溶接機の他では、EV向けのバッテリー向け合金タブ溶接、モーター用コイル線接合(フュージング)、EVハーネス向け銅・アルミ溶接などでは精密抵抗溶接機の需要増加が見込まれる。さらに次世代パワー半導体向けでははんだ付け行程でボイド発生が問題となるが、同社はフラックスレス(はんだの流動性を高めるために一時的に利用される材料を使わない)はんだ付け装置も開発中で、半導体後工程での需要拡大にも期待がかかる。
サーモグラフィーについては非発熱向けで、ネットワーク監視のサーモカメラの拡大、ドローン搭載の遠隔監視、加えて医用サーモカメラの発売も行い、緩やかな回復が見込まれる。
全体として情報システム、電子機器事業のそれぞれで新規分野の拡大が期待され、新中期経営計画について十分達成する可能性がある。
株価はPERの低さ、防衛関連予算の大幅増などを囃し急騰を続け、3/8には1996年時の高値12000円を抜くまで上昇した。その後は鎮静化し5/27には一時8000円割れまで急落、その後は8000円後半で推移している。10/1の1対5の株式分割を勘案した25/3期会社予想EPS113.81円に対しPER15.8倍となっている。東証スタンダード電機平均PER14.3倍に対し若干割高となっている。しかし今後、防衛関連での予算上乗せの可能性も高く、収益の増額期待、27/3期中計予想も十分達成可能とみられ、株価急騰でややネガティブに判断していたものを株価が落ち着いたということでややポジティブに変更する。
(H.Mirai)
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