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シンガポール、「中国包囲網」の抜け穴か 日米韓は重要物質の供給強化で合意も

 日米韓は6月26日、重要物質の供給網強化で合意した。西側諸国は「中国包囲網」の構築を急ぐが、中国側の抜け穴は多くあるもようだ。半導体やAI(人工知能)では、シンガポールが中国企業の抜け穴になり、2023年末に形成された「Chip4」の効果を減退しているとの指摘がある。重要物質も半導体の二の舞になる恐れがある。

 

■日米韓、ガリウムなどの供給で「必要に応じ措置」で合意

 

(出所:経産省ホームページ)

 

 経済産業省は6月26日、ホームページ上で、「日米韓は同日、米国ワシントンDCで、初の日米韓商務・産業大臣会合を開催した」と発表した。参加者は日米韓の商務・産業担当閣僚である、齋藤健経済産業大臣、ジーナ・レモンド米国商務長官および安 德根(アン・ドックン)韓国産業通商資源部長官。3閣僚は、3カ国の経済協力の意義や重要性を確認。半導体やAI、重要鉱物、クリーンエネルギー等の個別分野における協力について、共同声明を発出した。

 

プレスリリース:齋藤経済産業大臣が初の日米韓商務・産業大臣会合に出席しました (METI/経済産業省)

共同声明仮訳:20240627005-br.pdf (meti.go.jp)

 

 共同声明では、レアアースや永久磁石の生産・安定供給で協力していく方針が示されたほか、中国が2023年から輸出規制を実施しているガリウムやゲルマニウム、黒鉛について「重大な懸念を共有し」、「持続可能活強靭なグローバルサプライチェーンの構築に向けて必要に応じて適切な措置を採る」とした。

 

■「Chip4」も効果減退 中国、シンガポール利用で米チップ入手

 西側諸国は中国包囲網の構築を急ぐ。電気自動車(EV)では欧州やトルコを含む各国が中国製品への輸入関税を引き上げている。レアアースでもカナダやオーストラリアで「中国ブロック」の動きが目立ち始めた。

 

関連記事:中国EV輸出規制にカナダ参戦へ 狭まる包囲網、中国はドイツに取引示唆、夏季ダボスで反論 | MIRU (iru-miru.com)

関連記事:Americas Weekly 25 レアアースの独占打破を目指し北米、欧州、南米で「中国包囲網」が広がる | MIRU (iru-miru.com)

 

 ただ、西側諸国の目論見がその通り進むかは未知数だ。半導体は米国が2022年に先進半導体などの分野で米企業と中国側との取引を事実上禁じた。米国は2022年から日本、韓国、台湾を巻き込んだサプライチェーン構想「Chip4」を立ち上げ、早い段階から「中国包囲網」が形成されてきた。

 しかし、6月27日の台湾メディア工商時報によると、中国企業はこれに対応し、「シンガポール経由で米国製チップを入手」している。例えば、中古品を海外経由で入手し、シンガポールに設置した支社に送金する形を採れば、西側の規制に触れずに米国製品の入手が可能という。工商時報は、「中国では中古品から自国製品の生産に結び付けることも行われてきた」とも指摘した。

 

 AIでも同様で、6月初旬の台湾映像メディアの新唐人亜太電視台は「米AI半導体の巨大企業であるエヌビディアは、シンガポールでの収益が15%と異様に高い」と指摘。シンガポールのような小規模な都市国家でこれだけの収益を上げるのは難しいことから、「シンガポールが米国による対中封鎖の抜け穴になっているのではないか」との見方を伝えた。

 

■抜け穴利用の二次被害? シンガポールで増えるマネロン

 

 

 

 中国のこうした動きの二次被害になるのか、シンガポールはマネーロンダリング(資金洗浄)問題に悩む。シンガポール政府は6月26日、ホームページ上で、「国家資産回収戦略リポート」を公表した。

 

プレスリリース: MHA-MOF-MAS Joint Media Release_ Singapore Publishes National Asset Recovery Strategy.pdf (sgpc.gov.sg)

 

 戦略では、マネロン対策の優先項目の一つが資産回収であり、犯罪者から不当利得を取り返すことにより、シンガポールでマネロンに関与するインセンティブを取り除くことを目指す。

 シンガポールでは、2023年8月の一斉摘発で発覚したマネーロンダリング額が、30億シンガポールドル(約3500億円)に膨らんだと2024年1月に伝わった。多くが中国の犯罪組織が関連しているとみられ、社会の関心も高い。

 

 

(IR Universe Kure)

 

 

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